この記事では「東風」について解説する。

端的に言えば東風の意味は「春の風」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「東風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「東風」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「東風」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「東風」の意味は?

「東風」には、次のような意味があります。

こち‐かぜ【▽東風】
「こち(東風)」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「東風」

こち【東=風】
東の方から吹いてくる風。ひがしかぜ。《季 春》「―吹くや山一ぱいの雲の影/漱石」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「東風」

「東風」とは、「こちかぜ」「こち」「あゆ」「とうふう」「ひがしかぜ」と多くの読み方がある言葉です。意味は、東から吹く風の事を指し、日本では春に吹く風として使われます。また、麻雀用語では「東風戦(トンプウセン)」ということがあり、半荘のさらに半分を表す言葉です。

「東風」の語源は?

次に「東風」をなぜ「こち」と読むのか、その語源を確認しておきましょう。「東風」を「こち」と読む語源は、諸説ありそのうちの3つを今回は紹介したいと思います。1つ目は、「東風」を昔は「小風」として「こち」読んでいたからです。春の柔らかな風を「小」として表現していたのではないかとされています。また、「風」は清少納言の枕草子であるように「ち」の音を当てることがありました。枕草子では、「疾風」という漢字を「ハヤチ」というように読みます。以上のことから、「小風」が「東風」と表記されるようになった時に読み方は変わらず「こち」と読むようになったという説です。

2つ目は、田井信之の著書「語源を探る」(桜書院)の解説にある東の語源の「ヒムカチ」が変化したのではないかとされています。その本では、東の語源である「ヒムカチ」の上2つの文字を省略して「カチ」と略すようになり、「カチ」が「コチ」となって、まずは「東風」は「コチカゼ」となり、最終的にかぜを省略して「コチ」となったいう説です。

3つ目は、瀬戸内海の漁師言葉が語源であるという説がありまます。瀬戸内海の漁師言葉には「コチ」を含む「鰆コチ(さわらこち)」「雲雀コチ(へばるこち)」「コチ時化(こちしけ)」などがあり、この言葉からとった説です。漁師は、東風はあれる風の意味が強いようで歓迎せれていない風でした。

「東風」の使い方・例文

「東風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「東風」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.東風が吹くと春の訪れを感じる。

東風は、東から吹いてくる風を表し、歳時記では「春」の季節を表す季語とされています。冬型の気圧配置は、西高東低です。これにより、冷たい風が北よりから吹いていたのが、春になると一転して、温かく強い風が南よりから吹いてきます。この温かい風が東風であり季節が変わったことが分かる風です。

「東風」の類義語は?違いは?

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「東風」と同じように方位と風を合わせた言葉に「南風」「西風」「北風」があります。

その1「南風」

「南風」の意味は次の通りです。

南風
はえ
沖縄では南の方位を「はえ」という。これより、主として西日本で、南寄りの風を「はえ」または「はい」という。他の風向とあわせて正南風 (まばえ) 、南東風 (はえごち) 、沖南風 (おきばえ) 、南西風 (はえまじ) などの表現がある。また季節を考え、5~6月ごろの梅雨 (つゆ) どき、雨を伴って吹く南風 (はえ) を黒南風 (くろはえ) 、梅雨明け後の真夏の晴天時に吹く風を白南風 (しらはえ) という。また荒れ模様の天気を伴う場合は荒南風 (あらばえ) である。梅雨明けごろ、この風が吹き続くと海が荒れ、五斗の米を食べ終わるまで出漁できないといういわれから「五斗食い風」(福岡県志賀島)、また「六俵バエ」(佐賀県東松浦半島)などといわれている。

[根本順吉]

出典:日本大百科全書(ニッポン力)「南風」

「南風」と書いて「はえ」「はい」「みなみ」などと読みます。この風は梅雨に吹く風です。また、梅雨の最盛期には「荒南風(あらはえ)」や梅雨があけるときの穏やかな風には「白南風(しらはえ)」という呼び方があります。

その2「西風」

「西風」の意味は次の通りです。

\次のページで「その3「北風」」を解説!/

西風
にしかぜ
西の方角から吹いてくる風。南北両半球とも温帯の上空では西寄りの風が卓越しているが、この風は偏西風とよばれている。温帯ではこの偏西風によって天気も西から東へと移動していく。すなわち、西の方角にある地域の天気は、その地域の天気を先取りしているわけで、「夕焼けは晴れの前兆」といった俚諺 (りげん) も、西風による天気東漸の事実に基づいている。

[根本順吉]

出典:日本大百科全書(ニッポン力)「南風」

「西風」と書き「にしかぜ」「せいふう」「ならい」と読みます。西の方角から吹いてくる風の事を「西風」と言いますが、別名「偏西風」です。日本では、人々が暮らす地表付近では季節や気圧配置によって風向きは変わりますが、上空では常に西から東への風である、偏西風が吹いています。これにより日本にくる低気圧は、必ず西から東へ移動し、それに伴い日本の天気も西から東へ変化していくことがほとんどです。

その3「北風」

「北風」の意味は次の通りです。

北風
きた
北風を略して北 (きた) ということがある。北風は南風に比較して寒冷であり、日本では冬は北寄りの風がその天候を支配する。これは大陸から日本海、東シナ海を吹き渡ってくる風であり、その発源地の内陸においては乾燥していて低温である。

[根本順吉]

出典:日本大百科全書(ニッポン力)「北風」

「北風」と書き「きたかぜ」「きた」「あなじ」と読みます。「北風」は、日本で冬に吹く北寄りの風です。冬は、日本の北にあるオホーツク海気団の勢力が拡大し、北寄りの冷たく強い風が吹きます。また、童謡に「北風小僧の寒太郎」や絵本の「北風と太陽」など北風と入った作品は多いです。

「東風」の対義語は?

「東風」の対義語は、「西風」とされています。方角が対になっているため対義語になったのではないでしょうか。

「東風」の英訳は?

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「東風」の英訳は「Dongfeng」または「east  wind」「spring wind」とも言います。

\次のページで「アジアの「モンスーン」」を解説!/

アジアの「モンスーン」

「東風」など、季節によって決まった方角から吹く風を「季節風」といいます。この「季節風」の英訳が「モンスーン」です。日本のようにモンスーンがある地域を紹介します。

南アジアのモンスーン

南アジアに位置するインド、ネパール、バングラデシュでは、日本同様にモンスーンがあります。11月から5月ごろまではシベリア高気圧の影響を受け、北東から乾燥した風が吹くことが多いです。5月から夏にかけては、シベリア気団が弱まることで南西の風に代わり長い雨季になります。この南西季節風が、インドモンスーンです。

東アジアのモンスーン

東アジアから太平洋のミッドウェー島付近まで続く広い範囲で、モンスーンが起きます。冬は、北風や北西風、西風がおき、夏は、南風や南東風、東風です。また、5月から8月までに各地域で2~3カ月間の雨季があり、冬は乾燥して雨は少ない気候になっています。

「東風」を使いこなそう

この記事では「東風」の意味・使い方・類語などを説明しました。「東風」とは「こち」「こちかぜ」「あゆ」「ひがしかぜ」など多くの読み方のある言葉です。意味は、東から吹く風を表しています。歳時記では、「こち」は春の季語です。また、「東風」以外にも方角と風を合わせた「南風」「西風」「北風」があります。また、「東風」を英訳すると「Dongfeng」です。日本以外の国でも「東風」のような季節風が吹く地域があります。是非調べてみてください。

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国語言葉の意味

「東風」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「東風」について解説する。

端的に言えば東風の意味は「春の風」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「東風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「東風」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「東風」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「東風」の意味は?

「東風」には、次のような意味があります。

こち‐かぜ【▽東風】
「こち(東風)」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「東風」

こち【東=風】
東の方から吹いてくる風。ひがしかぜ。《季 春》「―吹くや山一ぱいの雲の影/漱石」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「東風」

「東風」とは、「こちかぜ」「こち」「あゆ」「とうふう」「ひがしかぜ」と多くの読み方がある言葉です。意味は、東から吹く風の事を指し、日本では春に吹く風として使われます。また、麻雀用語では「東風戦(トンプウセン)」ということがあり、半荘のさらに半分を表す言葉です。

「東風」の語源は?

次に「東風」をなぜ「こち」と読むのか、その語源を確認しておきましょう。「東風」を「こち」と読む語源は、諸説ありそのうちの3つを今回は紹介したいと思います。1つ目は、「東風」を昔は「小風」として「こち」読んでいたからです。春の柔らかな風を「小」として表現していたのではないかとされています。また、「風」は清少納言の枕草子であるように「ち」の音を当てることがありました。枕草子では、「疾風」という漢字を「ハヤチ」というように読みます。以上のことから、「小風」が「東風」と表記されるようになった時に読み方は変わらず「こち」と読むようになったという説です。

2つ目は、田井信之の著書「語源を探る」(桜書院)の解説にある東の語源の「ヒムカチ」が変化したのではないかとされています。その本では、東の語源である「ヒムカチ」の上2つの文字を省略して「カチ」と略すようになり、「カチ」が「コチ」となって、まずは「東風」は「コチカゼ」となり、最終的にかぜを省略して「コチ」となったいう説です。

3つ目は、瀬戸内海の漁師言葉が語源であるという説がありまます。瀬戸内海の漁師言葉には「コチ」を含む「鰆コチ(さわらこち)」「雲雀コチ(へばるこち)」「コチ時化(こちしけ)」などがあり、この言葉からとった説です。漁師は、東風はあれる風の意味が強いようで歓迎せれていない風でした。

「東風」の使い方・例文

「東風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「東風」の類義語は?違いは?」を解説!/

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