
スワンメルダムの功績

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家督を継承して、一生裕福な暮らしができたはずなのに、彼の人生を変えてしまった顕微鏡。スワンメルダムの功績は顕微鏡なしでは語れません。どのような功績があるのか詳しく見ていきましょう。
1.昆虫の研究と生物の発生についての研究

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スワンメルダムが活躍していた時は、生殖や発生の学問で、「前成説」と「後成説」に分かれて議論していました。前成説は、卵または精子の中にはじめからある小さな雛型が大きくなって育つだけであるという考え方ですよ。前成説には、ずっと先の子孫の世代の成体まで精子の中に入れ子(マトリョーシカのような感じ)になって存在するという精原説とこれが卵子の中にあるという卵原説がありました。後成説は、生物の形ははじめから完成されているわけではなく、発生につれてしだいにできあがってくるという考え方ですね。
スワンメルダムが蝶の蛹を解剖すると、完成された形をした蝶が翅と肢を折りたたんで眠っていることを発見したのです。これは彼が執筆した『昆虫学総論』で述べていますよ。
この発見は、「前成説」を裏付ける根拠となったわけです。

ヨーロッパで昔から広く前成説が指示されていたのは、受胎告知の絵画に、イエスのホムンクルスがマリアの胎内に向っていく様子が描かれているものがたくさんあったからだな。キリスト教信者にとって、前成説は受け入れやすい考え方だったんだな。

前成説はのちに「後成説」によって否定されてしまうのだが、観察をすることによって、事実探求する方法を見出したスワンメルダムの功績は現在に至るまでも生かされているな。
2.赤血球の発見、人体についての研究

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スワンメルダムはオランダのライデン大学で医学を学び、医学博士の学位も取得していますよ。学位を取得したテーマは、肺の運動についてだそうです。
カエルを用いて実験し、赤血球の存在を発見しました。また、筋肉の収縮においては、形は変化するが体積は変化しないことを証明しました。胎児の肺についても調べていて、人体ではリンパ系が重要な働きをしていることを研究で明らかにしています。
リンパ管に「スワンメルダム弁」という弁がありますが、これから名付けられたのでしょうね。
スワンメルダムの死後
スワンメルダムは昆虫学の祖とも言われるほど、朝から晩まで昆虫の観察に熱中し、様々なタイプの顕微鏡を使いこなし、多くの種の昆虫を解剖し、その生殖法や生活史をしたためました。
若いころに大病を患い、体に無理をしても熱意のままに研究を続けたのもあってか、43歳という若さでこの世を去っています。若くしてこの世を去ったため、生前には研究結果を発表していないものが多くありました。
スワンメルダムの研究業績が世に出たのは、彼の死後、ヘルマン・ブールハーフェによって彼の遺稿を整理し出版した『自然の聖書』でした。
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