1.茫洋たる大海原。茫洋たる荒野。
2.彼は、茫洋とした表情を浮かべていた。
3.まるで茫洋としてつかみどころがない人物だ。
4.アフリカの大草原は茫洋とした光景である。
例文1は、「茫洋たる」を使った表現です。「〇〇たる」という言葉は、最近あまり日常会話では使われませんが、昔は「男子たるもの~」「日本人たるもの~」といった使われ方をされていました。ちなみに「たる」は、断定の助動詞「たり」の連体形で、茫洋と同じ意味合いです。
例文2は、景色ではなく人間の表情で、果てしなく広々とするという意味から「ぼんやりしている」との意味になります。
そして、例文3も、茫洋のあとにある「つかみどころがない」という言葉が、まさにその意味。例文4は、茫洋そのものの意味である「広々として限りのない」を表現した文章です。
「茫洋」の類義語は?違いは?
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次に、「茫洋」の類義語を見ていきましょう。
茫洋の類義語として、広大、宏大、弘大、無辺、広々、芒洋、限りない、極まりないなどがあります。いずれの意味も「限りなく広がっている様子」です。
その1「宏大」
まず、茫洋の類義語の1つである「宏大」から見てみましょう。
宏大は「こうだい」と読みます。意味は、広く大きいこと、です。「広大」の「広」の旧字体が「宏」であり、同義語で知られます。
「宏大な屋敷」といった使い方が一般的です。「宏大さ」という表現も、覚えておきましょう。
その2「無辺」
「無辺」も、茫洋の類義語の1つ。意味は、広々として果てしないこと、またはその様子なので、茫洋と同じです。
例えば、「広大無辺」「無辺の宇宙」という使い方をします。また、「無量無辺」という四字熟語は、限りなく広々という意味に加え、物事の程度や数量、分量などが計り知れないこと、という意味です。
その3「極まりない」
「極まりない」(極まり無い)は、この上なくはなはだしいという意味があります。「不衛生なこと極まりない」「巧妙極まりない手口」といった使い方が、一般的です。
茫洋の類義語である「限りない」から、さらにその意味が強くなったのが極まりないとなります。
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