端的に言えばしっぽりの意味は「十分に湿り気を含むさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「しっぽり」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/柊 雅子
イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。「しっぽりは趣のある情緒豊かな言葉」という彼女が「しっぽり」について解説する。
「しっぽり」の意味は?
「しっぽり」には、次のような意味があります。
1.ぬれて十分に湿りけを含むさま。
2.男女の情愛のこまやかなさま。
3.落ち着いて静かなさま。しみじみ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「しっぽり」
「しっぽり」は十分に湿り気を含んだ状態を表す言葉です。例えば「しっぽりと雨が降る」は「辺りが充分湿り気を含むぐらいに雨が降る」、「若葉がしっぽりと春雨に濡れる」は「降っている春雨に若葉がしっとりと濡れる」という意味。そしてしっぽりと降る雨は静かに降る雨を指します。いくら十分に湿り気を含むといっても豪雨が降るような状況では「しっぽり」という言葉を使うことはありません。「しっぽり」が用いられるのは静かでゆっくりとした状況を示す場合です。
雨にもいろいろあるように男女の仲にもいろいろあります。「しっぽり」が示すのは「大人の恋愛」。一緒にいれば「嬉しい、楽しい、心が弾む」といった時期を経て、しみじみとした時間を過ごせるような関係をいいます。
またゆったりとした時間を表現する場合にも用いられるのが「しっぽり」。人波にもまれて通勤するような疲れた日常から抜け出し、静かに落ち着いて自分を充電させるような時間の使い方をすることを「しっぽり」と表現するのですね。
「しっぽり」の語源は?
次に「しっぽり」の語源を確認しておきましょう。
「しとしと」が「しっとり」となり「しっぽり」となったという説、「しみじみ」が「しっぽり」の由来であるという説等がありますが、「しっぽり」の語源にはっきりしたものはありません。
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