この記事では「霹靂」について解説する。

端的に言えば霹靂の意味は「かみなり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「霹靂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「霹靂」の意味や語源・使い方まとめ

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「霹靂」という漢字、読めるでしょうか。「青天の霹靂」という言葉は見聞きしたことがあるという方も多いことでしょう。「霹靂」とはどんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「霹靂」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「霹靂」の意味は?

まず初めに、辞書で「霹靂」の意味を確認してみましょう。「霹靂」には、次のような意味があります。

1.かみなり。いかずち。雷鳴。
2.雷が激しく鳴ること。落雷すること。また、大きな音が響き渡ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「霹靂」

「霹靂」は「へきれき」と読みます。雷そのものに加え、雷が落ちることや稲光、その激しく大きな音のことを意味する言葉です。また、雷に限らず、大きな音が響き渡ることも表現します。

では、よく耳にする「青天の霹靂」はどんな意味でしょう。これは、「予想だにしない出来事が突然起こる様子」を表す故事成語です。青く晴れ渡った空に突然雷が鳴りだすということから、急に起こった変動や大事件、突然受けた衝撃などを表現する言葉となりました。この場合、「晴天の霹靂」と書くのは誤りですので注意しましょう。「青く晴れ渡った空」つまり「青」が強調されているのだと覚えておくといいかもしれませんね。

「霹靂」の語源は?

次に「霹靂」の語源を確認しておきましょう。

「霹靂」の「」の字は、「激しく鳴るかみなり」を意味する漢字です。そして「」の字も、同じく「激しく鳴るかみなり」を意味する漢字なのですよ。どちらも雨冠(あめかんむり)で似たような漢字であるだけでなく、意味も同じなのですね。ちなみに、二文字とも漢字検定一級レベルの漢字なのですよ。この二つの文字を合わせて、激しく鳴る雷と大きな音を表現する言葉となりました。「霹靂く」と書くと「はたたく」と読み、「雷が鳴りとどろく」という意味であることもこの機会に覚えておきましょう。

青天の霹靂」の由来についても見てみましょう。中国南宋の詩人、陸游(りくゆう)が、漢詩『九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る』の中で、「青天に霹靂を飛ばす」と表したことがはじまりです。陸游が病床にあった時に突然に起きだして筆を走らせたその勢いを、雷、稲妻に例えたことから、本来は筆勢の激しさを表わしたものだと言われています。

\次のページで「「霹靂」の使い方・例文」を解説!/

「霹靂」の使い方・例文

「霹靂」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あの一部上場企業が令和の世になって倒産するとは、青天の霹靂だ。
2.子供の頃、不意の霹靂にビックリし、階段から直角に滑り落ちたことがある。
3.人気グループの撮影中、彼らの憧れの俳優が霹靂の如く登場したので現場は騒然となった。

「霹靂」は、日常生活の中では「青天の霹靂」と使われることが一番多いことでしょう。思いもしなったことが突然起こった時に、よく用いられる表現ですね。例文1のようにネガティブなことを表す時にも、例えば「受賞の知らせは青天の霹靂だった」というようなポジティブなシーンでも、どちらでも使うことができます

例文2では、雷そのもの、もしくは大きな音の意味で使われていますね。芥川竜之介の『妖婆』の中にも「天が裂けたような一声の霹靂と共に紫の火花が眼の前へ散乱すると」という表現があります。また、「霹靂のようなショックを受けた」などと、雷のようにインパクトが大きいことを表現したい場面でも用いることができますよ。

例文3では、強力なものが突然現れて衝撃を与えるようなシーンでの使われ方です。こちらも、大きな雷が突然とどろくことをイメージするとわかりやすいですね。

 

「霹靂」の類義語は?違いは?

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「霹靂」の類義語を見ていきましょう。

その1「雷」

「霹靂」の類義語としては、そのものずばり「」を挙げることができます。「雷」という漢字は、雨冠に「田」という字を書きますね。この「田」は実は「たんぼ」を表すものではありません。田を三つ重ねた「畾」という文字から来ているのです。この文字は、空に光る稲光の形や、ゴロゴロという音を表現した文字と言われているのですよ。

\次のページで「その2「天声」」を解説!/

その2「天声」

「天声」は「てんせい」と読みます。朝日新聞のコラム『天声人語』はご存知の方も多いのではないでしょうか。この「天声」は、「天(の神)がその意志を人間に伝える声。自然に人に示された天の言葉」という意味とともに、「天にもとどろく大きな音や声。雷鳴・大音声(だいおんじょう)など。転じて、世に響いた名声」という意味も持っています。

その3「電光」

「電光」は、「電光掲示板」という言葉でなじみがあるでしょうか。「雷雲中や雷雲間、または雲と地面との間に起こる、火花放電の際の発光現象」を表す言葉で、「稲妻」や「稲光」のことを言います。そこから「電灯の光」をも意味するようになりました。動作が極めて速いことを表す「電光石化」という四字熟語もよく使われますね。

「霹靂」の対義語は?

「霹靂」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「予定調和」

「霹靂」つまり「雷」と反対の意味を持つ言葉といったらどんな言葉を思い浮かべますか。「平らか」などでしょうか。「霹靂」にはこれと決まった反対の意味を持つ言葉はありません。ここでは、「青天の霹靂」と反対の意味を持つ言葉について解説します。

「予想だにしない出来事が突然起こる様子」の反対の意味ですから、「予定調和」が考えられますね。「予定調和」は、「世界の秩序は、神があらかじめ定めた結果だとする説」で、ライプニッツが唱えた哲学です。そこから日本社会では、「小説・映画・演劇・経済・政治等広い範囲で、観衆・民衆・関係者等の予想する流れに沿って事態が動き、結果も予想通りであることをいう」ようになりました。

「霹靂」の英訳は?

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「霹靂」を英語に訳すと、どのように表現できるでしょうか。

その1「thunder」

thunder」は「雷、雷鳴、雷のような音」という意味の単語です。他にも「thunderclap(雷鳴のひと鳴り、雷鳴のようなもの)」「thunderbolt( 雷電、落雷、思いがけない事柄)」と表すこともできます。

\次のページで「その2「bolt」」を解説!/

その2「bolt」

bolt」は「ボルト、ねじくぎ」という意味の方がすぐに浮かぶかもしれませんが、「稲妻、雷」という意味も持っています。「噴出」という意味もありますので、「a bolt of water(水の噴出)」と表現することもできますよ。ですから、「bolt of lightning」とすると落雷や稲妻のことを表すことができるのです。

その3「a bolt from the blue」

青天の霹靂」の英語訳も見てみましょう。「a bolt from the blue」と表現します。「青い空から稲妻」という意味になりますね。この表現は、19世紀のカーライルの著作が初出と言われているのですよ。

他にも、「out of the blue」「out of thin air」、もっと簡単に「all of sudden」と表すこともできます。

He snores like thunder.(彼は霹靂のようないびきをかく。)

It came to the president like a bolt of lightning.(あれは社長が霹靂の如くひらめいたことだ。)

The news of her death came as a bolt from the blue.(彼女の訃報は青天の霹靂だった。)

「霹靂」を使いこなそう

この記事では「霹靂」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「霹靂」は雷そのもののこと、また雷が落ちることや稲光、激しく大きな音のことを表す言葉でした。いざ書こうとするととても難しい漢字ですね。せっかくですので、この機会に一度紙に書いてみるのもいいかもしれません。「霹靂」を日常的に使うことはなかなかないことかもしれませんが、「青天の霹靂」は使う機会もあるでしょう。ささっと書くことができたら、みんなをあっと言わせることができるかもしれませんね。

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「霹靂」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「霹靂」について解説する。

端的に言えば霹靂の意味は「かみなり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「霹靂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「霹靂」の意味や語源・使い方まとめ

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「霹靂」という漢字、読めるでしょうか。「青天の霹靂」という言葉は見聞きしたことがあるという方も多いことでしょう。「霹靂」とはどんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「霹靂」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「霹靂」の意味は?

まず初めに、辞書で「霹靂」の意味を確認してみましょう。「霹靂」には、次のような意味があります。

1.かみなり。いかずち。雷鳴。
2.雷が激しく鳴ること。落雷すること。また、大きな音が響き渡ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「霹靂」

「霹靂」は「へきれき」と読みます。雷そのものに加え、雷が落ちることや稲光、その激しく大きな音のことを意味する言葉です。また、雷に限らず、大きな音が響き渡ることも表現します。

では、よく耳にする「青天の霹靂」はどんな意味でしょう。これは、「予想だにしない出来事が突然起こる様子」を表す故事成語です。青く晴れ渡った空に突然雷が鳴りだすということから、急に起こった変動や大事件、突然受けた衝撃などを表現する言葉となりました。この場合、「晴天の霹靂」と書くのは誤りですので注意しましょう。「青く晴れ渡った空」つまり「青」が強調されているのだと覚えておくといいかもしれませんね。

「霹靂」の語源は?

次に「霹靂」の語源を確認しておきましょう。

「霹靂」の「」の字は、「激しく鳴るかみなり」を意味する漢字です。そして「」の字も、同じく「激しく鳴るかみなり」を意味する漢字なのですよ。どちらも雨冠(あめかんむり)で似たような漢字であるだけでなく、意味も同じなのですね。ちなみに、二文字とも漢字検定一級レベルの漢字なのですよ。この二つの文字を合わせて、激しく鳴る雷と大きな音を表現する言葉となりました。「霹靂く」と書くと「はたたく」と読み、「雷が鳴りとどろく」という意味であることもこの機会に覚えておきましょう。

青天の霹靂」の由来についても見てみましょう。中国南宋の詩人、陸游(りくゆう)が、漢詩『九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る』の中で、「青天に霹靂を飛ばす」と表したことがはじまりです。陸游が病床にあった時に突然に起きだして筆を走らせたその勢いを、雷、稲妻に例えたことから、本来は筆勢の激しさを表わしたものだと言われています。

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