
端的に言えば虚ろの意味は「むなしい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「虚ろ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来
難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。
「虚ろ」の意味は?
「虚ろ」という言葉は、辞書にはどのように収録されているのでしょうか。以下が「虚ろ」の持つ意味の一覧となります。
1.内部がからであること。また、そのさま。空洞。うろ。からっぽ。
2.心が虚脱状態であること。また、そのさま。表情などに生気のないさま。
3.むなしいこと。また、そのさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚ろ」
意味1は「空洞」という意味ですが、こちらが「虚ろ」の本来の意味になります。詳しくは語源の項目で説明しますが、「虚」という漢字の元々の意味から来ているものです。この意味で使う場合はもうひとつ「洞ろ」という漢字で書くこともできます。どちらも「うつろ」という読みです。
意味2は「虚脱状態」を表しますが、虚脱とは何かをする気力の失せたひどい脱力状態のことで、深刻な無気力状態であることを意味しています。それが見た目に出ている状況を指し示すことが多いですが、心理的な虚脱状態を表す際にも用いることが可能です。
意味3は「むなしい」という感情や気持ちを意味しています。「むなしい」という言葉は「空虚である」という意味ですが、ネガティブなイメージが強い言葉です。意味2とは違って感覚など心理描写で用いられることが多いでしょう。
「虚ろ」の語源は?
次に「虚ろ」の語源を確認しておきましょう。「虚ろ」という言葉自体は古くからあり、はっきりとした語源はわかっていませんが、「虚」という漢字に訓読みを当てたものが「虚ろ」という日本語になりました。意味の解説で「虚脱」「空虚」という言葉が出てきたことからも分かる通り、「虚ろ」のもつ意味は全て「虚」という漢字の意味から来ていることが伺えるでしょう。
「虚」という文字には「中身がない」という意味があり、実際に空洞である状態を表し「うろ」という読みもあります。ここから「むなしい」という心の中がからっぽである様子「虚ろ」へと意味が発展し、成立していった可能性が高いです。
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