この記事では「あくまで」について解説する。
端的に言えば「あくまで」の意味は「十分に、徹底的に、どこまでも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「あくまで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「あくまで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「あくまで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「あくまで」の意味は?

「あくまで」には、次のような意味があります。

[副]《動詞「あ(飽)く」の連体形+副助詞「まで」から》

1 物事を最後までやりとおすさま。徹底的に。「飽く迄(も)自説を貫く」

2 どこまでも。全く。「飽く迄(も)青い海」

出典:コトバンク

「あくまで」は最後までやり遂げる意志をもっている様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられる副詞です助詞の「も」は添えないことが多く、主体が行動を遂行する際のかたい意志を表明するニュアンスがあり、継続の暗示を伴いますよ。「あくまで」は「とことん」や「てっとうてつび」「どこまでも」などに似ていますが「とことん」は行動の行き着く終点まで行うことを暗示します。また「てっとうてつび」は最初から最後まで一貫して同一の行動を継続する暗示がありますし、「どこまでも」は限界がないことを暗示するだけで、やり遂げようとする意志には言及していません。

「あくまで」の語源は?

次に「あくまで」の語源を確認しておきましょう。

「あくまで」は「飽きるまで」から派生した言葉。「嫌になるほど…する」という意味から転じて「あくまで」という述語を修飾できる語ができました。それでは「飽」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「飽」は食べ物をあらわす「しょくへん」と腹がいっぱいである意味の音を示す「ホウ」とを合わせた字です。十分に食べて腹がいっぱいで食べられないこと、つまり「あきる」意味をあらわしますよ。

\次のページで「「あくまで」の使い方・例文」を解説!/

「あくまで」の使い方・例文

「あくまで」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.結婚するかどうかはあくまで本人次第だ。

2.サービス残業が違法なのはあくまでも原則だ。

3.僕はあくまで初心を貫くつもりだ。

「あくまで」にはある一定の範囲内に限定する様子を表す働きがあります。例文1においては「本人次第」が、例文2においては「原則」がその範囲です。また、限定される範囲以外にも可能性が存在することを暗示する作用がありますよ。例文1では人の勧めや政略による結婚など、例文2では現実にはサービス残業が行われている実態が存在することをそれぞれ暗示していますね。

「あくまで」の類義語は?違いは?

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「あくまで」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「とことん」

「とことん」は最後まで徹底して行う様子を表し、「とことんまで」「とことん」の形で述語にかかる修飾語として用いられますややくだけた表現で、かたい文章中にはあまり登場しません。「彼には物事をとことんまでやりぬく根気がない」などが「とことん」の基本的な用法で、一定の成果があがるまで徹底的にという意味。「明日は休みだから、今夜はとことん飲み明かそう」の「とことん」はこれから進んで程度を強調する様子を表し、必ずしも最終段階への到達は意味しません。しばしばあきらめの悪さや執着の暗示を伴います。「あくまで」との違いはややくだけた表現で、かたい文章中にはあまり登場しないという点でしょう。

\次のページで「その2「てっとうてつび」」を解説!/

その2「てっとうてつび」

「てっとうてつび」は最初から最後まで一貫している様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられます。基本的な用法は「彼はてっとうてつび自説を曲げなかった」など。最初から最後まで一貫して同一の行動を継続するという意味になります。「あいつはてっとうてつび金の亡者だ」などはこれから進んだ用法で、どこから見ても完全にという、程度を誇張する意味で用いられていますよ。「あくまで」との違いは主体の主観的な継続の意志を暗示しないという点でしょう。

その3「どこまでも」

「どこまでも」は一定の状態が際限もなく続く様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられますよ。具体的な距離についての用法は「その犬は私の後をどこまでもついてきた」など。「夏の空はどこまでも青い」などは具体的な距離についてと程度がはなはだしいことを誇張する様子の二通りにとれる表現です。また「君がどう思おうが、ぼくはどこまでも友達のつもりだよ」は人間の行為や心情について用いられた場合で、限界がないことを強調していますよ。さらに「君はどこまでも知らぬ存ぜぬで通ると思ってるのか」は常に一定の性質である様子を表しています。なお「あくまで」との違いは最後まで継続する主体の意志を強調し、常に一定の状態が際限もなく続く暗示はないという点でしょう。

「あくまで」の対義語は?

「あくまで」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「むやみ」

「むやみ」は結果を考えずに軽率に行動する様子を表す表現で、しばしば後ろに禁止や打消しの表現を伴います表現としてはとても冷静で、特定の感情を暗示しません。また「むやみに」は「むげに」や「やみくもに」に似ていますが、「むげに」は十分な配慮をしないというニュアンスで用いられますよ。「やみくもに」は目標を見定めずに行動するというニュアンスで、自暴自棄の暗示があります。

その2「むやみやたら」

「むやみやたら」は結果を考えずに軽率に行動する様子を表し、「むやみやたらに」「むやみやたらと」の形で述語にかかる修飾語として用いられることが多いです。また「むやみやたらと」のほうが「むやみやたらに」よりもくだけた表現になりますよ。しばしば後ろに禁止や打消しの表現を伴うか、行為を反省する文脈で用いられます。「むやみやたら」は「むやみ」の結果を考えずに軽率に行動する様子を強調した意味ですが、表現としてはとても冷静で、特定の感情を暗示しません。

「あくまで」の英訳は?

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「あくまで」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「あくまで」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

\次のページで「「insistently」」を解説!/

「insistently」

「insistently」は「しつこく、あくまで、むきになって」という意味。「The company should not accept negotiations insistently」で「会社側はあくまで交渉には応じないかまえだ」、「The old man was stubborn insistently」で「その老人はあくまで頑固だった」と訳すことができます。

「あくまで」を使いこなそう

この記事では「あくまで」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「あくまで」は最後までやり遂げる意志をもっている様子を表す副詞です。また、主体が行動を遂行する際のかたい意志を表明するニュアンスがあり、継続の暗示を伴うことが分かりました。かたい文章語か、くだけた会話で用いるかといった文体上の特色についても解説していますので参考にしてください。

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国語言葉の意味

「あくまで」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「あくまで」について解説する。
端的に言えば「あくまで」の意味は「十分に、徹底的に、どこまでも」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「あくまで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「あくまで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「あくまで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「あくまで」の意味は?

「あくまで」には、次のような意味があります。

[副]《動詞「あ(飽)く」の連体形+副助詞「まで」から》

1 物事を最後までやりとおすさま。徹底的に。「飽く迄(も)自説を貫く」

2 どこまでも。全く。「飽く迄(も)青い海」

出典:コトバンク

「あくまで」は最後までやり遂げる意志をもっている様子を表し、述語にかかる修飾語として用いられる副詞です助詞の「も」は添えないことが多く、主体が行動を遂行する際のかたい意志を表明するニュアンスがあり、継続の暗示を伴いますよ。「あくまで」は「とことん」や「てっとうてつび」「どこまでも」などに似ていますが「とことん」は行動の行き着く終点まで行うことを暗示します。また「てっとうてつび」は最初から最後まで一貫して同一の行動を継続する暗示がありますし、「どこまでも」は限界がないことを暗示するだけで、やり遂げようとする意志には言及していません。

「あくまで」の語源は?

次に「あくまで」の語源を確認しておきましょう。

「あくまで」は「飽きるまで」から派生した言葉。「嫌になるほど…する」という意味から転じて「あくまで」という述語を修飾できる語ができました。それでは「飽」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「飽」は食べ物をあらわす「しょくへん」と腹がいっぱいである意味の音を示す「ホウ」とを合わせた字です。十分に食べて腹がいっぱいで食べられないこと、つまり「あきる」意味をあらわしますよ。

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