この記事では「大音声」について解説する。

端的に言えば大音声の意味は「遠くまで響き渡る声」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「大音声」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「大音声」の意味や語源・使い方まとめ

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大音声」の読み方は「だいおんじょう」です。簡単な漢字ですが、正しく読めましたか?「だいおんせい」と読んでしまった人もいるのではないでしょうか。

それでは早速「大音声」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大音声」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「大音声」には、次のような意味があります。

大きな声。おおごえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大音声」

使われている漢字からも分かるとおり、「大音声」は「大きな声」という意味です。一般的に広く使われている「大声」と同義ですが、「大音声」には芝居がかったニュアンスがあります。

辞書によっては「大きな声」に併せて「大きな音」と記載しているものもあるので、人間の声以外にも使えるようです。

ちなみに「音声」には「おんせい/おんじょう」両方の読み方があります。辞書でもそれぞれの意味を確認できますが、「大音声」の場合は「だいおんじょう」のみの記載です。

「大音声」の語源は?

次に「大音声」の語源を確認しておきましょう。ここで押さえておきたいのは、やはり「だいおんジョウ」という読み方についてです。「声」の音読みには「せい」が用いられるのが大原則。例えば、美声・肉声・声援・声優などの読み方が、すべて「せい」だということからも分かりますね。

一方の「じょう(しょう)」は奈良時代以前からある古い読み方。「大音声」の他には、仏教音楽の「声明」や仏教用語である「声聞」などもありますが、狭い範囲でしか使われていないようです。

\次のページで「「大音声」の使い方・例文」を解説!/

「大音声」の使い方・例文

「大音声」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.サービス業の会社で働いている彼女は、小柄ながら驚くほど大音声の持ち主だ。

2.暗い夜道で大音声を張り上げているアフロヘアーの男がいた。

3.出版記念パーティーの会場内は、歓談する人々の声が合わさって大音声になっていた。

例文1と例文2の「大音声」を「大声」に置き換えて読んでみてください。文の内容が少しチープな印象になりませんか?「大音声」を使うことで臨場感が生まれていることが分かるでしょう。文語的なニュアンスが出るので、前後の展開にも興味がわいてきます。

例文3は、たくさんの話し声を一つの音として捉えている感じが伝わりますね。蝉(せみ)が一斉に鳴く様子などにも使われている表現です。

「大音声」の類義語は?違いは?

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ここからは「大音声」の類義語を見ていきましょう。「遠くまで響き渡る声」と同じような意味を持つ言葉を、いくつか紹介していきます。

その1「雷声」

雷声」は訓読みすると「かみなりごえ」となり、「周囲に響き渡るぐらい大きな声」という意味になります。音読みの「らいせい」は「雷の音」「雷のような大きい音や声」という意味です。どちらで読んでも「雷声」は「大音声」に限りなく近い意味の言葉だといえるでしょう。

\次のページで「その2「どら声」」を解説!/

その2「どら声」

「どら声(ごえ)」は「太く濁った声」という意味です。この「どら」は、楽器の銅鑼(ドラ)からきています。打ち鳴らされている銅鑼の音をイメージしてみてください。その他にも「調子がはずれた太く濁った声」を意味する胴間声(どうまごえ)、胴張声(どうばりごえ)、胴声(どうごえ)、といった関連語もあります。

「大音声」の対義語は?

次は「大音声」の対義語を見ていきましょう。「遠くまで響き渡る声」と反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。

その1「小声」

小声(こごえ)」は説明するまでもありませんね。「低い調子の声小さい声」という意味です。「小音(しょうおん)」という言葉にも「小さな声、小さな音」という意味があります。それなら「大音声」の対義語として「小音声」という言葉もありそうなものですが、辞書に記載はないようです。

その2「ささやき」

ささやき」とは「ささやくこと」もしくは「ささやく声や音」を意味します。「小声でささやく」という言い方も一般的ですね。「ひそひそ話」や「耳うち」も同義の表現です。どれも周囲には聞こえないほど小さい声(音)を意味するので、「大音声」とは反対の意味合いがある言葉だといえるでしょう。

「大音声」の英訳は?

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日本語の「大音声」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、文化や習慣の異なる英語圏の視点から「大音声」の英語訳を見ていきましょう。

その1「the top of one's voice」

the top of one's voice」の意味は「その人の最も大きな声」。頭に「at」をつければ「あらん限りの大声で」というフレーズになります。「voice」の部分を「lungs(肺)」に変えた「the top of one's lungs」も同じ意味です。声の表現に「肺」を使うというのは、日本語にない書き方なので面白いですね。

\次のページで「その2「a thunderous voice」」を解説!/

その2「a thunderous voice」

thunderous」は「雷のような」という意味の英単語です。英語でも日本語の「雷声」と同じ感覚だということが分かりますね。「in a thunderous voice」で「大音声で」という意味になります。「loud」を使った「in a very loud voice」も一般的です。このほかにも「大声の」という意味のワード「stentorian」を使って表現することもできます。

1.My boss was calling my name in a stentorian voice in front of the company.
ボスが会社の前で、私の名前を大声で呼んでいた。

2.The comedian always calls out at the top of his voice out of the blue.
その芸人さんは、いつも突然に大音声で叫ぶ。

3.I met a man who had a very loud voice today.
今日、とてつもなく大きな声の男性に会った。

「大音声」を使いこなそう

この記事では「大音声」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単な漢字を使っている言葉は、逆にニュアンスが上手く掴めないことがあります。辞書を引くだけで全てを理解するのは、なかなか難しいもの。普段から本を読む習慣をつけておくと、頭で考えなくても自然にニュアンスが理解できるようになるでしょう。情報の宝庫である新聞を読むのもおすすめです。少しずつでもいいので、日々いろいろな言葉に触れながら学習を続けていきましょう。

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国語言葉の意味

「大音声」の意味や使い方は?例文や類語を字幕制作者がわかりやすく解説!

この記事では「大音声」について解説する。

端的に言えば大音声の意味は「遠くまで響き渡る声」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「大音声」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「大音声」の意味や語源・使い方まとめ

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大音声」の読み方は「だいおんじょう」です。簡単な漢字ですが、正しく読めましたか?「だいおんせい」と読んでしまった人もいるのではないでしょうか。

それでは早速「大音声」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大音声」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「大音声」には、次のような意味があります。

大きな声。おおごえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大音声」

使われている漢字からも分かるとおり、「大音声」は「大きな声」という意味です。一般的に広く使われている「大声」と同義ですが、「大音声」には芝居がかったニュアンスがあります。

辞書によっては「大きな声」に併せて「大きな音」と記載しているものもあるので、人間の声以外にも使えるようです。

ちなみに「音声」には「おんせい/おんじょう」両方の読み方があります。辞書でもそれぞれの意味を確認できますが、「大音声」の場合は「だいおんじょう」のみの記載です。

「大音声」の語源は?

次に「大音声」の語源を確認しておきましょう。ここで押さえておきたいのは、やはり「だいおんジョウ」という読み方についてです。「声」の音読みには「せい」が用いられるのが大原則。例えば、美声・肉声・声援・声優などの読み方が、すべて「せい」だということからも分かりますね。

一方の「じょう(しょう)」は奈良時代以前からある古い読み方。「大音声」の他には、仏教音楽の「声明」や仏教用語である「声聞」などもありますが、狭い範囲でしか使われていないようです。

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