この記事では「恐れ入ります」について解説する。

端的に言えば恐れ入りますの意味は「感謝いたします、恐縮です、申し訳ございません」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「恐れ入ります」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「恐れ入ります」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「恐れ入ります」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恐れ入ります」の意味は?

「恐れ入ります」には、次のような意味があります。

「恐れ入ります」は、目上の人間に対して「感謝」「恐縮」「申し訳なさ」などの気持ちを表明する言い回し。文脈によって意味合いが異なるが、幅広い文脈でさまざまな意味合いで使えるということでもある。相手が示した厚意に対して述べる「恐れ入ります」は、恐縮しつつ感謝(御礼)を述べる表現である。相手に何事かを依頼したり相手に声をかけたりする手前に述べる「恐れ入ります」は、「失礼します」という恐縮の意味合いが強い。いわゆるクッション言葉としてよく用いられる。

出典:実用日本語表現辞典「恐れ入ります」

「恐れ入ります」は「おそれいります」と読みます。硬い表現で、主にビジネスの場などで上記のような「感謝」「恐縮」「申し訳なさ」などあらゆる意味で用いられる言葉です。

また、目上の人物や敬意を払いたい人物に対しての依頼の際にクッション言葉としての役割も果たします。

このように、上手に使いこなせば上品で謙虚な印象を与えるので、使い方を覚えておいて損はありません。

「恐れ入ります」の語源は?

次に「恐れ入ります」の語源を確認しておきましょう。

恐れ入りますは、意味を見たときにもあったように相手を敬って使う言葉で、「恐れ入る」という動詞に助動詞「ます」をつけて丁寧にした形です。

この恐れ入るは文字通り「ひどく怖がる」「ひどく驚く」という意味を持ちます。「入る」は動詞の連用形について程度の深さを強調する役割を果たす接尾語です。

そのため、「恐れ入ります」には「私のような者にそんなことをしていただき、恐縮でひどく驚いてしまいます」「あなたのような方にこんなことを言って申し訳なさでいっぱいで恐ろしく思います」のような姿勢が表れています。

\次のページで「「恐れ入ります」の使い方・例文」を解説!/

「恐れ入ります」の使い方・例文

「恐れ入ります」の使い方を例文を使って見ていきましょう。「恐れ入ります」は主にビジネスの場などで使われますが、使い分ける際には微妙なニュアンスの違いに注意してください。

この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.恐れ入りますが、お名前を頂戴してもよろしいでしょうか。
2.(訪問先でお茶を入れていただいて)恐れ入ります。いただきます。
3.(上司に仕事を褒められて)恐れ入ります。まだまだがんばります。

複数の使い方ができる「恐れ入ります」の代表的な使用例を集めてみました。1は、お客様などに対して手間になることを依頼する際のクッション言葉として使われている例です。

2では、先方の気遣いに対して謙虚にお礼を伝えています。「ありがとうございます」でも言い換え可能ですが、よりかしこまった雰囲気になるので状況により使い分けると良いでしょう。

3では「恐縮です」と同じ意味で使われています。賞賛の言葉に対して低姿勢に受け入れるニュアンスを表せるので好印象ですね。

「恐れ入ります」の類義語は?違いは?

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それでは「恐れ入ります」の類義語を見ていきましょう。

その1「恐縮です」

「恐縮」も、文字通り恐れる気持ちで身が縮まる様子を表します。「恐れ入ります」と同じ場面で使われる表現です。

使い分ける必要もなく、ニュアンスの違いさえないため好みの方を使えば問題ありません。強いて言えばメールなど長い文中で同じ表現を避けるために使用することもできます。

\次のページで「その2「痛み入ります」」を解説!/

その2「痛み入ります」

「いたみいります」と読みます。通常以上の心配りをしていただいた際などに深い感謝の気持ちを込めて使う言葉です。

「恐縮です」「恐れ入ります」との違いは、依頼の前に置くクッション言葉としての用法はあまり見られないという点でしょう。

また、あまり使用頻度が低いためか、場合によっては皮肉っぽく聞こえることがあるようです。特に目上の方に対しては、明らかに感謝の気持ちを表していると分かる場面以外では使わないよう気をつけましょう。

その3「相すみません」

「あいすみません」と読みます。「相」は「相変わらず」のように、後に続く言葉を強調する役割を持つ接頭辞です。

そのため、「すみません」の「すまないと思う気持ち」を強調した表現になります。より深い謝罪の程度を示す言葉ですが、ビジネスなどオフィシャルな場では使いません。

また、近年使われることは珍しく、若者に対して言っても通じないことが多いでしょう。

「恐れ入ります」の対義語は?

恐れ入ります、には明確な対義語はありません。相手のことを敬い、感謝や断りを入れる表現であるため、逆の気持ちを伝える場面がないためです。

「恐れ入ります」の英訳は?

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最後に「恐れ入ります」のような謙虚な姿勢を表せる英訳にはどんなものがあるか、見てみましょう。

その1「I/we would be grateful if you could...」

「(恐れ入りますが)~していただけると幸いです」と伝えたいときに使える表現です。

「恐れ入ります」をクッション言葉として用いる際に対応する英語表現になります。

そこまでかしこまる必要がない場合、「Could you...?」だけでも使用可能です。

その2「I feel very sorry to ask you this but...」

「恐れ入ります」を「申し訳ございませんが」という意味で使う際に対応します

相手の手間になるような依頼をするときに使うと良いでしょう。

その1同様、「Could you...?」と言い換えることも可能です。

\次のページで「その3「I appreciate it.」」を解説!/

その3「I appreciate it.」

「ありがとうございます」の丁寧な言いかえ表現としての「恐れ入ります」に対応します。

日本語でも感謝の気持ちを「すみません」と表すことがありますが、ストレートに「感謝いたします」と伝えた方が好印象でしょう。

その1,2がこれから相手にしてもらいたい動作に対して付け加える表現であるのに対し、この用法は少し異なります。相手にしてもらったことに対して「恐れ入ります」という気持ちを伝えたいときに使うイメージです。

「恐れ入ります」を使いこなそう

この記事では「恐れ入ります」の意味・使い方・類語などを説明しました。1つの単語で「感謝」「恐縮」「謝罪」3種類の意味を持つ便利な言葉でしたね。また、意味が幅広いだけでなく謙虚な印象を与えることもできるため使い方を知っておくと多くの場面で役に立ちます。

ぜひ本記事を機に「恐れ入ります」を使いこなせるようになりましょう。

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国語言葉の意味

「恐れ入ります」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「恐れ入ります」について解説する。

端的に言えば恐れ入りますの意味は「感謝いたします、恐縮です、申し訳ございません」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「恐れ入ります」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「恐れ入ります」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「恐れ入ります」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「恐れ入ります」の意味は?

「恐れ入ります」には、次のような意味があります。

「恐れ入ります」は、目上の人間に対して「感謝」「恐縮」「申し訳なさ」などの気持ちを表明する言い回し。文脈によって意味合いが異なるが、幅広い文脈でさまざまな意味合いで使えるということでもある。相手が示した厚意に対して述べる「恐れ入ります」は、恐縮しつつ感謝(御礼)を述べる表現である。相手に何事かを依頼したり相手に声をかけたりする手前に述べる「恐れ入ります」は、「失礼します」という恐縮の意味合いが強い。いわゆるクッション言葉としてよく用いられる。

出典:実用日本語表現辞典「恐れ入ります」

「恐れ入ります」は「おそれいります」と読みます。硬い表現で、主にビジネスの場などで上記のような「感謝」「恐縮」「申し訳なさ」などあらゆる意味で用いられる言葉です。

また、目上の人物や敬意を払いたい人物に対しての依頼の際にクッション言葉としての役割も果たします。

このように、上手に使いこなせば上品で謙虚な印象を与えるので、使い方を覚えておいて損はありません。

「恐れ入ります」の語源は?

次に「恐れ入ります」の語源を確認しておきましょう。

恐れ入りますは、意味を見たときにもあったように相手を敬って使う言葉で、「恐れ入る」という動詞に助動詞「ます」をつけて丁寧にした形です。

この恐れ入るは文字通り「ひどく怖がる」「ひどく驚く」という意味を持ちます。「入る」は動詞の連用形について程度の深さを強調する役割を果たす接尾語です。

そのため、「恐れ入ります」には「私のような者にそんなことをしていただき、恐縮でひどく驚いてしまいます」「あなたのような方にこんなことを言って申し訳なさでいっぱいで恐ろしく思います」のような姿勢が表れています。

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