この記事では、「そもそも」について解説する。
「そもそも」ってのは自然と口をついて出てくるくらいに馴染みのある言葉ですが、そもそもその意味を説明できるか?なんとなくのイメージで使ってるやつも、意外と多いかもしれませんね。しかしあまり多用すると嫌がられるケースもあるから、ニュアンスをしっかり押さえておいたほうがいいでしょう。
今回はライターのぷーやんを呼んです。むかし職場のインドネシア人の後輩に「そもそも」の意味を尋ねられたが、ちゃんと説明できなかったらしいのです。それが悔しくて調べたっていうから、「そもそも」の意味と使われ方について、学んだことを説明してもらおう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。後輩に質問されてから、自分や職場の何人かが口癖のように、「そもそも」と言っていることに気づいたとか。

「そもそも」の意味とは?

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はじめに「そもそも」は漢字で書くと、「抑」もしくは「抑々」です。「そもそも」は昔、この漢字を訓読みするときにあてられた言葉と言われています。それでは、「そもそも」の意味をみていきましょう。

「そもそも」を辞書でみてみよう!

「そもそも」は、辞書には次のように書かれています。

[名]《接続詞「そもそも」が文頭に置かれるところから》最初。発端。副詞的にも用いる。「この話には―から反対だった」「目的が―違う」
[接]改めて説き起こすときに用いる語。いったい。だいたい。さて。「―人間というものは」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「そもそも」

辞書にある通り「そもそも」は接続詞と、接続詞から転じた名詞の、2つの意味があります。この言葉を使うときはこうした品詞の違いなど、気にしていない方が多いのではないでしょうか?

「そもそも」は説明が難しい?

「そもそも」の意味を説明する難しさは、2つの品詞にまたがるニュアンスを持つことにあるのでしょう。接続詞の「だいたい」と名詞の「最初」とでは、言葉の意味合いとして似ているようで違うような、なんとも言えないもどかしさがあります。このように感覚的な把握だけでは、「そもそも」の意味を説明するのは困難です。

ところで、「そもそも」が「基本的に」というニュアンスで使われていることがありますが、これは誤用ですのでご注意を

例文で「そもそも」をチェック!

「そもそも」の使い方の例を、名詞と接続詞それぞれ1つずつみてみましょう。

\次のページで「「そもそも」の言い換え表現」を解説!/

1.8月下旬に夏休みの宿題に忙殺されるのは、そもそもコツコツとやってこなかったせいだ。
2.本件について、検討するべき課題が多く挙げられていますが、いずれも付け焼刃な印象です。そもそもなぜ本件を解決する必要があるのでしょうか。

例文1は名詞としての使われ方をしています。『そもそもなんで宿題なんかやらなきゃいけないの…』などと接続詞的用法で言い訳せずに、早めにとりかかって早めに終わらせる習慣を身に付けたいものです。例文2は接続詞として使われ、議題の前提を覆しています。こうした論調は『そもそも論』と呼ばれ、ビジネスシーンではしばしば見かける光景です。

「そもそも」の言い換え表現

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言葉の意味を精確に掴むためには、類似した表現を知ることも大切。そこで、「そもそも」を言い換えるとしたらどうなるのかを、みてみましょう。

名詞の「そもそも」を言い換えると?

「発端」を意味する「そもそも」の名詞・副詞的な代替表現には、「もとより」「本来」「当初」などが挙げられます。これらいずれの言葉も、上記の例文1の「そもそも」と置き換えても意味が通りますね。

接続詞「そもそも」の類語はなにがある?

接続詞としての「そもそも」を言い換えるとすれば、「いったい」「だいたい」が適切でしょう。こちらも上記の例文2にそのまま置き換えられます。

\次のページで「意訳した言い換え:本質的・根本的」を解説!/

意訳した言い換え:本質的・根本的

「発端」という意味から意訳すると、「そもそも」はそのものが最初から持っている性質(=本質)を暗に示すことも。「最初に持っていた性質」というところが、前述したような「そもそも」と「基本的に」の混同の原因でしょう。

しかし「本質」はもっとも大事な性質を示す言葉であり、「基本」は判断や行動のもととなる初歩的なものを示します。「基本」が「本質」的に大切なことである場合は多いかもしれませんが、両者は必ずしもイコールで結ばれるものではありません

「そもそも」は英語でなんて言う?

英語訳するとどうなるかを調べることも、意外と日本語の理解に役立ちます。「そもそも」は英語でなんと表現されるのでしょうか?

anyway:とにかく

「とにかく」「なんとしても」という意味。「そもそも」よりも強引に、はじめに戻すような印象ですね。今回ご紹介する「そもそも」の英訳の中では、もっとも砕けた言い方になるようです。

in the first place:第一に

「第一に」「最初に」という意味になる副詞句。「first place(1番)」+「in(の状態)」という組み合わせで、「そもそも」の名詞の意味を表します。

from the start(beginning):最初から

「最初から」「もともと」「だいたい」と、「そもそも」の国語辞典に載っている意味を網羅した表現です。

やりすぎは嫌われる?「そもそも論」

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この記事の例文で、「そもそも論」なるものがあることをご紹介しました。なにかを企画したり問題解決を話し合ったりしているとき、しばしば「そもそも」が連発される場面をみかけます。しかしこの「そもそも論」、あまり頻発していると周囲をうんざりさせてしまいます。この記事の最後に、「そもそも論」の効用と副作用をご紹介します。

\次のページで「「そもそも論」ってどんな論?」を解説!/

「そもそも論」ってどんな論?

「そもそも」の名詞的意味に「最初」とあるように、議論の当初の目的や前提条件に立ち返る論調のことを「そもそも論」と言います。議題になっていることの目的を思い出して論点がずれていないか再確認したり、検討課題の前提条件が見落とされたりしないようにするのに、効果てきめんです。

『そもそもこの件の目的は~』といった具合に、「そもそも」の言葉を皮切りに論じられることが多いため、「そもそも論」と呼ばれます。

「そもそも論」は話しの流れを一刀両断!

「そもそも論」は他の人を半強制的に原点に立ち返らせる論法であるため、多用すると嫌がられることも。「そもそも論」に従うとき、それまで話し合ってきたことをいったん白紙にされることもしばしば。そうなると、議論に費やした時間と熱意が無駄になります。

議題に対してなにか具体的な方策を決定することが、会議の成果物です。議論が白熱して妙案が出てきているようなタイミングでは、『そもそもね』と言いたくなる気持ちを、グッとこらえることも大切なことでしょう

たまには必要な「そもそも論」:マッキンゼーのゼロ発想

先述の通り会議の成果物は、具体的な方策です。これに対して「そもそも論」は、本質的な目的を再確認すること。目的と方策はレベル(階層)の違うもので、通常、目的に向かうための方策はいくつもあります

ところが会議の場がヒートアップしすぎると、しばしば目的が忘れられがち。方策を決定すること自体が、目的になってしまっている場面もよく見かけます。そんなときこそ『そもそも論』の出番というわけですね。

優秀な経営者を輩出しているマッキンゼー(外資系コンサル)には、『ゼロ発想』というコンセプトがあります。これは「そもそも必要ないのでは?」と、ゼロである場合を考えてみること。事業などの問題解決を考える前に、事業の必要性を考えて捨てる勇気を持つことで、問題の本質が見えてくるそうです。

「そもそも」と原点に立ち返ることも大切

この記事では「そもそも」の意味について、類語や英語訳を交えて解説しました。社会人の多くの方が耳にしているであろう「そもそも論」についても、考察をご紹介しています。

「そもそも」はもともと、接続詞として話しを説き起こすのに使われていました。接続詞として文頭に来ていたことから名詞的な「最初」という意味が加わり、現在に至っています。「そもそも論」は、「最初=原点」に回帰する効果のある論調でしたね。原点回帰することで、複雑化しすぎたことが驚くほどすっきりと見えてくることもあります。ただ次のステップを考えずに乱用すると、『ただ言いがかりをつけてくる人』と評されてしまいますのでご注意を。

この記事が、原点回帰の要所を押さえた「そもそも」使用の一助になれば幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
" /> 「そもそも」の意味って?使いすぎはNG?漢字・英語・類語・例文をwebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「そもそも」の意味って?使いすぎはNG?漢字・英語・類語・例文をwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、「そもそも」について解説する。
「そもそも」ってのは自然と口をついて出てくるくらいに馴染みのある言葉ですが、そもそもその意味を説明できるか?なんとなくのイメージで使ってるやつも、意外と多いかもしれませんね。しかしあまり多用すると嫌がられるケースもあるから、ニュアンスをしっかり押さえておいたほうがいいでしょう。
今回はライターのぷーやんを呼んです。むかし職場のインドネシア人の後輩に「そもそも」の意味を尋ねられたが、ちゃんと説明できなかったらしいのです。それが悔しくて調べたっていうから、「そもそも」の意味と使われ方について、学んだことを説明してもらおう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。後輩に質問されてから、自分や職場の何人かが口癖のように、「そもそも」と言っていることに気づいたとか。

「そもそも」の意味とは?

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はじめに「そもそも」は漢字で書くと、「抑」もしくは「抑々」です。「そもそも」は昔、この漢字を訓読みするときにあてられた言葉と言われています。それでは、「そもそも」の意味をみていきましょう。

「そもそも」を辞書でみてみよう!

「そもそも」は、辞書には次のように書かれています。

[名]《接続詞「そもそも」が文頭に置かれるところから》最初。発端。副詞的にも用いる。「この話には―から反対だった」「目的が―違う」
[接]改めて説き起こすときに用いる語。いったい。だいたい。さて。「―人間というものは」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「そもそも」

辞書にある通り「そもそも」は接続詞と、接続詞から転じた名詞の、2つの意味があります。この言葉を使うときはこうした品詞の違いなど、気にしていない方が多いのではないでしょうか?

「そもそも」は説明が難しい?

「そもそも」の意味を説明する難しさは、2つの品詞にまたがるニュアンスを持つことにあるのでしょう。接続詞の「だいたい」と名詞の「最初」とでは、言葉の意味合いとして似ているようで違うような、なんとも言えないもどかしさがあります。このように感覚的な把握だけでは、「そもそも」の意味を説明するのは困難です。

ところで、「そもそも」が「基本的に」というニュアンスで使われていることがありますが、これは誤用ですのでご注意を

例文で「そもそも」をチェック!

「そもそも」の使い方の例を、名詞と接続詞それぞれ1つずつみてみましょう。

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