この記事では「滞りなく」について解説する。

端的に言えば滞りなくの意味は「トラブルなく順調に」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「滞りなく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「滞りなく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「滞りなく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「滞りなく」の意味は?

残念ながら「滞りなく」の形では国語の辞書には載っていません。そこで、まずは「滞り」の意味を確認していきましょう。

1.物事が順調に進まないこと。「大会は―なく開催された」
2.期限が切れても金を支払わないこと。また、その金。「納税の―」
3.さしつかえること。さしさわり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「とどこおり〔とどこほり〕【滞り】」

滞り」は「とどこおり」と読みます。そして「滞り」には3つの意味があり、どれも根底には「順調に進まない」というニュアンスがありますね。

そして今回ご紹介する「滞りなく」は、「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味です。日常会話ではあまり使われませんが、式典などのかしこまった場面やビジネス場面ではよく使用される表現ですね。

「滞り」の語源は?

次に「滞り」の語源を確認しておきましょう。

「滞り」は、10世紀終わりごろの清少納言の『枕草子』にて既に使用が確認できる古い言葉です。その「滞り」は「滞る」という動詞が名詞に変化した形だとされています。

ちなみに、「滞り」のもとになった「滞る」の語源は、「留まる(とどまる)」の意味の「トド」と、「固まってしまう」という意味の「凍・凝(コホル)」が合体してできた熟語ではないかと考えられていますね。

\次のページで「「滞りなく」の使い方・例文」を解説!/

「滞りなく」の使い方・例文

「滞りなく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.妹の結婚披露宴は滞りなく執り行われた。
2.A社との共同開発プロジェクトは滞りなく進行しております。
3.毎月滞りなく返済を続けた結果、先月ついに奨学金の返済が完了した。

例文1、例文2では「問題なく順調に」「問題なくスムーズに」といった意味で「滞りなく」が使用されています。例文1の「執り行う」は「とりおこなう」と読み、「行事や式典を改まって行う」という意味の言葉です。一緒に覚えておきましょう。

例文3では「遅滞なく」「払い忘れることがなく」という意味で「滞りなく」が使用されています。支払いや入金などお金関係の文脈では、「遅滞なく」「払い忘れることがなく」という意味で使用されることが多いです。

「滞りなく」の類義語は?違いは?

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「滞りなく」の類義語には「つづがなく」「首尾よく」があります。意味や違いを確認していきましょう。

その1「つつがなく」

つつがなく」は「病気や災難などがないさま」という意味の言葉です。問題がなく物事が進む様子に対しても使われることがありますが、その場合も「病気などの予測不能の問題・災難が起きず」というニュアンスがあります。

そして注意が必要なのは、結婚式やお葬式といった冠婚葬祭が無事に執り行われたことについては、「つつがなく」は使用できません。冠婚葬祭については「滞りなく」を使用するようにしましょう。

\次のページで「その2「首尾よく」」を解説!/

その2「首尾よく」

首尾よく」は「物事がうまく運ぶさま」を表す言葉です。「首」は「最初」、「尾」は「最後」を表します。よって、「最初から最後まで」物事が順調に進むというニュアンスがありますね。

よって途中経過を報告する際や、何かが途中まで順調に進んでいることを表現したい場合は、「首尾よく」よりも「滞りなく」が使用されることが多いです。

「滞りなく」の対義語は?

「滞りなく」の対義語は厳密に言えばありません。ただ、反対の意味に近いニュアンスを表す言葉があるので、そちらをご紹介します。

「支障」

「支障」は「さしつかえ」「さしさわり」という意味の言葉で、つまり「物事を進める上での困難や障害」という意味になります。「滞りなく」の意味は「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」ですが「物事が支障なく進むこと」と言い換えることもできますね。

「支障」は「支障がある」「支障がない」「支障をきたす」といったように名詞として使用されます。

「滞りなく」の英訳は?

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「滞りなく」という意味を表す英語表現は、「without delay」「smoothly」「without a hitch」です。日本語の「滞りなく」との意味の比較やニュアンスの違いなどを確認していきましょう。

その1「without delay」

without delay」は「遅滞なく」「速やかに」という意味の英語表現です。「滞りなく」は「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味ですが、「without delay」はその中でも特に「遅滞がなく」のニュアンスが強くなります。よって「問題がなく」というより「遅れがなく」という意味の方が強いですね。

例文を見てみましょう。

The marriage ceremony was held without delay.

結婚式は滞りなく行われた。

\次のページで「その2「smoothly」」を解説!/

その2「smoothly」

smoothly」は「なめらかに」「円滑に」「滞りなく」という意味を持った英単語です。「滞りなく」の「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味がほぼそのまま当てはまります。

例文を見てみましょう。

That project is proceeding smoothly.

そのプロジェクトは滞りなく進んでいます。

その3「without a hitch」

without a hitch」は「支障なく」「滞りなく」という意味の英語表現です。「滞りなく」は「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味ですが、「without a hitch」はその中でも特に「問題がなく」のニュアンスが強くなります。

例文を見てみましょう。

The ceremony has gone off without a hitch.

セレモニーは滞りなく執り行われた。

「滞りなく」を使いこなそう

この記事では「滞りなく」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「滞りなく」は「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味の表現です。式典などのかしこまった場面についてや、ビジネス場面でよく使用される言葉ですね。

類義語には「つつがなく」や「首尾よく」があります。ただ、冠婚葬祭について「問題なく終わった」ことを表現したい場合は、類義語ではなく「滞りなく」を使用しましょう

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国語言葉の意味

「滞りなく」の意味や使い方は?例文や類語を日本語教師の大学院生がわかりやすく解説!

この記事では「滞りなく」について解説する。

端的に言えば滞りなくの意味は「トラブルなく順調に」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んです。一緒に「滞りなく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「滞りなく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「滞りなく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「滞りなく」の意味は?

残念ながら「滞りなく」の形では国語の辞書には載っていません。そこで、まずは「滞り」の意味を確認していきましょう。

1.物事が順調に進まないこと。「大会は―なく開催された」
2.期限が切れても金を支払わないこと。また、その金。「納税の―」
3.さしつかえること。さしさわり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「とどこおり〔とどこほり〕【滞り】」

滞り」は「とどこおり」と読みます。そして「滞り」には3つの意味があり、どれも根底には「順調に進まない」というニュアンスがありますね。

そして今回ご紹介する「滞りなく」は、「物事が問題や遅滞がなく順調に進むこと」という意味です。日常会話ではあまり使われませんが、式典などのかしこまった場面やビジネス場面ではよく使用される表現ですね。

「滞り」の語源は?

次に「滞り」の語源を確認しておきましょう。

「滞り」は、10世紀終わりごろの清少納言の『枕草子』にて既に使用が確認できる古い言葉です。その「滞り」は「滞る」という動詞が名詞に変化した形だとされています。

ちなみに、「滞り」のもとになった「滞る」の語源は、「留まる(とどまる)」の意味の「トド」と、「固まってしまう」という意味の「凍・凝(コホル)」が合体してできた熟語ではないかと考えられていますね。

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