端的に言えばたらしめるの意味は「そのようにさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「たらしめる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/つゆと
子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。
「たらしめる」の意味は?
「たらしめる」には、次のような意味があります。
たらしめるとは、「そのようにさせる」という意味の表現。ある条件を成立させている要因に言及する言い方。
出典:実用日本語表現辞典「たらしめる」
「たらしめる」と聞いただけで意味をつかめる人は、日本語力が高いといえるでしょう。「たらしめる」は「そのようにさせる」という意味の言葉。イメージをつかみやすいように、使用例をまじえて説明します。
「キング・カズを『キング』たらしめるものは、努力を止めない情熱だ」という言葉で考えてみましょう。この意味は「キング・カズを『キング』でいさせるもの」となります。分かりやすい言葉に変えると、「キング・カズが『キング』であり続ける理由」というところでしょうか。だいぶ伝わりやすくなりますね。
「その欠点こそが、人間を人間たらしめるのだ」という言葉は「人間を人間でいさせるのだ」。分かりやすく言い換えると「人間であるということだ」「人間らしさだ」となります。このニュアンスをつかめたなら、「たらしめる」の意味は理解できていますよ。
「たらしめる」の語源は?
次に「たらしめる」の語源を確認しておきましょう。「たらしめる」は「たら」と「しめる」に分かれます。
「たら」は助動詞「たり」の未然形。「たり」は断定をあらわします。「~である」「~だ」という意味ですね。「社会人たるもの」とあれば「社会人であるもの」になります。「たる」の部分が「たり」に当たりますよ(「たる」は「たり」の連体形です)。
「しめる」は本来は「しむる」であり、助動詞「しむ」の連体形。「しむ」は使役(しえき)を表します。「~させる」という意味です。「感動せしむる(しめる)」は「感動させる」となります。
つまり「たらしめる」とは、「~である」状態で「いさせる」ということ。「そのようにさせる」というイメージにつながったでしょうか。
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