この記事では「お気遣い」について解説する。

端的に言えばお気遣いの意味は「配慮・懸念」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「お気遣い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「お気遣い」の意味や語源・使い方まとめ

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「お気遣い」は時折耳にする表現ですが、具体的な意味や似た単語との使い分けを知っていますか?きちんと使えると、上品に感謝の気持ちを表せる言葉なので知っておいて損はありません。

それでは早速「お気遣い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お気遣い」の意味は?

「お気遣い」には、次のような意味があります。

1 あれこれと気をつかうこと。心づかい。「どうぞお気遣いなく」

2 よくないことが起こるおそれ。懸念。「情報が漏れる気遣いはない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「気遣い」

上記は「気遣い」の意味で、これを尊敬語にしたものが「お気遣い」です。

「気遣い」はこのように大きく分けて「相手に対する思いやり」「不都合が起こる予測」の2つの意味で使うことができます。一般的に広く使われるのは前者で、他者の行動を指して使うことが多いです。

また、特に「お気遣い」という尊敬語の形で使う場合はほぼ確実に前者の意味なので覚えておきましょう。

 

「お気遣い」の使い方・例文

「お気遣い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「お気遣い」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.すぐに退席しますので、どうぞお気遣いなく。
2.(出先でお茶を出していただいて)お気遣いありがとうございます。
3.(上司から体調は大丈夫かと心配の声掛けをもらい)お気遣いに感謝いたします。

1では、「あれこれ構っていただかなくても大丈夫です」という遠慮の気持ちを柔らかく伝えています。言葉自体は謙虚な姿勢を表しているのですが、言い方によって嫌味な雰囲気にも聞こえてしまうので注意が必要でしょう。

2は、相手の配慮や厚意に感謝の気持ちを示している例です。「ありがとうございます。」だけより行為以上に相手の気持ちに感謝の意を伝えられる表現です。

3の例は、目上の方が心配するという手間をかけてくれることに対して感謝しています。ちなみに、逆の立場で部下に対して「お気遣いありがとう」と言うと皮肉っぽく響くので「気遣ってくれてありがとう」のように伝えると良いでしょう。

「お気遣い」の類義語は?違いは?

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「お気遣い」の類義語にはどんな言葉があるのでしょうか。一緒に確認していきましょう。

その1「お心遣い」

「お気遣い」とほとんど同じ意味を持つ言葉です。使い分けようという際に考えるべきは「お心遣い」の方が一歩進んだニュアンスを持つことでしょう。

端的に言えば「お気遣い」はマナーなどを含めて一般的に取りうる行動の範囲内で収まる行為のことを指します。それに対して「お心遣い」はその範疇を超えた行為のことを指す表現です。

より相手の「心からの行為」だと感じたら「お心遣い」と呼ぶと良いでしょう。

その2「ご配慮」

「お心遣い」「お気遣い」のどちらの代用としても使えます。

その中でも、「慮る」という字が使われていることからも、「(不便や不都合などを)想像してうまくいくよう考えた行動をしてくれる」というニュアンスのときに「ご配慮」がぴったりでしょう。そのため、発言よりも具体的な行動に対して使うことが多いです。

ただし、他人の家にお邪魔したときにご家族などに言う「お気遣いなく」の使い方では言い換えることができません。多くの場合、既にしていただいたことに対して使います。

\次のページで「その3「ご深慮」」を解説!/

その3「ご深慮」

他の言葉に比べて使用頻度が低く、なじみがないかもしれません。「ごしんりょ」と読みます。

文字通り相手の「深い考え」「思慮」のことを指す言葉です。具体的にどのように使うのか、例文をご覧ください。

この度は格別のご深慮を賜り、心より感謝申し上げます。

このように、ビジネスなどのオフィシャルな場面の中でも社外の大切な相手への文書などで用います。口頭で使うと重々しく聞こえるかもしれません。

「お気遣い」の対義語は?

明確な対義語というものはありません。強いて言えば、「不躾」「失礼」などが挙げられます。配慮や礼儀に欠ける様子を表す点で配慮や心配りを示す「お気遣い」と逆の意味の言葉です。

相手の言動を敬う「お気遣い」に対して、自身や身内の人物の言動に関して使う点も異なる部分でしょう。

「お気遣い」の英訳は?

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つづいて、「お気遣い」という言葉を英語で表現する方法についてご紹介します。日本語での会話同様、相手に素敵な気遣いをいただいたらきちんと感謝を伝えたいものです。

どのようにその温かい気持ちを表現できるか、確認していきましょう。

その1「Thank you for your kindness.」

「kindness」はやさしさ、親切という意味を持つ単語です。日本語だと「お気遣いいただきありがとうございます。」といったところでしょうか。

簡単な文章でありながら目上の方に対しても違和感なく使える表現なので、最も使いやすいでしょう。

「kindness」を「considerration」に変えれば「ご配慮いただきありがとうございます。」に近い意味にすることもできるので使い分けてみてください。

\次のページで「その2「I really appreciate your concern.」」を解説!/

その2「I really appreciate your concern.」

「concern」には懸念、心配などの意味が含まれています。

例文その3のように、体調不良などについて心配していただいた際に使える表現です。具体的な行動だけでなく優しい声掛けへの感謝の意も伝えられます。

「appreciate」は「thank you」より感謝の度合いが強い表現なので、ここぞというときに使うと良いでしょう。

「お気遣い」を使いこなそう

この記事では「お気遣い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「お気遣い」はビジネスの場だけでなく、日常会話でも感謝の気持ちをより伝えるために使えます。感謝される側も温かい気持ちになる不思議な言葉ですね。

ただし、笑顔で言わないと「わざわざどうも」というような皮肉に聞こえてしまうこともあります。円滑な人間関係を築くためにも、しっかり意味や使い方を覚えて活用していきましょう。

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国語言葉の意味

「お気遣い」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「お気遣い」について解説する。

端的に言えばお気遣いの意味は「配慮・懸念」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「お気遣い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「お気遣い」の意味や語源・使い方まとめ

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「お気遣い」は時折耳にする表現ですが、具体的な意味や似た単語との使い分けを知っていますか?きちんと使えると、上品に感謝の気持ちを表せる言葉なので知っておいて損はありません。

それでは早速「お気遣い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お気遣い」の意味は?

「お気遣い」には、次のような意味があります。

1 あれこれと気をつかうこと。心づかい。「どうぞお気遣いなく」

2 よくないことが起こるおそれ。懸念。「情報が漏れる気遣いはない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「気遣い」

上記は「気遣い」の意味で、これを尊敬語にしたものが「お気遣い」です。

「気遣い」はこのように大きく分けて「相手に対する思いやり」「不都合が起こる予測」の2つの意味で使うことができます。一般的に広く使われるのは前者で、他者の行動を指して使うことが多いです。

また、特に「お気遣い」という尊敬語の形で使う場合はほぼ確実に前者の意味なので覚えておきましょう。

 

「お気遣い」の使い方・例文

「お気遣い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「お気遣い」の類義語は?違いは?」を解説!/

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