この記事では「頓挫」について解説する。

端的に言えば頓挫の意味は「途中でくじける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなをを呼んです。一緒に「頓挫」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「頓挫」の意味や語源・使い方まとめ

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「頓挫」はビジネスシーンではよく見聞きする言葉ではないでしょうか。読み方は「とんざ」です。「肝入りだったプロジェクトが、先週頓挫したらしい」などと使います。日常会話ではあまり使わない上に、「頓」の字が少々難しい言葉ですね。「頓挫」の意味や語源を知り、正しく使いこなせるようになるとビジネスシーンでの表現力が上がりますよ。

それでは早速「頓挫」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頓挫」の意味は?

「頓挫」には、次のような意味があります。

1.勢いが急に弱まること。また、計画や事業などが途中で遂行できなくなること。
2.文章や演説の調子が急に変わること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頓挫」

ビジネスシーンで使われるときは、1の意味の場合がほとんどですね。途中で調子が変わって勢いが弱まったり、計画やプロジェクトが中止になるさまを表す言葉です。好ましい状況ではありませんが、現実ではよくあることではないでしょうか。

2の意味は初めて知ったという人も多いかもしれません。古く文語的な言い回しなので、現代ではほぼ使われないからです。

この記事では1の「途中でくじける」という意味の「頓挫」について解説していきます。

「頓挫」の語源は?

次に「頓挫」の語源を確認しておきましょう。漢字1文字ずつ見ていくとよくわかりますよ。

」の字は、「ぬかずく(額を地面につけておがむ)、とどまる、つまづく、困り果てる、疲れる」といった意味を持っています。意味を並べただけで行き詰っている様子が目に浮かぶようです。

」は、「くじける、途中で勢いが弱まる」という意味を持っています。

この2つの漢字が組み合わさり、「計画や事業が途中で中止になる、勢いが弱まる」という意味を持つようになりました。

「頓挫」の使い方・例文

「頓挫」の使い方を例文を使って見ていきましょう。実際に使うシーンを想像しながら読んでみてください。

\次のページで「「頓挫」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.計画を綿密に立てないまま見切り発車してしまったので、早くも頓挫しそうだ。
2.大地震と台風被害の影響が重なり、工事は頓挫してしまった。
3.メンバーが次々とスキャンダルを起こし、アイドルグループの活動は頓挫した。

いずれも「勢いが弱まる、計画や事業、活動が途中で中止になる」という意味を持っていることが分かると思います。

例文1はビジネスシーンを想定しました。新しいプロジェクトを始めたのに、無計画だったために勢いがあったのは始めだけ。早くも失速し、中止になりそうだ、という意味です。何ごとも計画は大切ですね。

例文2は工事の中止を、例文3はグループの活動中止を「頓挫」で表現しています。「頓挫」は計画やプロジェクトだけではなく、工事や活動といった「一定期間の継続が前提である出来事」に対しても使えるのですね。

「頓挫」の類義語は?違いは?

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人間は何かと「頓挫」しやすいもの。したがって「頓挫」の類義語も数多くあります。代表的な3つをご紹介しましょう。

その1「中断」

「中断」とは「進行中の物事が途中でとぎれること」を意味します。似た表現に「中止」がありますが、使い方が少々異なるので注意しましょう。「中断」は再開の可能性があることに対して、「中止」は再開の可能性がないことに対して使われます。

その2「挫折」

「挫折」も「頓挫」の類義語ですね。「目的をもって続けてきた仕事などが中途でだめになること、くじけ折れること」という意味です。誰しも一度は経験があるのが「挫折」、気分の落ち込みや精神的なダメージといったニュアンスも含まれます。

その3「失敗」

「失敗」は日常的によく使いますね。「頓挫」、つまり物事が途中で終わってしまうということは、当初の計画は成し遂げられなかったということですよね。計画が「頓挫」したことを、すなわち「失敗」と表現しているという意味の類義語になります。

\次のページで「「頓挫」を使った四字熟語は?」を解説!/

「頓挫」を使った四字熟語は?

「頓挫」を使った四字熟語を2つご紹介します。難しい表現ですが、マスターするとワンランク上の表現力が身につきますよ。

その1「抑揚頓挫」

抑揚頓挫(よくようとんざ)」は頓挫の意味でご紹介したうち、2番目の意味を使った四字熟語です。この熟語の意味は「文や声などの調子を上げ下げしたり、途中で滞らせたりして、全体的な効果をはかること」。話は平坦では聞いていて面白くありませんね。落語のようにうまく「抑揚頓挫」されている話方は、聞き手を惹きつけます。

その2「沈鬱頓挫」

沈鬱頓挫(ちんうつとんざ)」は、「詩文の字句や内容に風格があり過ぎて、奥深く、また含蓄に富み、意味が通じにくいさま」という意味です。「沈鬱」は、気分が沈んだり心が晴れ晴れしていないさまを表しています。表現にこだわりすぎると「沈鬱頓挫」な文章になりますから、ほどほどに。

「頓挫」の対義語は?

続いて「頓挫」の対義語を見てみましょう。「頓挫」は「途中で中止する」という意味でしたね。では反対の意味は?

その1「成就」

成就(じょうじゅ)」は「願望していたことが実現すること」という意味です。「頓挫」が途中でくじけてやめてしまう、という意味でしたから、最後まで志を全うする「成就」は「頓挫」の対義語と言えます。

その2「完遂」「貫徹」

完遂(かんすい)」「貫徹(かんてつ)」もビジネスシーンで使う表現ですね。いずれも「最後までやり遂げること、目的達成まで思い通りにやり抜く」という意味です。

「頓挫」の英訳は?

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物事が途中で中止になってしまうことは、きっと世界共通のことのはず。「頓挫」を英語で表現するとどうなるのか、見てみましょう。

\次のページで「その1「abort」」を解説!/

その1「abort」

まず「abort」を見てみましょう。「abort」には「計画などを途中で終わらせる」という意味があります。名詞形にした「abortion」は「中絶」という意味です。

その2「failure」

「failure」も「頓挫」の英訳として使えます。「頓挫」の類義語で「失敗」をご紹介しました。その「失敗」を英訳したものが「failure」になります。

「頓挫」を使いこなそう

この記事では「頓挫」の意味・使い方・類語などを説明しました。

物事を始めたからには最後までやり切り、成果を手にしたいものです。しかし毎回100%達成できる人は稀なもの。誰しもが「頓挫」とは隣り合わせです。人生や仕事で「頓挫」してしまうこともありますよね。そんな時は「頓挫」した原因を振り返り糧にしていくと、きっと大きく成長していけますよ。

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国語言葉の意味

「頓挫」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「頓挫」について解説する。

端的に言えば頓挫の意味は「途中でくじける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなをを呼んです。一緒に「頓挫」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「頓挫」の意味や語源・使い方まとめ

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「頓挫」はビジネスシーンではよく見聞きする言葉ではないでしょうか。読み方は「とんざ」です。「肝入りだったプロジェクトが、先週頓挫したらしい」などと使います。日常会話ではあまり使わない上に、「頓」の字が少々難しい言葉ですね。「頓挫」の意味や語源を知り、正しく使いこなせるようになるとビジネスシーンでの表現力が上がりますよ。

それでは早速「頓挫」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頓挫」の意味は?

「頓挫」には、次のような意味があります。

1.勢いが急に弱まること。また、計画や事業などが途中で遂行できなくなること。
2.文章や演説の調子が急に変わること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「頓挫」

ビジネスシーンで使われるときは、1の意味の場合がほとんどですね。途中で調子が変わって勢いが弱まったり、計画やプロジェクトが中止になるさまを表す言葉です。好ましい状況ではありませんが、現実ではよくあることではないでしょうか。

2の意味は初めて知ったという人も多いかもしれません。古く文語的な言い回しなので、現代ではほぼ使われないからです。

この記事では1の「途中でくじける」という意味の「頓挫」について解説していきます。

「頓挫」の語源は?

次に「頓挫」の語源を確認しておきましょう。漢字1文字ずつ見ていくとよくわかりますよ。

」の字は、「ぬかずく(額を地面につけておがむ)、とどまる、つまづく、困り果てる、疲れる」といった意味を持っています。意味を並べただけで行き詰っている様子が目に浮かぶようです。

」は、「くじける、途中で勢いが弱まる」という意味を持っています。

この2つの漢字が組み合わさり、「計画や事業が途中で中止になる、勢いが弱まる」という意味を持つようになりました。

「頓挫」の使い方・例文

「頓挫」の使い方を例文を使って見ていきましょう。実際に使うシーンを想像しながら読んでみてください。

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