
端的に言えば忌々しいの意味は「腹が立つ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
最近は忌々しく思うこともなく平穏な毎日を過ごす、読書家ライター伊勢雄真を呼んです。一緒に「忌々しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真
理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「忌々しい」の奥深い世界に誘ってくれる。
「忌々しい」の意味は?
まず、忌々しいを辞書で検索すると以下のような意味になります。
1.非常に腹正しく感じる。しゃくにさわる。
2.けがれを避けて慎むべきである。遠慮すべきである。
3.不吉である。縁起が悪い。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「忌々しい」
忌々しいの読み方は「いまいましい」となります。意味は上記の通りです。忌々しいは本来「不吉なものや穢れたものを避けて慎む」という意味でした。そこから、そういったものが縁起が悪い、残念だ、という意味に変わり、現在の腹立たしいという意味が生まれていったとされています。
「忌」という漢字にも触れましょう。部首がこころで、己という部分が「キ」という音を示す形声文字です。「己」には糸筋を整えるという意味があります。そこから心を整えるという意味となり、不吉なことがあったので慎むべきだという「忌」という漢字が生まれました。
「忌」という言葉自体を見ていきましょう。次をご覧ください。
1.(忌み)死・不浄など、はばかりのあること。
2.(忌み)人の死後、近親者が、暫くの間家に慎みこもること。喪。喪中。
3.(忌み)陰陽道などで、ある邦楽・日取りなどを憚って避けること。もの忌み。かたたがえ。
4.ほかの語の上について複合語を作り、穢れを清めた、神聖な、の意味を表す。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「忌み」
「忌」には二方面での意味がありますね。1つは汚らわしいというマイナス方向、もう一つは汚らわしいものを清めたというプラス方向です。1.~3.はマイナス、4.のみプラスの方向になります。この点は頭に入れておきましょう。それぞれの意味に補足コメントを入れます。1.のはばかりとは遠慮すること、差し支えることといった意味です。3.の陰陽道とは平安時代ごろに全盛だった占いのことですね。詳しいことは後々桜木先生に教えてもらいましょう。4.は接頭語での働きについてです。
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