この記事では「不徳の致すところ」について解説する。

端的に言えば不徳の致すところの意味は「自身の不道徳さが招いた失態」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

を呼んです。一緒に「不徳の致すところ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「不徳の致すところ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 32622387

それでは早速「不徳の致すところ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「不徳の致すところ」の意味は?

「不徳の致すところ」には、次のような意味があります。

自分の不徳のため引き起こしたこと。失敗や不都合のあったとき、謝罪の意味で使う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不徳の致すところ」

「不徳の致すところ」は「ふとくのいたすところ」と読みます。「不徳」は人のあるべきに反している状態のことを指す言葉です。言い換えれば「私の人間性や品性に問題があったための事態だ」という深い反省の意を表しています。

実際に人を殺めるなど、人としてやってはいけないほどのことをした際に使うというよりは、「それほど深い謝罪の気持ち」を伝えたいときに使うことが多いでしょう。ちょっとしたミスに対して使うと大げさな印象を与えてしまうので、状況に合わせて使いたい言葉です。

「不徳の致すところ」の語源は?

次に「不徳の致すところ」の語源を確認しておきましょう。「不徳」は前述の通り「徳がない状態」のことを指します。

と言われてもイメージがつかないかもしれませんね。では、「徳」とは何なのか、定義を見てみましょう。

\次のページで「「不徳の致すところ」の使い方・例文」を解説!/

1 精神の修養によってその身に得たすぐれた品性。人徳。「徳が高い」「徳を修める」→徳目

2 めぐみ。恩恵。神仏などの加護。「徳をさずかる」「徳を施す」

3 ⇒得 (とく) 1

4 富。財産。

「―いかめしうなどあれば、…家の内もきらきらしく」〈源・東屋〉

5 生まれつき備わった能力・性質。天性。

「鳥といっぱ、高く飛ぶをもってその―とす」〈仮・伊曽保・下〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「徳」

この中でも1のように、「すぐれた品性」がない人の行い、または普段徳の高い人がその志に反するような行いをしたときに「不徳」と表現します

また、「致す」には「至らせる」という意味があります。そのため、「~の致すところ」は「~が原因となり引き起こされる結果」という意味を表す表現です。

「不徳の致すところ」の使い方・例文

「不徳の致すところ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この度は、私の不徳の致すところでお騒がせして大変申し訳ございません。しっかりと反省して、また応援していただけるよう努めてまいります。
2.秘書の不適切な発言は私の不徳の致すところでございます。心よりお詫び申し上げます。
3.私の不徳の致すところで社内全体にご迷惑をおかけしてしまいました。猛省しております。

1は芸能人や著名な人物が口頭で不祥事について謝罪する際に使っているところを想像してみてください。不祥事の詳細について明言を避けつつ反省する姿勢を表しています。

2は身内かつ自分より立場の低い者のミスについて謝罪する場面です。ビジネス以外でも、自分の子供が悪いことをしたときにも使うことができます。

3は深い反省の気持ちを表すために使う例です。大きな損失を出してしまったときに使います。メールの誤字など小さなミスに使うとかえって失礼な印象を与えかねないので気を付けましょう。

\次のページで「「不徳の致すところ」の類義語は?違いは?」を解説!/

「不徳の致すところ」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 69427394

次に、「不徳の致すところ」の類義語や言いかえ表現について見ていきましょう。

その1「私のせいです」

「不徳の致すところ」という表現の「自身に原因がある」という部分を表しています。

よりカジュアルな表現なので、程度が軽い場合や立場の近い人物に対して使うと良いでしょう。少し稚拙に聞こえる可能性があるため、正式な場や書面上では避けるのが無難です。口頭で軽く言うときにに違和感なく使うことができます。

また、単体では謝罪の気持ちは含まれていないので、合わせて「申し訳ございません」「すみません」といった謝罪の言葉を使ってくださいね。

その2「私の責任です」

その1同様、「自身に原因がある」状況を示しています。よりフォーマルにも使える表現なので、「不徳の致すところ」を使う程の重大なミスでないときに使えるでしょう。

例文の2のように、自分自身のミスではなく部下などに落ち度がある際の「監督不行き届き」について謝罪するときにぴったりです。部下の失敗も自分の責任と言える姿は頼りがいがありますね。

その3「非を認めます」

その1、2とほとんど同じ意味ですが、上から目線、しぶしぶといったニュアンスがにじむ表現です。

「~という点についてはこちらの非を認めますが、○○に関しては…」のように、自身に責任のある点が部分的である場合に使うことが多いでしょう。

他の表現に比べて反省の気持ちがあまり表現されない言葉ですので、挑戦的な発言に捉えられかねず使う場面に気を付けたい表現です。

「不徳の致すところ」の対義語は?

image by PIXTA / 24144928

「不徳の致すところ」には、明確な対義語はありません。

反対の意味というと「私の人間性のせいではない」ということになります。

該当する単語はないのでどうしても反対の意味を表現したい場合は「私の責任ではございません」などでしょう。

ただし、一般的にビジネスの場などオフィシャルな場面では自分以外に責任の所在を指摘するのは印象が良くないため、あまり使わない方が良いとも言えます。

「不徳の致すところ」の英訳は?

image by PIXTA / 31792595

英語で「不徳の致すところ」のように深い謝罪を表したいときはどのように伝えられるのでしょうか。

\次のページで「その1「This is all my mistake.」」を解説!/

その1「This is all my mistake.」

「これはすべて私のミスです」という意味合いです。例文のうちその2のように部下などのミスを被る際に使えます。

謝罪の意味まで含まれていないので、「I(we) sincerely apologize.」「Please accept my(our) sincere apology.」など深いお詫びの言葉を添えるのがおすすめです。

その2「I’m very sorry for causing this.」

ストレートに「この事態を引き起こしてしまい、本当にすみません」と伝える表現です。

英語・日本語のどちらでも謝罪や反省の意をきちんと伝えることが最優先なのでシンプルで使いやすいでしょう。

「不徳の致すところ」を使いこなそう

この記事では「不徳の致すところ」の意味・使い方・類語などを説明しました。言い方や使う場面によっては形式ばった言い方に聞こえ、失礼に感じる方もいます。

謝罪するときに一番大切なのは「申し訳ないと思う気持ち」です。言葉にこだわるよりも、反省する姿勢をきちんと見せましょう。

とは言え、自分の行いに対してそれ程責任感を持つのは良いことです。その強みを活かして一緒に日々がんばっていきましょうね。

" /> 【慣用句】「不徳の致すところ」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「不徳の致すところ」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「不徳の致すところ」について解説する。

端的に言えば不徳の致すところの意味は「自身の不道徳さが招いた失態」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

を呼んです。一緒に「不徳の致すところ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「不徳の致すところ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 32622387

それでは早速「不徳の致すところ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「不徳の致すところ」の意味は?

「不徳の致すところ」には、次のような意味があります。

自分の不徳のため引き起こしたこと。失敗や不都合のあったとき、謝罪の意味で使う。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不徳の致すところ」

「不徳の致すところ」は「ふとくのいたすところ」と読みます。「不徳」は人のあるべきに反している状態のことを指す言葉です。言い換えれば「私の人間性や品性に問題があったための事態だ」という深い反省の意を表しています。

実際に人を殺めるなど、人としてやってはいけないほどのことをした際に使うというよりは、「それほど深い謝罪の気持ち」を伝えたいときに使うことが多いでしょう。ちょっとしたミスに対して使うと大げさな印象を与えてしまうので、状況に合わせて使いたい言葉です。

「不徳の致すところ」の語源は?

次に「不徳の致すところ」の語源を確認しておきましょう。「不徳」は前述の通り「徳がない状態」のことを指します。

と言われてもイメージがつかないかもしれませんね。では、「徳」とは何なのか、定義を見てみましょう。

\次のページで「「不徳の致すところ」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: