この記事では「めげる」という言葉を解説します。
「めげる」とは「気力を失う」ことです。「難関校、難しい入試問題、めげずに頑張ろう!」とはげましたら、「先生、めげるって方言でしょう」ってつっこまれて一瞬ビビった。ちゃんとした標準語です、でも実は方言でもある。そんな「めげる」の詳しい意味、使い方を確認して使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に「めげる」の言葉を説明していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「めげる」の意味・使い方

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必死に勉強して臨んだ試験。しかし思い通りの点数が取れずがっくり、もうあきらめた……こんな気持ちを「めげる」と表現します。くわしい意味や使い方を説明していきましょう。

「めげる」の意味

まずは辞書で意味を調べてみます。

1.気力が失われる。負ける。ひるむ。
2.こわれる。欠け損じる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「めげる」

「めげる」とは気持ちがしぼんだり、物品が欠け壊れてしまったりすることを表現する言葉です。しかしながら使うのはもっぱら気持ちの方で、物の破損を表す場合はなじみが薄いように思います。それもそのはず、「めげる」を「こわれる」意味で使うのは兵庫や京都の近畿から中国・四国地方。すなわち方言なのです。

もともとは「こわれる」意味が主だったという「めげる」、語源をみてみましょう。

「めげる」の語源

「めげる」は「めぐ」という古語からの由来で「(硬いものが)こわれる」という意味、漢字であらわすと「滅ぐ」となるようです。「気力を失う」という意味で標準語となったのは比較的新しい時代。西日本で物がこわれる・欠けることを「めぐ・めげる」と表す方言が本来の意味、古くからの使われ方なのですね。

また、千葉県や神奈川県の一部では「やせる・衰える」といった意味で「めげる」が使われています

「めげる」の使い方・例文

意味が分かったのでさっそく使ってみましょう。

\次のページで「「めげる」は類義語たくさん!」を解説!/

1.厳しい練習を重ね初戦を迎えたが惨敗、チーム全員がめげた。
2.両親の離婚、借金、苦境にもめげず、彼はひと財産を築いた。
3.母方の祖母は「皿がめげた」「車がめげとる」と言う。関東在住の私、気持ちだけじゃなくなんでもめげるんだと思った。

例文の1.は「気力を失う」意味で使われています。2.はくじけず、あきらめなかった様を「めげる」を打ち消し「めげず」と表現。また「苦境にめげない」とも使います。

3.は方言としてのセリフで「こわれた」意味です。使う地域でなければ耳慣れず、ちょっと不思議な感じがしますね。

「めげる」は類義語たくさん!

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「気力を失う」または「こわれる」意味でも、「めげる」には様々な類語があります。代表的なものをピックアップしてご紹介しましょう。

「凹む(へこむ)」:気力を失う

「凹む」には大きく三つの意味があります。平地よりも低くくぼむこと・へこたれること・損をすること、です。「へこたれる」とはあきらめて気力を失くすこと・弱気になること、「へたばる」力尽きて座り込むことをいい、これが「めげる」と似た意味になります。使い方は「プレゼンが酷評されて凹んだ」「思い切って告白したが振られて凹んだ」などです。

「萎える(なえる)」:気力が抜ける

「萎える(なえる)」は体力気力が衰えて弱くなる・しなびるなどの意味です。ネットスラングで「萎え(なえ)」と使われ気持ちがしぼむこと・興ざめする意味で、「萌え(もえ)」の対義語とも。「大好きなアイドルの恋愛スキャンダルに、気持ちが萎えた」「彼と同じ学校に進学しようと猛勉強していたが、恋人のうわさに萎えた」と使います。

「故障(こしょう)」:正常に働かなくなる

「故障」と機械や身体などの機能が正常に働かなくなること・進行の妨げになるなどの意味があります。「こわれる」という意味の「めげる」の同義語として挙げました。「目覚まし時計が故障して寝坊した」「練習試合で故障して本番の大会は不参加だった」と使います。

\次のページで「「めげる」の対義語はなんだろう?」を解説!/

「めげる」の対義語はなんだろう?

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気力を失う意味の反対は気力を出すこと、そしてこわれる意味の反対はもとに戻すこと、という観点で対義語をそれぞれご紹介しましょう。

「やる気」:進んで物事を行おうとする気持ち

「やる気」とは物事をなしとげようと積極的になること・欲求の意味で、漢字では「遣る気」と書きます。「遣(や)る」という言葉の意味や使い方は様々ありますが、辞書の一番に書かれる意味はそちらの方に行かせる、向かわせること。目的に向かおうとする気持ちが「やる気」なのでしょう。使い方は「新しい目標を決めると、やる気が出た」「声優を目指し、やる気まんまんでレッスンする」などです。

「奮起(ふんき)」:さあ、やるぞという気持ち

「奮起」とは勇気・元気・いきどおりなどで心を励まし、気力を起こさせることです。「ライバルに追い越されぬよう奮起して練習する」「後輩に見下されて奮起した」などと使われます。

「復旧(ふっきゅう)」:もとに戻ること

「こわれる」の対義語としてチョイスした「復旧」とはこわれたり傷ついたものを元に戻すこと・元に戻ることを意味します。使い方は「土砂崩れから電車が復旧した」「復旧工事が急ピッチで進められている」など、ニュースでも良く見ますね。

「めげる」を英訳してみよう

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英訳も2つの意味で紹介しますね。「気力を失う」意味の単語は「depressed」「discouraged」などいろいろあります。「こわれる」意味は「broken」をチョイスしました。これらの単語は過去分詞形で、「~された」と受け身の意味になりますよ。では、詳しく見ていきましょう。

「discouraged」:がっかりする

「courage」の意味は勇気、それに動詞に付けて反対の動作を表す「dis-」で「discourage」人を落胆させるという意味。受け身として過去分詞にした形が「discouraged」、気力を失う・へこたれる・めげるなどの意味となります。使い方を例文で確認しましょう。

\次のページで「「broken」:こわれた」を解説!/

・She was discouraged at the result.
(その結果に彼女はめげた)
・Lose the game discouraged us.
(試合に負けてがっかりした)
・I get discouraged thinking that I fail the examination.
(試験に落ちるのではないかと思って弱気になる)

「broken」:こわれた

「break:こわす」の過去分詞「broken」で「こわれた・こわされた」訳になります。例文は「The car has broken.(車がこわれた)」、「She has broken my  pendant.(彼女が私のペンダントをこわした)」などです。

心も物も「めげない」よう大切に

この記事では「めげる」の意味・使い方・類語などを説明しました。気力を失うこと、また方言でこわれる意味があること、類語は「凹む」他、対義語は「やる気」、英語では「discouraged」などを使うことが分かりましたね。

「めげる」の意味、方言が語源とは驚きでした。地域や時代で言葉は変化していくもの、さかのぼって調べると面白いですね。この世知辛い世の中、気持ちも物も「めげない」よう、大事にしましょう。

" /> 「めげる」は標準語それとも方言?意味や使い方・類語などを語学系主婦ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

「めげる」は標準語それとも方言?意味や使い方・類語などを語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「めげる」という言葉を解説します。
「めげる」とは「気力を失う」ことです。「難関校、難しい入試問題、めげずに頑張ろう!」とはげましたら、「先生、めげるって方言でしょう」ってつっこまれて一瞬ビビった。ちゃんとした標準語です、でも実は方言でもある。そんな「めげる」の詳しい意味、使い方を確認して使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に「めげる」の言葉を説明していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「めげる」の意味・使い方

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必死に勉強して臨んだ試験。しかし思い通りの点数が取れずがっくり、もうあきらめた……こんな気持ちを「めげる」と表現します。くわしい意味や使い方を説明していきましょう。

「めげる」の意味

まずは辞書で意味を調べてみます。

1.気力が失われる。負ける。ひるむ。
2.こわれる。欠け損じる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「めげる」

「めげる」とは気持ちがしぼんだり、物品が欠け壊れてしまったりすることを表現する言葉です。しかしながら使うのはもっぱら気持ちの方で、物の破損を表す場合はなじみが薄いように思います。それもそのはず、「めげる」を「こわれる」意味で使うのは兵庫や京都の近畿から中国・四国地方。すなわち方言なのです。

もともとは「こわれる」意味が主だったという「めげる」、語源をみてみましょう。

「めげる」の語源

「めげる」は「めぐ」という古語からの由来で「(硬いものが)こわれる」という意味、漢字であらわすと「滅ぐ」となるようです。「気力を失う」という意味で標準語となったのは比較的新しい時代。西日本で物がこわれる・欠けることを「めぐ・めげる」と表す方言が本来の意味、古くからの使われ方なのですね。

また、千葉県や神奈川県の一部では「やせる・衰える」といった意味で「めげる」が使われています

「めげる」の使い方・例文

意味が分かったのでさっそく使ってみましょう。

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