「たらしめる」の使い方・例文
「たらしめる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.わが社をパンケーキ業界のトップたらしめるのは、社長のなみなみならぬスイーツへの愛情と、理想のティータイムを提供することへのやむなき追求だ。
2.あなたをあなたたらしめるものを、ぞんざいにしてはいけない。もう少し自分を大切に扱ったらどうだい。
3.大国であるわが国の大統領の不在は世界経済に必ずダメージを与える、それがこの問題を緊急で重要たらしめる所以(ゆえん)なのだ。
例文1を言い換えると「わが社をパンケーキ業界のトップでいさせるのは」となります。もっと分かりやすくすると「わが社がパンケーキ業界のトップに君臨する理由は」でしょうか。
例文2は「あなたをあなたでいさせるものを」となります。少し哲学的な表現ですね。ちょっと意味が飛躍するかもしれませんが「あなたが本当に好きなものを、ぞんざいにしてはいけない」という意味合いの文章です。
例文3にでてくるのは「たらしめる所以(ゆえん)」という、比較的よく使われるフレーズ。「所以」とは「わけ・理由」「根拠」のことです。「たらしめる所以」は「そのようにさせる理由」となります。
3の例文は「重要である理由」という言葉を使っても同じ意味の文章を作れるのです。あえて難しい言葉を使うことでインパクトが狙えます。しかし実際に使うには難易度が高いですよね。経験をつんでチャレンジしてみてくださいね。
「ならしめる」
「ならしめる」は「たらしめる」と同じ意味といえます。前につく言葉に対し、「たらしめる」は「そうであるようにさせる」、「ならしめる」は「そうするようにさせる」「そうなるようにさせる」という意味を加えるはたらきをするのです。
例えば、「人を人たらしめるものは知性だ」の文は「人を人でいさせるのは」と言い換えることができます。「人でいる」は「状態」ですよね。「たらしめる」は「状態」について、「そうであるようにさせる」という意味を加えているのが分かるでしょうか。
いっぽう、「定められた要件を実行ならしめるための体制が必要だ」の文は「要件を実行させるための」と言い換えることができます。「実行する」は「動作」ですよね。「ならしめる」は「動作」について「そうするようにさせる」という意味を加えているのですね。
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