この記事では「レイシスト」について解説する。

端的に言えばレイシストの意味は「人種主義者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「レイシスト」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「レイシスト」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「レイシスト」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「レイシスト」の意味は?

「レイシスト」には、次のような意味があります。

人種差別主義者。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「レイシスト」

「レイシスト」は「人種差別主義者」という意味を持っている言葉です。

昨今、情報がめまぐるしく飛び交う中で、一般市民の日常生活における言動が全世界に発信されるようになりました。そこで目立ってくることの一つが人種差別です。かつては、日本を含め白人や移民など様々な人種差別が行われてきました。今や、人種差別はタブーであるという理解は世界に広まりつつありますが、解決にはまだまだ時間のかかる問題として考えられています。

「レイシスト」の語源は?

次に「レイシスト」の語源を確認しておきましょう。

「レイシスト」の由来は、英語の「race」です。これは「人種」を指す言葉として使われています。そのため、この言葉自体には差別などの意味は含まれていません。そこからの派生語として、人類の中に、優劣があるとし、それを人種に求める考え方を「(racism)レイシズム」と言います。そして、この考えを支持する人のことを「人」を示す接尾辞をつけて「レイシスト」と言うのです。

\次のページで「「レイシスト」の使い方・例文」を解説!/

「レイシスト」の使い方・例文

「レイシスト」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.黒人差別を当たり前としていた時代ではみな、レイシストという意識はなかった。

2.レイシストによるヘイトスピーチが後を絶たず、平和への道のりは遠のくばかりだ。

3.レイシストに対する処置は厳しくあるべきだと思う。

4.レイシストをなくそうとしているはずの行動が、かえって自らをレイシストにしてしまうことは少なくない。

「レイシスト」という用語の本来の意味は、人種差別主義者・人種主義者です。そのため、レイシストにとっての差別の対象は人種であるのが基本と言えるでしょう。しかし、最近は様々な差別的行為や差別的思想をとる人をまとめた総称として、「レイシスト」と呼ぶ例が増えてきました。思想や宗教、嗜好や指向など、あらゆる物事にでも排他的な姿勢を見せれば、その人はレイシストということにされる状況が多いようです。

昨今の激動の時代により、言葉の意味も流動していくことはえてしてあることですが、「レイシスト」の本来の意味は人種への排他的行動をとる人を指すものでした。

「レイシスト」の類義語は?違いは?

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ここでは、「レイシスト」の類義語について見ていきましょう。それぞれの類義語と「レイシスト」がどのような点で異なるかについても紹介していきます。

その1「民族主義者」

「民族主義者」は英語で「nationalist(ナショナリスト)」と言います。民族主義の意味は「民族の存在・独立や利益また優越性を、確保または増進しようとする思想および活動。」です。「レイシスト」も民族に民族に観点を置き、そのうちの限られた者の優越性を求めるという意味を持つので、二つの言葉は類似していると言うことができるでしょう。

「レイシスト」と「民族主義」とで異なる点は、「民族主義」はもともと差別的な意味合いはさほどないというところです。「レイシスト」は差別的行為を指す意味合いを含むのに対し、「民族主義」はその考えが強まると差別的なものになる、という特徴があります。

\次のページで「その2「排外主義者」」を解説!/

その2「排外主義者」

「排外主義者」は「外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場をとる人。」という意味です。「レイシスト」と同様、自分のコミュニティ以外に嫌悪感を抱いているというニュアンスを持ちます。排外主義は行き過ぎると愛国主義に発展することもありますよ。

「レイシスト」と「排外主義者」とで異なる点は、「レイシスト」は人種に視線を向けているのに対し「排外主義者」は外国の全てに視線を向けているという点です。

「レイシスト」の対義語は?

ここでは、「レイシスト」の対義語について紹介していきます。

「レイシスト」は「人種差別主義者」という意味を持つ言葉です。そのため、反対の意味を持つ言葉としては、「平等に人と関係を築くといった思想を持つ人」という意味の言葉が適切でしょう。また、「人々に権利を与える」という意味を持つ言葉も、差別対象には権利を与えない「レイシスト」の対義語とすることができそうです。

その1「博愛主義者」

「博愛主義者」は、「人種、国家、階級などの違いを越えて、ひろく等しく人類は愛し合うべきであるとする主義を持つ人。また、ひろくだれに対しても善意と愛情をもって接しようとする態度を取る人。」という意味です。「レイシスト」がひたすら排他的なのに対して真逆の意味を持っています。

その2「人道主義者」

「人道主義者」は「人間の尊厳を至上のものとし、人間愛に基づいて、人種、民族、国籍の別にかかわりなく、人類の福祉を増進することをめざす立場。ヒューマニズム。」という意味です。「レイシスト」の関心のある人種を含むことはもちろん、様々な属性に目を向けています。

その3「民主主義者」

「民主主義者」は「人民が権力を所有するとともに、権力をみずから行使する政治形態をとったり支持したりする人。」という意味を持っています。「レイシスト」は差別対象の人民には権力を所有することを認めず、自らの権力行使はさせないという姿勢をとっていますが、これはその逆です。

「レイシスト」の英訳は?

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ここでは、「レイシスト」の英訳について紹介していきます。

\次のページで「「racist」」を解説!/

「racist」

「racist」は「人種差別主義者」という意味です。まさに「レイシスト」のもととなった言葉ですね。

「レイシスト」を使いこなそう

この記事では「レイシスト」の意味・使い方・類語などを説明しました。

インターネットが普及した今は、かつての人々が何をしてきたか、現在人々は何をしているかということが筒抜け状態です。それぞれの意見を聞かなくてはならなくなってきたこの時代だからこそ、今一度人種差別には向き合っていきたいものですね。

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国語言葉の意味

「レイシスト」の意味や使い方は?例文や類語を文学院生がわかりやすく解説!

この記事では「レイシスト」について解説する。

端的に言えばレイシストの意味は「人種主義者」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「レイシスト」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「レイシスト」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「レイシスト」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「レイシスト」の意味は?

「レイシスト」には、次のような意味があります。

人種差別主義者。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「レイシスト」

「レイシスト」は「人種差別主義者」という意味を持っている言葉です。

昨今、情報がめまぐるしく飛び交う中で、一般市民の日常生活における言動が全世界に発信されるようになりました。そこで目立ってくることの一つが人種差別です。かつては、日本を含め白人や移民など様々な人種差別が行われてきました。今や、人種差別はタブーであるという理解は世界に広まりつつありますが、解決にはまだまだ時間のかかる問題として考えられています。

「レイシスト」の語源は?

次に「レイシスト」の語源を確認しておきましょう。

「レイシスト」の由来は、英語の「race」です。これは「人種」を指す言葉として使われています。そのため、この言葉自体には差別などの意味は含まれていません。そこからの派生語として、人類の中に、優劣があるとし、それを人種に求める考え方を「(racism)レイシズム」と言います。そして、この考えを支持する人のことを「人」を示す接尾辞をつけて「レイシスト」と言うのです。

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