この記事では「範疇」について解説する。

端的に言えば範疇の意味は「枠組みの中」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「範疇」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「範疇」の意味や語源・使い方まとめ

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「範疇」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?日常会話やビジネスシーンにおいて使ったことのある人も多いと思います。「範疇」という言葉は哲学用語としても実はよく使わる言葉です。正しい意味を知ることで、言葉を使いこなすことが出来ます。それでは早速「範疇」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「範疇」の意味は?

「範疇」には、次のような意味があります。

はん‐ちゅう〔‐チウ〕【範×疇】
1 《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫(たま)う」から》同じような性質のものが含まれる範囲。カテゴリー。「コメディーの―に属する映画」「趣味の―を出ていない」

2 哲学で、あらゆる事象をそれ以上に分類できないところで包括する一般的な基本概念。

㋐アリストテレスで、あらゆる存在者がその下に包摂される最高類概念。実体・量・質・関係・場所・時間・位置・状態・能動・受動の10項目。

㋑カントで、純粋理性概念(理念)から区別された純粋悟性概念。思惟能力としての悟性の先天的形式で、これによって悟性は対象を認識へと構成する。量(単一性、数多性、総体性)、質(実在性、否定性、制限性)、関係(付属性‐自存性、原因性‐依存性、相互性)、様相(可能性‐不可能性、現存在‐非存在、必然性‐偶然性)の4項12目。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「範疇」

「範疇」の意味1は、日常会話やビジネスシーンでよく使う意味になります。ある行動が範囲の中にあるという意味や同じ種類のものであるという意味です。前者の範囲として使う人が多いのではないでしょうか。カテゴリーという分類を表すときにも使う言葉です。

「範疇」の意味2は、哲学用語での意味になります。哲学を学ぶ機会が少ない日本では、「範疇」の意味2はなじみがないかもしれません。意味2を端的にいうと最も基本的な概念を「範疇」と表したアリストテレスと人が依存してしまう概念を「範疇」と表したカントであるということです。概念とは、人が認知した事象に対して、抽象化、普遍化し、思考の基礎となる基本的な形態となるように、思考作用によって意味づけられたものを表します。

「範疇」の語源は?

次に「範疇」の語源を確認しておきましょう。「範疇」の語源は、「洪範九疇」とされています。

「洪範九疇」

「洪範九疇」の意味は次の通りです。

\次のページで「「範疇」の使い方・例文」を解説!/

こうはん‐きゅうちゅう〔‐キウチウ〕【洪範九×疇】
「書経」の洪範編に述べられた政治道徳の九原則。五行(ごぎょう)・五事・八政・五紀・皇極・三徳・稽疑(けいぎ)・庶徴(しょちょう)・五福の九つ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「洪範九疇」

「洪範九疇」の「範」と「疇」の文字を取って「範疇」となりました。

「洪範九疇」とは、中国古代の伝説上、夏の禹が天帝から授けられた天地の大法とされており、天下を収めることを説いています。洪範が大いなる法を表し、九疇が9つに区分された原則です。この言葉が、西洋哲学にわたりカテゴリーの訳語である「範疇」の語源となりました。

「範疇」の使い方・例文

「範疇」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.会社でミスをしてしまったが、直ぐに修正できる範疇であったので安心をしました。
2.哲学者の中で範疇の内容や意味はことなる。

例文1のように、「範疇」という言葉はビジネスでもよく使います。また、「範疇○○」というように使われることも多いです。例えば、「範疇に収まる」「範疇に入る」というように、考えていた中の出来事に対して使うことや、「範疇の外」「範疇を超えて」「範疇にない」というように、考えを超えて起きた出来事に対して使います。さらに言葉を増やして使うことも多いです。例えば、カテゴリーという意味も含めて使う場合には「自分の範疇にない」というようになり、自分に区分された内容ではないという意味になります。

「範疇」という言葉は、「範囲」として考えると日常生活やビジネスで使う場合は意味を理解しやすいのではないでしょうか。

「範疇」の類義語は?違いは?

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「範疇」の類義語には、「範囲」「領域」があります。

\次のページで「「範囲」」を解説!/

「範囲」

「範囲」の意味は次の通りです。

はん‐い〔‐ヰ〕【範囲】
ある一定の限られた広がり。ある区域。「広い―に渡る」「できる―で協力する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「範囲」

「範囲」と「範疇」の意味1が類義語になります。2つの言葉の大きな違いは、哲学的な意味を持つか持たないかです。それ以外の日常生活やビジネスにおいて、意味も使い方も同じ言葉として使います。ただし、ニュアンスの違いを持っている人もいるので、相手に合わせて使い分けましょう。

「領域」

「領域」の意味は次の通りです。

りょう‐いき〔リヤウヰキ〕【領域】
1 ある力・作用・規定などが及ぶ範囲。また、その物事・人がかかわりをもつ範囲。「人間の無意識の―」「新しい―を開拓する」「理論物理学の―」

2 国際法上、国家の主権の及ぶ区域。領土・領海・領空からなる。「他国の―を侵す」

3 コンピューターで、プログラム上のある操作が及ぶ範囲。また、ハードディスクなどの記憶装置上で操作が可能な範囲。「―指定」「―確保」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「領域」

「領域」の意味1と「範疇」の意味1が類義語になります。しかし、それ以外の意味ではそれぞれ使う場面が異なるので注意が必要です。また、「領域」の意味2から分かるように「領域」とは実際にある場所や物に対しての範囲を表しますが、「範疇」という言葉は、考えている範囲や法の範囲など目に見えないことに対して使います。

\次のページで「「範疇」の対義語は?」を解説!/

「範疇」の対義語は?

「範疇」に対義語はありません。なぜなら、「範疇」とはある事柄の枠組みを指す言葉であり、枠組みが「ある」に対して「ない」が対義語になるが、枠組みの対義語が存在しないことと同じく「範疇」の対義語も存在しないからです。

「範疇」の英訳は?

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「範疇」の英訳は、「category」です。

「category」

「category」の意味は次の通りです。

「category」

名詞 可算名詞

1【論・言】範疇、カテゴリー

2 部門、区分、種類

出典:新英和中辞典(研究社)「category」

先述したとおり、「範疇」の語源となっている「洪範九疇」が、西洋哲学で「カテゴリー」と訳されていることから「範疇」の英訳は「category」となります。例えば、「category」を使った例文はThat is in a suitable category(それは適正な範疇に入っている。)です。「範疇」と同じように日常会話やビジネス・哲学で使われます。

また、「category」の類義語には「kind」「type」「class」などがあり、それぞれニュアンスが異なるので注意して使い分けましょう。

「範疇」を使いこなそう

この記事では「範疇」の意味・使い方・類語などを説明しました。「範疇」の意味は、枠組みという意味と哲学上の概念を表す2つの意味があります。語源は「洪範九疇」という中国の言葉で、それが西洋哲学を経て「範疇」となりました。日本でよく使われる「範疇」の意味は、枠組みという範囲です。類義語には「範囲」「領域」がありました。日常会話やビジネスでもよく使う言葉なので意味を正しく理解し、使いこなしましょう。

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国語言葉の意味

「範疇」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「範疇」について解説する。

端的に言えば範疇の意味は「枠組みの中」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「範疇」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「範疇」の意味や語源・使い方まとめ

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「範疇」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?日常会話やビジネスシーンにおいて使ったことのある人も多いと思います。「範疇」という言葉は哲学用語としても実はよく使わる言葉です。正しい意味を知ることで、言葉を使いこなすことが出来ます。それでは早速「範疇」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「範疇」の意味は?

「範疇」には、次のような意味があります。

はん‐ちゅう〔‐チウ〕【範×疇】
1 《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫(たま)う」から》同じような性質のものが含まれる範囲。カテゴリー。「コメディーの―に属する映画」「趣味の―を出ていない」

2 哲学で、あらゆる事象をそれ以上に分類できないところで包括する一般的な基本概念。

㋐アリストテレスで、あらゆる存在者がその下に包摂される最高類概念。実体・量・質・関係・場所・時間・位置・状態・能動・受動の10項目。

㋑カントで、純粋理性概念(理念)から区別された純粋悟性概念。思惟能力としての悟性の先天的形式で、これによって悟性は対象を認識へと構成する。量(単一性、数多性、総体性)、質(実在性、否定性、制限性)、関係(付属性‐自存性、原因性‐依存性、相互性)、様相(可能性‐不可能性、現存在‐非存在、必然性‐偶然性)の4項12目。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「範疇」

「範疇」の意味1は、日常会話やビジネスシーンでよく使う意味になります。ある行動が範囲の中にあるという意味や同じ種類のものであるという意味です。前者の範囲として使う人が多いのではないでしょうか。カテゴリーという分類を表すときにも使う言葉です。

「範疇」の意味2は、哲学用語での意味になります。哲学を学ぶ機会が少ない日本では、「範疇」の意味2はなじみがないかもしれません。意味2を端的にいうと最も基本的な概念を「範疇」と表したアリストテレスと人が依存してしまう概念を「範疇」と表したカントであるということです。概念とは、人が認知した事象に対して、抽象化、普遍化し、思考の基礎となる基本的な形態となるように、思考作用によって意味づけられたものを表します。

「範疇」の語源は?

次に「範疇」の語源を確認しておきましょう。「範疇」の語源は、「洪範九疇」とされています。

「洪範九疇」

「洪範九疇」の意味は次の通りです。

\次のページで「「範疇」の使い方・例文」を解説!/

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