
1.長期連載小説の筆を擱いた。
2.締め切り3日前に筆を擱いた。
筆を擱くの例文です。どちらも文章を書き終えるという意味で使われていることが分かると思います。
ここで一見同じ意味に見える例文を紹介しましょう。
1.筆を擱いて食事に行く。
2.筆を置いて食事に行く。
「おく」の漢字が違いますね。1.は文章全体が書き終えたという意味です。例文の状況から、そのご飯は執筆が終わったご褒美のごはんを食べに行くような感じですね。2.は一時的に筆を置いて、休憩をとるというニュアンスです。単に机に置いているだけですね。この例文ではいつもの昼食程度のものでしょう。

ここまで、伊勢から「筆を擱く」の意味や語源、例文を解説してもらった。
ここでは俺から筆及び文章にまつわる言葉をいくつか紹介するぞ。まずは「筆が荒れる」だ。これは文章が雑になるという意味だな。「筆が滑る」は調子に乗って書かなくてよいことまで書くことだ。「口が滑る」の文章バージョンだな。「筆が立つ」は文章が上手なこと、「筆に任せる」は勢いのままに書くことだ。「筆を入れる」は添削するとなる。文を書くのに昔は筆が必ずいるために、文章と筆は深いかかわりがあるのだ。
次は伊勢から類語、対義語、英訳の説明だ。
その1「脱稿」
まずは「脱稿」です。だっこうと読みます。原稿を書き終えるという意味です。「筆を擱く」は文章の長さはあまり問われませんが、脱稿はそれなりに長そうな文章に感じますね。
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