端的に言えば「婉曲」の意味は「遠回しなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元教員のWebライター、神シゲを呼んです。一緒に「婉曲」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/神シゲ
元教員Webライター。現役のころは語学研究に没頭していた。日本語の微妙なニュアンスをわかりやすく伝えていく。
「婉曲」の意味は?
「婉曲」には、次のような意味があります。
[形動][文][ナリ]言いまわしが穏やかでかど立たないさま。露骨でなく、遠まわしに言うさま。「申し出を婉曲に断る」「婉曲な表現」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「婉曲」
「婉曲」は遠回しな言い方を表します。話をする事柄や場合、あなたと相手との人間関係によってはストレートな表現をしてしまうと角が立つものです。円滑なコミュニケーションのために、何か相手にとってネガティブな情報を伝えるときには婉曲表現が好まれます。そういったところは直接的な方法が好まれる英語とは異なりますね。おそらく、日本には古典から現代文まで空気を読む文章が大切にされているからでしょう。
「婉曲」の語源は?
次に「婉曲」の語源を確認しておきましょう。
婉曲の「婉」という漢字は「おだやかで角がないこと」を表します。話をストレートにぶつけるのではなく、やわらかくそっと曲げるイメージがありますね。
日本人のような農耕で生計を立ててきた民族は協調性がなければ生き残れませんでした。集団の「和」を乱さないように常に仲間の気持ちを考えた言動が求められていたのです。
その流れの中「婉曲表現」を駆使して話すことは良いこととされていました。今でいうスマートな表現に近いものでしょうか。反対に「無粋」や「野暮」には格好悪いという共通認識がありました。
「婉曲」の使い方・例文
「婉曲」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は以下のように用いられます。
1. サイトにアップされた最新情報は、グループの解散を婉曲に示唆していた。
2. 彼女のお願いは婉曲に断られた。
「婉曲」が使われるのは主に伝えにくい物事を伝えるときです。特に提案の拒否は婉曲に伝えるべきとされています。
「婉曲」という言葉自体が使われる機会はそれほど多くはありません。しかし、日本語には本当に沢山の「婉曲表現」があります。
まずは「死亡」を表す婉曲表現です。「死亡する」という表現は直接的で、遺族の立場からすると不快感があるかもしれません。そこで用いられる婉曲表現は下記のようなものです。
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