この記事では「さながら」について解説する。「さながら」は意味合いとしてはシンプルな言葉です。ですが使い方はやや難しく、慣れていないとなかなか自信を持って読み書きできない言葉です。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「さながら」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「さながら」の意味とは?

image by iStockphoto

「さながら」の意味は以下の通りです。

【一】[副]
1 非常によく似ているさま。まるで。そっくり。
2 そのまま。もとのまま。
3 すべて。全部。

【二】[接]そうは言うものの。かと言ってやはり。

出典:Weblio辞書「さながら 意味」

「さながら」の意味は上記の通り4つあります。ただもっとも一般的な意味は副詞の1番の「非常によく似ている」という意味合いです。その他の意味合いは古語の世界で出てくることはしばしばありますが、現代での使用例は比較的少なめといえます。

しかし総じて「さながら」は慣れていなければ扱いが難しく、なかなか自然には使えません。それはもっとも一般的に使われる「非常によく似ている」という意味合いであっても変わりません。

「さながら」の使い方

「さながら」の使い方は以下の通りです。

1.彼女の美貌ときたら、「さながら」美術品のようだ。
2.大人になって自分は変わったが、この町は昔「さながら」だ。
3.突然の雨に降られ、持ち物は「さながら」ずぶ濡れになってしまった。
4.何もするとなと言われたが、「さながら」じっとしていることも難しい。

\次のページで「「さながら」の難しいポイント」を解説!/

1の意味は「非常によく似ている」という意味での例文です。「まるで」という意味にも置き換え可能であり、例文の意味合いとしては「まるで美術品」「美術品そっくり」となります。

2の意味は「そのまま」という意味です。「そのまま」は「そっくりそのまま」という言葉があるように、しばしば「そっくりだ」という意味合いでも使用される言葉ですが、この場合は「かつてのまま」という意味の「そのまま」になります。したがって例文の意味は、「昔のままだ」ということです。

3の意味は「すべて/全部」という意味になります。そのため例文の意味としては、「全部ずぶ濡れ」ということです。

4の意味は唯一の接続詞であり、「そうは言っても」という意味になります。例文の意味としては、「そうは言っても難しい」という意味です。

「さながら」の難しいポイント

「さながら」を使用する上で難しいポイントは、4つも意味を持ちながら使用の際は非常に紛らわしいということです。たとえば上記のトピックにおける2番の例文では、「かつてと変わらない」という意味で「昔さながらだ」と表記しています。しかし、これを1番の「そっくり」という意味で取ると、「昔そっくりである」という文章になり、意味合い的に自然になってしまうのです。つまり、どちらとも取れるという状態が頻発してしまいます。

そのため、「さながら」を読み書きする際に真意に沿って正確にやり取りするには、文脈を読み取る力と慣れが必要です。

「さながら」について詳しく知ろう

image by iStockphoto

「さながら」の使い方は難しいことを上記のトピックで説明しましたが、それを差し引いても「さながら」については覚える必要のあることが多いです。本記事を参考に、押さえておきましょう。

「さながら」って品詞は何?

「さながら」の品詞は上記の引用に記載のある通り、副詞と接続詞です。「そうは言っても」という意味合いが接続詞であるのは比較的ピンときやすく、覚えやすいでしょう。残りの3つである「そっくりである」「かつてのままである」「全部」を示す意味合いは全て副詞です。

実際にテストなどの際は、「傍線部分のさながらの品詞を答えなさい」などという形式で出題されることが予想されます。「さながらと言ったら副詞だ」と思い込まず、副詞であり接続詞でもあることを踏まえて、文脈を読んだ上での回答が必要です。

「さながら」は古語なの?

「さながら」は現代でも使用されているため現代語ですが、同時に古典でもしばしば使用されているため古語であるとも言えます。しかし「さながら」を古語として調べてみると意味がいくつかあるのがわかりますが、その実現代語としての「さながら」とほぼ変わりません。もしも古典で出てきたとしても難しく考えすぎず、現代語と同様に考えましょう。

\次のページで「「さながら」って漢字で書ける?」を解説!/

「さながら」って漢字で書ける?

「さながら」は漢字で表記することもできます。ただし、現代語としての「さながら」と古語としての「さながら」では漢字が違うため、注意してください。

現代語としての「さながら」は「宛ら」という漢字です。この「宛」という漢字は一般的に「あて」という読み方で、例えば「宛先(あてさき)」などの言葉に使用されます。そのためしばしば「あてら」と読まれることがありますがそれは間違いであり、「さながら」が正しい読み方です。

対して古語としての「さながら」は「然ながら」と表記します。これも一般的には自然の「然」の字であるため、「ぜんながら」と読んでしまう人も少なくありませんが、間違いです。

「さながら」の類義語は?

image by iStockphoto

「さながら」は意味が4種類あるため、類義語も4種類ということになります。まず「非常によく似ている」という意味の「さながら」の類義語は「まるで/そっくりである/似ている/~のようだ」などです。似ていることを例えている表現であれば意味上は正しいですが、全てが副詞というわけではないためそのままでは置き換えられないケースもあります。

「変わっていない」という意味での「さながら」の類義語は、「~のままだ/そのままだ/変わらない」などです。変化しない、という意味の言葉が類義語となります。

「すべて」という意味での「さながら」の類義語は、「全部が/すべてが」などです。その場にあるすべてを指し示す表現が該当します。

「そうは言っても」という意味での「さながら」の類義語は接続詞であるため単語ではなく言い回しが多く、「しかしながら/そうは言っても/しかし/だが/さりとて」などです。逆接の接続詞が該当します。

参考:「さることながら」って「さながら」の類義語じゃないの?

「さることながら」という言葉があります。「さながら」と近しい語感であるため、略称の関係かもしくは類義語と思われる場合もありますが、それは誤解でありまったく別の言葉です。

「さることながら」は簡単に言うと「それはもちろんだが、それだけではなく」という意味になります。前で述べたことを踏まえた上で、それからさらに付け加える際に使用する言葉であり、接続詞としては順接になるため意味としては真逆です。誤って混同しないよう注意してください。

身につけば意外に使いやすい「さながら」

「さながら」は身に着けて、自由に読み書きできるようになるまでが難しいと上記のトピックで述べました。しかし、「さながら」の意味はいずれも一般的で、日常で使えるシーンが多々あるため、自分の物にできれば非常に使い勝手の良い言葉になります。

慣れないうちは意味が4つもあり戸惑うかもしれませんが、使っていれば必ず遠くないうちに身につくのが言葉です。あまり気負いすぎず、じっくり付き合っていきましょう。

" /> 意味が4つも?身につくまでが大変な「さながら」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

意味が4つも?身につくまでが大変な「さながら」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「さながら」について解説する。「さながら」は意味合いとしてはシンプルな言葉です。ですが使い方はやや難しく、慣れていないとなかなか自信を持って読み書きできない言葉です。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「さながら」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「さながら」の意味とは?

image by iStockphoto

「さながら」の意味は以下の通りです。

【一】[副]
1 非常によく似ているさま。まるで。そっくり。
2 そのまま。もとのまま。
3 すべて。全部。

【二】[接]そうは言うものの。かと言ってやはり。

出典:Weblio辞書「さながら 意味」

「さながら」の意味は上記の通り4つあります。ただもっとも一般的な意味は副詞の1番の「非常によく似ている」という意味合いです。その他の意味合いは古語の世界で出てくることはしばしばありますが、現代での使用例は比較的少なめといえます。

しかし総じて「さながら」は慣れていなければ扱いが難しく、なかなか自然には使えません。それはもっとも一般的に使われる「非常によく似ている」という意味合いであっても変わりません。

「さながら」の使い方

「さながら」の使い方は以下の通りです。

1.彼女の美貌ときたら、「さながら」美術品のようだ。
2.大人になって自分は変わったが、この町は昔「さながら」だ。
3.突然の雨に降られ、持ち物は「さながら」ずぶ濡れになってしまった。
4.何もするとなと言われたが、「さながら」じっとしていることも難しい。

\次のページで「「さながら」の難しいポイント」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: