

元素記号Nで表される窒素は、生物にとってなくてはならない元素だ。生物や生物以外の環境で、窒素がどのように移り変わっていくのかを知ることは、とても重要だぞ。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
- 窒素循環
- 生物と窒素
- 土壌中の窒素
- 大気中の窒素
- 大きな流れを説明できるようにしよう
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
窒素循環
高校で学習する生物学では、窒素や炭素などの特定の物質が、生体内や地球環境上をどのようにめぐるのかを学習します。「地球上で窒素(ちっそ)がどのように循環していくのか」=窒素循環(ちっそじゅんかん)を学ぶことは、生物の学習上避けて通ることができません。
全体的な流れをみる前に、まずは窒素という物質が、生体内、土壌中、そして大気中でどのように存在しているのかを確認していきましょう。
生物と窒素
私たち人間をはじめとしたあらゆる生物は、その命をつなぐために必ず窒素を必要とします。なぜならば、窒素原子は”アミノ酸”や”核酸”にふくまれている、重要な構成要素にほかならないからです。
アミノ酸は、アミノ基とカルボキシ基とよばれる”パーツ”をもった有機化合物の総称です。アミノ基には必ず窒素原子がふくまれています。
そして、このアミノ酸が鎖のように並び、結合してできるのがタンパク質。からだじゅうの筋肉のみならず、体内でおきるさまざまな化学反応(代謝)をすすめる酵素もタンパク質でできています。

我々は、別の生物を食べることによって窒素を補給している。十分な食事がとれずに窒素が不足してしまうと、タンパク質や核酸をつくる材料が足りないということになるんだ。
核酸の存在も忘れてはいけません。核酸というのは、遺伝情報を担う高分子、DNAとRNAをまとめて指した言葉です。
核酸はヌクレオチドとよばれる構成単位が集まってできています。一つ一つのヌクレオチドは、「糖・リン酸・塩基」の3つのパーツからなりますが、このうちの「塩基」には必ず窒素が含まれているのです。
Iquo – Illustrated by the uploader, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
以上からも分かる通り、生物はタンパク質や核酸の”材料”として、生きていくために窒素をからだに取り入れなくてはならないのです。生物学で窒素の循環を学ぶのは必然だといえるでしょう。
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