この記事では「霞を食う」について解説する。

端的に言えば霞を食うの意味は「浮世離れ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校生の頃は霞を食うような暮らしに憧れていた、読書家ライターの伊勢雄真を呼んです。一緒に「霞を食う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真

理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「霞を食う」の奥深い世界に誘おう。

「霞を食う」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは、「霞を食う」の世界を見に行きましょう。

「霞を食う」の意味は?

「霞を食う」の意味は次の通りです。

[仙人は霞を食って生きているといわれているところから]浮世離れして、収入もなしに暮らすことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「霞を食う」

「霞を食う」の辞書的な意味は上記の通りです。読みはそのまま「かすみをくう」ですね。

まずは字面をたどってみましょう。霞とは空気中に浮かんでいるさまざまな細かい粒子のために、遠くがはっきり見えない現象のことを指します。では、似たような意味の霧が何か分かりますか?地表や海面付近で大気中の水蒸気が凝結して、無数の微小な水滴となって浮遊する現象です。似たような意味ですね。実は、平安時代より前は霞と霧は混合されていましたが、現在では春は霞、秋は霧と分けています。また、霧や霞が薄い帯状になることも霞と言いますよ。そんな霞を食べて生きていけるなんて思えませんよね。霞を食べて生きている仙人が現実的でないことから浮世離れしたという意味になったのです。

霞という漢字にも着目しましょう。あめ冠の下の部分が「か」という音読みを示しているので、形声文字です。この部分は仮という意味を持ち、雨にはなれなかった水蒸気という意味になります。

さて、では「浮世」とは何でしょうか。もともとは「憂き世」と言って、辛いことの多い世の中という意味でした。それが、漢語ではかない世の中という「浮世(ふくせ)」の影響を受け、定めのない人の世の中という意味に変化して「浮き世」となりました。

「霞を食う」の語源は?

次に霞を食うの語源を確認しましょう。といっても辞書の引用で示した通り、「仙人が霞を食べて生活していることから」というのが語源となります。

では、仙人とはどのような存在なのでしょうか。仙人は漢民族の古くからの願望である不老不死の体術を取得し、俗世を離れ山に隠れ住む、理想的な人のことです。超人的な存在といったところでしょうか。古代中国の民間信仰を基盤とした、不老長老・現世利益を主な目的とした宗教である「道教」の理想とされています。そういった、一般人とはかけ離れた存在のために、「浮世離れした」という意味が生じたのです。

\次のページで「「霞を食う」の使い方・例文」を解説!/

「霞を食う」の使い方・例文

「霞を食う」の使い方を例文で確認します。以下をご覧ください。

霞を食うような生き方に憧れる。

霞を食うの部分を「現実離れした」に言い換えても意味が伝わりますね?正しく使えていることが分かります。

霞を食うを意味合いとして間違えるケースは少ないですが、使い方が異なるケースが多いです。以下の間違った使い方の例文で確認しましょう。

1.霞を食べるような暮らしに憧れる。

2.霞を吸うような暮らしに憧れる。

1.のように、「食う」が乱暴なイメージがあるために「食べる」としてやんわりとしたニュアンスにしようとすることがあります。これは慣用句としては間違いなので気を付けましょう。文中のほかの部分で丁寧さを保つようにしてください。

2.は「食う」を「吸う」に変えてしまうケースです。語源で触れたとおり、仙人が霞を食べる様子から生じた言葉なので、「吸う」では語源に反してしまいます。こちらもやはり慣用句として誤りです。

\次のページで「「霞を食う」の類義語は?違いは?」を解説!/

「霞を食う」の類義語は?違いは?

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ここでは「霞を食う」の類義語について確認します。

その1「世離れる」

「よばなれる」と読みます。俗世から遠く離れ、世情に疎くなるという意味です。「霞を食う」が世間離れで収入がないという結果にフォーカスを当てていますが、「世離れる」は世間の事情から遠のくという結果に焦点を当てていますね。

その2「超脱」

「ちょうぜつ」と読むのは分かると思います。世間の習慣や俗事から離れ、一段と高い境地へ達するという意味です。こちらは「霞を食う」の仙人という人間離れした部分のニュアンスに近いことが分かりますね。少々文語的なワードです。

「霞を食う」の対義語は?

次に「霞を食う」の対義語を解説します。

「現実的な」

「霞を食う」が浮世離れした生活という意味なので、対義語は実際にありうるというニュアンスを持つ「現実的な」という言葉にしました。この「実際にありうる」というキーワードを含む言葉であれば、「霞を食う」の対義語として良いでしょう。

「霞を食う」の英訳は?

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ここからは「霞を食う」の英訳について触れていきます。

\次のページで「その1「unworldly」」を解説!/

その1「unworldly」

「worldly」が世俗のだとか浮き世のという意味があります。接頭語のunがありますね。こちらは打ち消しにあたるので、「unworldly」で世間離れしたという意味になります。すなわち、霞を食うの英訳になりますね。ちなみに、接頭語の un は「逆の」という意味になることもありますので注意が必要です。

その2「different from this world」

different とは異なるという意味です。あとに続く前置詞はだいたい「from」となります。this worldでこの世界、すなわち俗世という意味です。よって、全体として訳すと「俗世と異なる」となります。

「彼は霞を食うような人だ」と英訳するにはどうすれば良いのでしょうか。以下の例文をご覧ください。

1.He is the man who is different from this world.

2.He is the man is different from this world.

関係代名詞で表してみました。「the man」は人なので、関係代名詞はwho または that となります。また2.のように、関係代名詞を省略するのも良いですね。また、関係代名詞以降の修飾部分は主語がかけた分となっていることもポイントです。

「霞を食う」を使いこなそう

さて、ここまで桜木先生と一緒に「霞を食う」の世界を見てきました。最後にポイントを振り返りましょう。1.「霞を食う」の意味。2.「霞を食う」の語源。3.「霞を食う」の類義語と対義語。4.「霞を食う」の英訳。5.霞と仙人にまつわる熟語。さて、みなさん全部分かりましたか?分からなかった問題は再度本文に戻って振り返ってくださいね。

「霞を食う」という言葉から、季語や英語、雑学的な知識まで学ぶことができました。皆さんも言葉を学習するときは、辞書やインターネットをつかってその背景まで踏み込んで学習すると良いですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「霞を食う」の意味や使い方は?例文や類語を読書家ライターがわかりやすく解説!

この記事では「霞を食う」について解説する。

端的に言えば霞を食うの意味は「浮世離れ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校生の頃は霞を食うような暮らしに憧れていた、読書家ライターの伊勢雄真を呼んです。一緒に「霞を食う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/伊勢雄真

理工学部に所属する現役大学生。読書が好きで自然科学分野から人文学・社会科学まで幅広く読む。
読書で培った様々な知識と理系の勉強で養った論理的思考力で、みなさんを「霞を食う」の奥深い世界に誘おう。

「霞を食う」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは、「霞を食う」の世界を見に行きましょう。

「霞を食う」の意味は?

「霞を食う」の意味は次の通りです。

[仙人は霞を食って生きているといわれているところから]浮世離れして、収入もなしに暮らすことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「霞を食う」

「霞を食う」の辞書的な意味は上記の通りです。読みはそのまま「かすみをくう」ですね。

まずは字面をたどってみましょう。霞とは空気中に浮かんでいるさまざまな細かい粒子のために、遠くがはっきり見えない現象のことを指します。では、似たような意味の霧が何か分かりますか?地表や海面付近で大気中の水蒸気が凝結して、無数の微小な水滴となって浮遊する現象です。似たような意味ですね。実は、平安時代より前は霞と霧は混合されていましたが、現在では春は霞、秋は霧と分けています。また、霧や霞が薄い帯状になることも霞と言いますよ。そんな霞を食べて生きていけるなんて思えませんよね。霞を食べて生きている仙人が現実的でないことから浮世離れしたという意味になったのです。

霞という漢字にも着目しましょう。あめ冠の下の部分が「か」という音読みを示しているので、形声文字です。この部分は仮という意味を持ち、雨にはなれなかった水蒸気という意味になります。

さて、では「浮世」とは何でしょうか。もともとは「憂き世」と言って、辛いことの多い世の中という意味でした。それが、漢語ではかない世の中という「浮世(ふくせ)」の影響を受け、定めのない人の世の中という意味に変化して「浮き世」となりました。

「霞を食う」の語源は?

次に霞を食うの語源を確認しましょう。といっても辞書の引用で示した通り、「仙人が霞を食べて生活していることから」というのが語源となります。

では、仙人とはどのような存在なのでしょうか。仙人は漢民族の古くからの願望である不老不死の体術を取得し、俗世を離れ山に隠れ住む、理想的な人のことです。超人的な存在といったところでしょうか。古代中国の民間信仰を基盤とした、不老長老・現世利益を主な目的とした宗教である「道教」の理想とされています。そういった、一般人とはかけ離れた存在のために、「浮世離れした」という意味が生じたのです。

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