その2「そろいもそろって」
「そろいもそろって」は全員が同じように好ましくない様子を表します。述語にかかる修飾語として用いられ、全員がどの人をとっても同じように好ましくない状態であることを、慨嘆・憤慨などの暗示を伴って述べます。そのため、全員が同じように好ましい状態である場合についてはふつう用いません。「おしなべて」との違いは、全員がどの人をとっても同じように好ましくない状態であることを、慨嘆・憤慨などの暗示を伴って述べる点。「そろいもそろって」は「どいつもこいつも」に似ていますが、「どいつもこいつも」はとても乱暴な表現なので、女性はあまり用いない傾向にありますよ。
その3「そうじて」
「そうじて」は全体の傾向を述べる様子を表し、やや硬い文章語で、述語にかかる修飾語として用いられますよ。全体を見渡したうえで、その傾向は主観的に判断する様子を表し、判断の根拠は示されないことが多いです。また、特定の感情は暗示されていません。「そうじて」は「おしなべて」に似ていますが、「おしなべて」は全体にわたって同じ傾向をもつ様子を表し、ある範囲の全部に及ぶ場合も用いられますよ。
「おしなべて」の対義語は?
「おしなべて」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「いくぶん」
「いくぶん」は全体のうちのある一部分を表し、数量や程度が少ない様子を表します。「いくぶん」は「いくぶんか」の形で名詞で用いられ、客観的な表現であり、特定の感情を暗示しません。また、過去の状態と比較する文脈で用いられることが多いです。「いくぶん」は「たしょう」や「いくらか」に似ていますが、「たしょう」はとても客観的なニュアンスをもち、比較する対象の有無には言及しません。そして「いくらか」は「いくぶん」よりも表す絶対量が小さいです。
その2「いくらか」
「いくらか」は程度が少ない様子を表します。「今日は昨日よりいくらか暖かい」などは述語にかかる修飾語、「その家はいくらか前に傾いている」では名詞にかかる修飾語の用法になりますよ。またこの意味の時には「いくらか」と中高型のアクセントになる傾向があるでしょう。とても主観的な表現で、感覚的に程度が少ないというニュアンスで用いられます。
「おしなべて」の英訳は?
「おしなべて」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「おしなべて」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。
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