この記事では「戒める」について解説する。

端的に言えば戒めるの意味は「前もって注意すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「戒める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「戒める」の意味や語源・使い方まとめ

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「戒める」を一言で説明すると、「過ちを犯さないように注意する」という意味です。しかし、しつけが厳しい家庭や学校などでないと、あまり聞き馴染みのない言葉ではないでしょうか。この機会に、「戒める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「戒める」の意味は?

「戒める」には、次のような意味があります。

1.前もって注意すること。また、その言葉。訓戒。
2.過ちを犯さないようにこらしめること。
3.しばること。また、その縄。
4.禁錮。監禁。処罰。
5.用心すること。警戒。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「戒める」

「戒める」は「いましめる」と読み、主な意味は「過ちを起こさないよう、前もって注意すること」です。しかし、「罪を犯したことに対する処罰」という意味もあり、両極端な意味を持ち合わせています。なぜ両極端な意味を持つようになったのか、それは「戒める」が本来規律を表していた言葉だったからなのです。

仏教用語で「戒律」という言葉があり、「戒める」の「戒」はこれからきたといわれています。「戒」とは、出家した人などが守るべき規律の事です。これを破れば、当然罰せられる事になります。そのため「規律を守るために注意すること」「規律を破り処罰されること」という両極端な意味を持つようになりました。

「戒める」の語源は?

次に「戒める」の語源を確認しておきましょう。「戒める」は「忌み嫌う」の意の動詞「忌む」に、助動詞の「しむ」が組み合わさったもので、元々は「遠ざけるようにする」が本来の意味でした。

「いましむ」は元々、本来あるべき状態から外れる行動をしないよう、他に対して精神面の抑制や禁止を求めるという意味。しかし、平安時代末付近から、それにとどまらず具体的な行為について、縛ったり罰したりするという意味も表すようになったのです。

\次のページで「「戒める」の使い方・例文」を解説!/

「戒める」の使い方・例文

「戒める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.これまでのことを猛省して、君は親からの戒めを素直に聞き入れる方がいい。
2.親友からの怒りを戒めにして、これから先は人との付き合い方は気を付けていこう。
3.これからは親を心配させないよう、将来を戒めようと思う。

これらの例文を、1つ1つ詳しく見ていきましょう。例文1は「これから先過ちを犯さないように」という意味での「戒め」になります。「戒める」は他人にだけではなく、自分に対しても「これから過ちを犯さないよう注意を促す」という際に使われるのです。

例文2は罪を犯した人に対する「処罰」という意味での「戒める」になります。「戒める」の処罰は、軽めというよりも厳格な処罰を指しているのです。

また、「戒める」の言い回しの1つに「将来を戒める」というのがあります。これから気をつけるよう注意を促すという意味です。ビジネス上での話ですが、企業が従業員に注意を促すための制裁の1つに懲戒処分がある事をご存じでしょうか。その中で最も軽いのが「戒告」になります。「戒告」とは、戒めとして従業員に注意を与える事で、これからも注意すべきだと伝える制裁です。

「戒める」の類義語は?違いは?

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「戒める」とは、「過ちを起こさないよう、前もって注意すること」「規律を破り処罰されること」を表現する言葉でした。そんな「戒める」の類義語はどのようなものなのでしょうか。

その1「忠告」

「忠告」は「真心をもって、相手の悪い所を指摘して直すように勧めること。その言葉」という意味です。事前に注意を促す「戒める」と似ています。しかし、「忠告」は相手を思って注意をすることを指すのです。反対に、「戒める」は相手への気遣いは含まれないため、明確な違いがあります。

\次のページで「その2「訓戒」」を解説!/

・君に一つ忠告しておくが、隠しているつもりで全てばれているから、素直に話した方が君のためだ。

・人の忠告も全く聞かず、好き勝手しておいて今頃助けてくれなんて、君は調子が良すぎる。

その2「訓戒」

「訓戒」とは「くんかい」と読み、「教えさとして、いましめること」という意味です。「いましめる」と意味にあり、注意をするという点では全く「戒める」と同じ意味になります。しかし、「訓戒」には、物事の道理や善し悪しをよく分かるように話し、聞かせるというニュアンスが含まれているのです。

・タバコのポイ捨てをしている人がいた。 まさに訓戒すべき行為である。

・100万もする産業マシンを壊してしまったが、訓戒止まりで助かった。

・陰湿ないじめを繰り返したり、校則で禁止されているピアスを開けた生徒に訓戒を言い渡した。

その3「諫める」

「諫める」は「いさめる」と読み、「まちがいや良くない点を改めるように言う。忠告する」という意味です。「諫める」は主に目上の人に対し、間違いや欠点を指摘します。「戒める」との違いとしては、罰したり指摘する相手が目上の人や年上である点です。

・気に入らないことがあると、すぐ物に八つ当たりする母を兄が諫めた。

・上司の言葉遣いがどうしても気になってしまい、諫めるようなことを言ってしまった。

・係長は人の意見を全く聞かないので、諫めても意味がありません。

「戒める」の英訳は?

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「戒める」を英語で表現する場合、どういった言葉になるのでしょうか。

\次のページで「「lesson」」を解説!/

「lesson」

「戒める」の過ちを犯さないよう事前に注意すること、という意味から考えて近い英語表現は「lesson」になるでしょう。「lesson」と聞くと、授業などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、「lesson」には「人にとって、ためになる教訓、訓戒」という意味もあるのです。また、注意するという意味合いを強めたい場合には「warning」も使う事が出来ます。

The accident taught me a lessen I’ll never forget.(その事故は忘れられない自分への戒めとなった)

「戒める」を使いこなそう

この記事では「戒める」の意味・使い方・類語などを説明しました。「戒める」は「いましめる」と読み、「過ちを起こさないよう、前もって注意すること」「規律を破り処罰されること」などが、主な意味となっています。類語は少し多いですが、しっかり違いを覚え、的確に使い分けていきましょう。

「戒める」と聞くと、少し堅苦しイメージを持ってしまうかもしれません。しかし、それだけ「戒める」による処罰や注意は重いと捉える事も出来ます。「戒め」を受けた際には、真摯に受け止める姿勢を大切にしていきましょう。

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国語言葉の意味

「戒める」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「戒める」について解説する。

端的に言えば戒めるの意味は「前もって注意すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「戒める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「戒める」の意味や語源・使い方まとめ

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「戒める」を一言で説明すると、「過ちを犯さないように注意する」という意味です。しかし、しつけが厳しい家庭や学校などでないと、あまり聞き馴染みのない言葉ではないでしょうか。この機会に、「戒める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「戒める」の意味は?

「戒める」には、次のような意味があります。

1.前もって注意すること。また、その言葉。訓戒。
2.過ちを犯さないようにこらしめること。
3.しばること。また、その縄。
4.禁錮。監禁。処罰。
5.用心すること。警戒。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「戒める」

「戒める」は「いましめる」と読み、主な意味は「過ちを起こさないよう、前もって注意すること」です。しかし、「罪を犯したことに対する処罰」という意味もあり、両極端な意味を持ち合わせています。なぜ両極端な意味を持つようになったのか、それは「戒める」が本来規律を表していた言葉だったからなのです。

仏教用語で「戒律」という言葉があり、「戒める」の「戒」はこれからきたといわれています。「戒」とは、出家した人などが守るべき規律の事です。これを破れば、当然罰せられる事になります。そのため「規律を守るために注意すること」「規律を破り処罰されること」という両極端な意味を持つようになりました。

「戒める」の語源は?

次に「戒める」の語源を確認しておきましょう。「戒める」は「忌み嫌う」の意の動詞「忌む」に、助動詞の「しむ」が組み合わさったもので、元々は「遠ざけるようにする」が本来の意味でした。

「いましむ」は元々、本来あるべき状態から外れる行動をしないよう、他に対して精神面の抑制や禁止を求めるという意味。しかし、平安時代末付近から、それにとどまらず具体的な行為について、縛ったり罰したりするという意味も表すようになったのです。

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