この記事では「殺伐」について解説する。

端的に言えば「殺伐」の意味は「殺気が充満しているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「殺伐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「殺伐」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「殺伐」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「殺伐」の意味は?

「殺伐」には、次のような意味があります。

殺気が感じられるさま。また、うるおいや温かみが感じられないさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「殺伐」

「殺伐」は、「さつばつ」と読みます。「殺」という漢字が入っているということからも、あまりイメージのいい言葉ではないですよね。

「殺伐」はイメージの通り、殺気で張り詰めたような緊迫した状況を指す言葉です。主に喧嘩や温かみが全く感じられない冷たい空気のことを「殺伐とした雰囲気」という用い方で表現します。口喧嘩や暴力的な様子などの行動自体を表現するというよりは、いつ破裂するかわからないほどの殺気がお互いの間に充満している雰囲気や空気などの曖昧なさまを表現する言葉なので、これが「殺伐」というようにはっきりと定義することは難しいです。しかし、お互いを思いあうことから生じる喧嘩というよりは、お互いを憎みあったうえで生じる喧嘩のほうが「殺伐とした雰囲気」という表現にあっていることはなんとなくわかりますね。

このように「殺伐」は何か特定の行動や状況を指すというよりは、人と人の間に広がる関係性や空気を反映しているということがわかるのではないでしょうか。

「殺伐」の語源は?

次に「殺伐」の語源を確認しておきましょう。

「殺伐」は、「殺」と「伐」という二つの漢字から成り立っていますね。この二つの漢字の意味をそれぞれ理解していくと、語源にたどり着くことができます。「殺」は「殺す」「失くす」「消す」という意味で大方の人が知っている表現だと思いますが、「伐」はあまり馴染みのない言葉ですよね。「伐」は「伐採」という言葉に用いられているように「切る」という意味や、「征伐」や「討伐」などに用いられているように「敵を討つ」「殺す」という意味があります。つまり「殺伐」の語源は、「殺す」や「相手を打ち消す」という意味を持つ二つの漢字を組み合わせることによって意味を強調させているということがわかりますね。

\次のページで「「殺伐」の使い方・例文」を解説!/

「殺伐」の使い方・例文

「殺伐」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.社長が顔を出す予定の今日の職場は殺伐とした危険な状態の可能性があるため、会話は控えるように注意して見学してください。


2.人気の秘書に仕事を教わる機会を得たが、その殺伐とした雰囲気の現場に終始緊張がほどけなかった。

3.上司は私が一度失敗すると殺伐とした態度に急変するので、提出する書類は厳重に確認する必要がある。

「殺伐」は例文からもわかるように、緊張感のある張り詰めた空気感を表現することがわかりますね。

大体の場合が逆らうことのできない社会的立場が上の人の威圧感や、失敗することのできない現場での緊張感嫌悪感を抱く相手との距離感などを表現します。したがって一緒にいてリラックスできる相手や心を許しあった間柄の間には殺伐とした雰囲気が存在する頃はありません。仲のいい友達や家族などはいくら喧嘩をしたとしても相手を「失いたい」とは思いませんよね。相手を思いやった結果、喧嘩になってしまうということがほとんどです。よって「殺伐」を用いることができる状況は、その空間を生み出している人たちの人間関係が大きく関係してくるということですね。

それを踏まえて例文を考察していくと、1番目の例文は社長が来るときに自分が周りの社員よりも劣って見えないようにとそれぞれが周りを敵対視しているさま。2番目の例文は秘書という少しも気のゆるみが許されない仕事の厳しさを表現。3番目は絶対に逆らうことのできない上司からの威圧感に屈している様子を表現しています。

「殺伐」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「殺伐」とは、緊張感で張り詰めた空気感や殺気のこもった間柄を表現する言葉でした。

次に、「殺伐」の類義語を見ていきましょう。

「物騒(ぶっそう)」

「殺伐」の類義語は「物騒(ぶっそう)」です。「物騒」とはいつ何が起こるかわからないという危険な状況を表現する言葉。「殺伐」も、お互いの殺気による緊張感はいつ危険な状態になるかわからないというものだったので、同じ意味を表現することがわかりますね。

「物騒」は、悪いニュースが続いたときや不穏な雰囲気の漂う場所などに対して「物騒な世の中」や「物騒な場所」というように用います。したがって、「殺伐」に比べると人間関係よりは場所の雰囲気などに対して用いられることが多いです。薄暗くて怪しい心霊スポットのような場所は、「物騒だ」と言いますよね。対して「殺伐」はそのような場面では用いることはありません。したがって「物騒」と「殺伐」は場所の雰囲気や空気感を重視するのか、人間関係を重要視するのかという点で使い分けることが必要だということがわかりますね。

\次のページで「「殺伐」の対義語は?」を解説!/

「殺伐」の対義語は?

image by iStockphoto

「殺伐」とは、殺気と緊張感で空気が張り詰めている様子を表現する言葉でした。

次はそんな「殺伐」の対義語とその意味を見ていきましょう。

「温和(おんわ)」

「殺伐」の対義語は、「温和(おんわ)」です。

「温和」とは、落ち着いていて穏やかな様子や角の立っていない優しいさまを表現する言葉。接する相手との間にお互いに角が立っていたり、冷たい空気感の張り詰める「殺伐」とは対照的に、暖かで親しみやすい雰囲気を連想させられますね。

「おんわ」には、「温和」だけでなく「穏和」という漢字があてられることもあります。「温和」は「暖かで穏やかな気候」、「性質が穏やかで優しい」、「角が立たない」という三つの意味がありますが、「穏和」には「性格が穏やかで優しい」、「角が立たない」という二つの意味しかありません。つまり「穏和」は気候に対して用いることはないということですね。今回の対義語としての意味は物事に角が立っていない様子や性格が穏やかという二つに分類されるので、「温和」と「穏和」のどちらの漢字でも表現できるということになります。

「殺伐」を使いこなそう

この記事では「殺伐」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「殺伐」とは、漢字を見るだけだととても恐ろしい現実離れした表現のように思われますが、実はとても現実的で絶妙な空気感を表現することのできる繊細な言葉ということがわかりましたね。「殺伐とした空気感」というのははっきりとした定義はなく、あくまでも個人の判断なので難しいところですが、殺気だっているかという事やピリピリとした緊張が張り詰めているかという事を基準として判断すると正しく「殺伐」を用いることができますよ。

ビジネスシーンで用いられたときに意味がすぐに分かるように、この機会によく覚えてみてくださいね。

" /> 「殺伐」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「殺伐」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「殺伐」について解説する。

端的に言えば「殺伐」の意味は「殺気が充満しているさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「殺伐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文化系。読書量に比例する文章力で日本語をわかりやすく解説していく。

「殺伐」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「殺伐」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「殺伐」の意味は?

「殺伐」には、次のような意味があります。

殺気が感じられるさま。また、うるおいや温かみが感じられないさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「殺伐」

「殺伐」は、「さつばつ」と読みます。「殺」という漢字が入っているということからも、あまりイメージのいい言葉ではないですよね。

「殺伐」はイメージの通り、殺気で張り詰めたような緊迫した状況を指す言葉です。主に喧嘩や温かみが全く感じられない冷たい空気のことを「殺伐とした雰囲気」という用い方で表現します。口喧嘩や暴力的な様子などの行動自体を表現するというよりは、いつ破裂するかわからないほどの殺気がお互いの間に充満している雰囲気や空気などの曖昧なさまを表現する言葉なので、これが「殺伐」というようにはっきりと定義することは難しいです。しかし、お互いを思いあうことから生じる喧嘩というよりは、お互いを憎みあったうえで生じる喧嘩のほうが「殺伐とした雰囲気」という表現にあっていることはなんとなくわかりますね。

このように「殺伐」は何か特定の行動や状況を指すというよりは、人と人の間に広がる関係性や空気を反映しているということがわかるのではないでしょうか。

「殺伐」の語源は?

次に「殺伐」の語源を確認しておきましょう。

「殺伐」は、「殺」と「伐」という二つの漢字から成り立っていますね。この二つの漢字の意味をそれぞれ理解していくと、語源にたどり着くことができます。「殺」は「殺す」「失くす」「消す」という意味で大方の人が知っている表現だと思いますが、「伐」はあまり馴染みのない言葉ですよね。「伐」は「伐採」という言葉に用いられているように「切る」という意味や、「征伐」や「討伐」などに用いられているように「敵を討つ」「殺す」という意味があります。つまり「殺伐」の語源は、「殺す」や「相手を打ち消す」という意味を持つ二つの漢字を組み合わせることによって意味を強調させているということがわかりますね。

\次のページで「「殺伐」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: