「奇しくも」:偶然にも
「奇しくも」は「くしくも」と読みます。「きしくも」と読んでしまうことが多いので注意しましょう。
「奇しくも」には「偶然にも」という意味がありますが、こちらに関しては前章でも取り上げた言葉で「たまたま」「予期しないこと」という意味を持っているというお話をしました。誤用してしまうと間違った意味になり、場合によっては恥ずかしい思いをすることになるかもしれません。誤用表現がないように気をつけましょう。
「畏くも」:恐れ多くも
「畏くも」は「かしこくも」と読みます。こちらも一瞬戸惑ってしまうような読み方ですね。「畏くも」には「恐れ多くも」という意味がありますが、こちらも「いみじくも」とは全く違う意味です。
「奇しくも」「畏くも」どちらも「くも」で終わるので誤用表現されやすいですが、それぞれの意味を理解すると誤用表現の可能性がなくなりますね。読み方もそのまま読むと間違いだったり、躊躇してしまうような読み方になっているので注意が必要です。この機会にあわせて覚えてしまいしょう!
「いみじくも」の類義語・対義語は?
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「いみじくも」の類義語・対義語について考える機会はあまりなさそうですね。ちなみに類義語とは意味が似ている言葉、対義語とは意味が反対になったり対照的になっている言葉のことです。順番に見ていきましょう。
類義語:「見事に」「的確に」
「いみじくも」の類義語に「見事に」「的確に」などがあります。「いみじくも」は「的をしぼり、より強調する」という、対象になるものの範囲を限定しそれをより強調する役割があり、「見事に」「的確に」よりも聞こえは柔らかですがしっかりとしたメッセージを表現できる言葉。
「見事に」「的確に」のほうが幅広い意味を持ちますが、自分より目上の人に「見事に」「的確に」を使うと威圧的な感じを与えてしまうこともあります。例えば
A:課長は見事に私の失敗をフォローした
B:課長はいみじくも私の失敗をフォローした
Aだと、称賛や感謝の意味よりもマイナスなイメージが強くなりますね。一方Bでは伝えたいことは同じですが「いみじくも」を使うと柔らかさが加わり、課長の行動に対して上から目線ではない称賛や感謝の気持ちが伝わりやすくなっています。
「いみじくも」を使うことによって相手や周りの人たちに自分の伝えたいことを正確に知ってもらうことができますね。
対義語:「下手に」「適当に」
実は「いみじくも」の対義語はないとされています。「いみじくも」の類義語が「見事に」「的確に」ですのでその反対の意味を持つ言葉として「下手に」や「適当に」または「不適切に」などが対義語としては近い意味を持つのではないでしょうか。
「いみじくも」の意味を正しく理解してみんなに差をつけよう!
「いみじくも」の意味は「非常に上手く」です。「いみじくも」を」使うと多少ピリッとしたシチュエーションでも柔らかで繊細な雰囲気を伝えることができます。「いみじくも」は日本語特有の美しい響きを持つ言葉、是非積極的に使ってみましょう。