この記事では「傾聴」について解説する。

端的に言えば傾聴の意味は「聞く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「傾聴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「傾聴」の意味や語源・使い方まとめ

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「傾聴」という言葉を耳にしたことはありますか。「傾聴」とは、ビジネスシーンや医療現場でも使う大切な技術という一面もあります。それでは早速「傾聴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「傾聴」の意味は?

「傾聴」には、次のような意味があります。

けい‐ちょう〔‐チヤウ〕【傾聴】
[名](スル)耳を傾けて、熱心に聞くこと。「―に値する意見」「―すべきお話」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「傾聴」

「傾聴」とは、意味にある通り熱心に相手の話を聞くことです。熱心に話を聞くとは、耳だけではなく相手の動きや表情を目で追い、相手が言葉にできない心までも理解することを指します。「傾聴」は、ビジネスシーンや医療現場でのカウンセリングなどでも重要視しされている技術です。話し相手に、関心を寄せた態度で話を聞きましょう。

「傾聴」の使い方・例文

「傾聴」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.部下からの話に対して、傾聴を心がけている。

例文1は、上司が部下に対する心構えという例文です。「傾聴」は、ビジネスシーンでも重要視されているコミュニケーションスキルの1つとされています。2006年、経済産業省が定義づけた「社会人基礎力」にも「傾聴力」として挙げられており、会社で働くうえで特に上司が持っておくべき重要な要素の1つです。「傾聴」を心がけることで得られるメリットは、深い信頼関係が築けることとされています。上司と部下の信頼関係が、チームの生産性を大きく変化させることは言わずもがなです。近年の退職理由に、人間関係が挙がることも多くあるので、上司やリーダーが「傾聴」の技術を学ぶことをお勧めします。

「傾聴」をするときのポイント

傾聴をするときのポイントを紹介します。

まずは、座る位置です。対面で座ってしまうと、相手の事をよく見ることができますが一方で緊張感を与えてしまうので、90°横の角度で座ることで相手がリラックスした状態で話すことが出来ます。

次に、話を聞くときには相手のペースに合わせることです。相手が話しやすいように声のボリュームやペースを意識します。相手よりも大きな声や話すスピードが速いと威圧的になるので注意をしましょう。また、相手の動作をマネするミラーリングも効果的です。

最後に、相手が話している内容をオウム返しをするでもいいですが、要約をして言い換えて確認をします。また、聴いているときに相槌や頷くことも大切です。相手に、聞き手が真剣に聞いていることが伝わります。

聞き手のメンタルは、ゆとりをもってリラックスして傾聴しましょう。

「傾聴」の類義語は?違いは?

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「傾聴」の類義語は、「聞く」です。

「聞く」

「聞く」の意味は、次の通りです。

き・く【聞く/聴く】
[動カ五(四)]

1 音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。「物音を―・く」「見るもの―・くものすべてが珍しい」「鳥の声も―・かれない」

2 (聴く)注意して耳にとめる。耳を傾ける。「名曲を―・く」「有権者の声を―・く」

3 話を情報として受け入れる。「―・くところによると」「君の評判をあちこちで―・いた」

4 人の意見・要求などを了承し、受け入れる。「親の言いつけをよく―・く」「今度ばかりは彼の頼みを―・いてやってほしい」

5 (「訊く」とも書く)尋ねる。問う。「道を―・く」「自分の胸に―・け」「彼の都合を―・いてみる」

6 感覚を働かせて識別する。

㋐(聞く)においのよしあしや種類を鼻で感じ取る。においをかぐ。「香(こう)を―・く」

㋑(「利く」とも書く)酒の味のよしあしや種類を舌で感じ取る。味わい試す。「酒を―・く」

7 当てて試してみる。「板の厚さに―・いて釘を打つ」

8 釣りで、当たりの有無を確かめるために、仕掛けを引いたり軽く竿を上げたりしてようすをみる。

[可能]きける

出典:デジタル大辞泉(小学館)「聞く」

「傾聴」と「聞く」は類義語です。「聞く」という意味は、「傾聴」のような熱心に相手の話に耳を傾けるという意味も含めて、多くの意味があります。日常会話において、「傾聴」も「聞く」も大きな違いはありませんが、「傾聴」を使う方が相手に真剣に聞いてほしいという意思が伝る言い方です。また「傾聴」は、ビジネス、医療現場、心理学などでは技術を指すこともあるので、「技術」の話をするときは使い分けましょう。

\次のページで「「傾聴」の対義語は?」を解説!/

「傾聴」の対義語は?

「傾聴」の対義語は、明確に定義されていません。話を聞かないという意味であれば、「無視」、話を真剣に聞かないという意味であれば「聞き流す」が対義語になるのではないでしょうか。

その1「無視」

「無視」の意味は次の通りです。

む‐し【無視】
[名](スル)存在価値を認めないこと。また、あるものをないがごとくみなすこと。「人の気持ちを―する」「信号―」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「無視」

「傾聴」と「無視」は、対義語になりえるのではないでしょうか。「無視」には、話を聞かないではなく、存在を認めないという意味です。存在を認めないから、話を聞かない、もしくは話をしていないこととします。「無視」することで、信頼関係を築くことは不可能です。

その2「聞き流す」

「聞き流す」の意味は次の通りです。

きき‐なが・す【聞(き)流す】
[動サ五(四)]聞いても心にとめないでおく。聞き捨てにする。聞き過ごす。「そんなうわさは―・すことだ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「聞き流す」

「傾聴」と「聞き流す」は、対義語になりえるのではないでしょうか。双方ともに相手の話を聞いていますが、聞き手側の心構えが対義的です。相手は、聞き手の表情や態度から、真剣に聞いていないことはすぐに見破られてしまいます。「無視」と比べても「聞き流す」の方が、対義語になる可能性が高いです。「無視」や「聞き流す」では、良好な人間関係は築けません。人間関係を円滑にするためにも、「無視」や「聞き流す」ことは控えましょう。

大人になって気づくことが多くある。れお先生は、どんな人の話も真剣に聞くがあまり、逆に注意されたことがあるそうだ。「なんでそんなに真剣にきくのですか」と言われて、ビックリして言葉が出てこなかったと言っていた。人には、真剣に聞いてほしい話題と聞き流してほしい愚痴があるのだろう。何でもかんでも「傾聴」していると話す側も疲れてしまうのかもしれないな。

「傾聴」の英訳は?

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「傾聴」の英訳は、「listen attentively」「be all ears」です。

「listen attentively」「be all ears」

「listen attentively」とは、傾聴とも訳されます。「listen」が聞くという意味で、「attentively」が、よく注意してや親切に、いたわってという意味です。2つが合わさることにより、傾聴という意味の熟語になります。

また「be all ears」とは、直訳すると「全てが耳です。」という意味になりますが、これは「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」という意味で使われます。

どちらも日本語の「傾聴」として使われる言葉です。

「傾聴」を使いこなそう

この記事では「傾聴」の意味・使い方・類語などを説明しました。「傾聴」とは、熱心に相手の話を聞くことです。「傾聴」は、ビジネスや医療現場でも使われている、相手との信頼関係を築く技術でもあります。「傾聴」の類義語は、「聞く」です。日常会話で使い分けることはすくないですが、「傾聴」という技術を指すときは必ず使い分けましょう。また、「傾聴」の英訳は「listen attentively」「be all ears」です。どちらも「傾聴」という意味がある熟語となっています。

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国語言葉の意味

「傾聴」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「傾聴」について解説する。

端的に言えば傾聴の意味は「聞く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

塾講師歴5年のれお先生を呼んです。一緒に「傾聴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/れお先生

教壇に立って、授業をすること5年。今も現役塾講師として、中学生・小学生を指導している。塾での経験を活かし、子供でも分かりやすい記事の作成を心がける。

「傾聴」の意味や語源・使い方まとめ

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「傾聴」という言葉を耳にしたことはありますか。「傾聴」とは、ビジネスシーンや医療現場でも使う大切な技術という一面もあります。それでは早速「傾聴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「傾聴」の意味は?

「傾聴」には、次のような意味があります。

けい‐ちょう〔‐チヤウ〕【傾聴】
[名](スル)耳を傾けて、熱心に聞くこと。「―に値する意見」「―すべきお話」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「傾聴」

「傾聴」とは、意味にある通り熱心に相手の話を聞くことです。熱心に話を聞くとは、耳だけではなく相手の動きや表情を目で追い、相手が言葉にできない心までも理解することを指します。「傾聴」は、ビジネスシーンや医療現場でのカウンセリングなどでも重要視しされている技術です。話し相手に、関心を寄せた態度で話を聞きましょう。

「傾聴」の使い方・例文

「傾聴」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.部下からの話に対して、傾聴を心がけている。

例文1は、上司が部下に対する心構えという例文です。「傾聴」は、ビジネスシーンでも重要視されているコミュニケーションスキルの1つとされています。2006年、経済産業省が定義づけた「社会人基礎力」にも「傾聴力」として挙げられており、会社で働くうえで特に上司が持っておくべき重要な要素の1つです。「傾聴」を心がけることで得られるメリットは、深い信頼関係が築けることとされています。上司と部下の信頼関係が、チームの生産性を大きく変化させることは言わずもがなです。近年の退職理由に、人間関係が挙がることも多くあるので、上司やリーダーが「傾聴」の技術を学ぶことをお勧めします。

「傾聴」をするときのポイント

傾聴をするときのポイントを紹介します。

まずは、座る位置です。対面で座ってしまうと、相手の事をよく見ることができますが一方で緊張感を与えてしまうので、90°横の角度で座ることで相手がリラックスした状態で話すことが出来ます。

次に、話を聞くときには相手のペースに合わせることです。相手が話しやすいように声のボリュームやペースを意識します。相手よりも大きな声や話すスピードが速いと威圧的になるので注意をしましょう。また、相手の動作をマネするミラーリングも効果的です。

最後に、相手が話している内容をオウム返しをするでもいいですが、要約をして言い換えて確認をします。また、聴いているときに相槌や頷くことも大切です。相手に、聞き手が真剣に聞いていることが伝わります。

聞き手のメンタルは、ゆとりをもってリラックスして傾聴しましょう。

「傾聴」の類義語は?違いは?

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「傾聴」の類義語は、「聞く」です。

「聞く」

「聞く」の意味は、次の通りです。

き・く【聞く/聴く】
[動カ五(四)]

1 音・声を耳に受ける。耳に感じ取る。「物音を―・く」「見るもの―・くものすべてが珍しい」「鳥の声も―・かれない」

2 (聴く)注意して耳にとめる。耳を傾ける。「名曲を―・く」「有権者の声を―・く」

3 話を情報として受け入れる。「―・くところによると」「君の評判をあちこちで―・いた」

4 人の意見・要求などを了承し、受け入れる。「親の言いつけをよく―・く」「今度ばかりは彼の頼みを―・いてやってほしい」

5 (「訊く」とも書く)尋ねる。問う。「道を―・く」「自分の胸に―・け」「彼の都合を―・いてみる」

6 感覚を働かせて識別する。

㋐(聞く)においのよしあしや種類を鼻で感じ取る。においをかぐ。「香(こう)を―・く」

㋑(「利く」とも書く)酒の味のよしあしや種類を舌で感じ取る。味わい試す。「酒を―・く」

7 当てて試してみる。「板の厚さに―・いて釘を打つ」

8 釣りで、当たりの有無を確かめるために、仕掛けを引いたり軽く竿を上げたりしてようすをみる。

[可能]きける

出典:デジタル大辞泉(小学館)「聞く」

「傾聴」と「聞く」は類義語です。「聞く」という意味は、「傾聴」のような熱心に相手の話に耳を傾けるという意味も含めて、多くの意味があります。日常会話において、「傾聴」も「聞く」も大きな違いはありませんが、「傾聴」を使う方が相手に真剣に聞いてほしいという意思が伝る言い方です。また「傾聴」は、ビジネス、医療現場、心理学などでは技術を指すこともあるので、「技術」の話をするときは使い分けましょう。

\次のページで「「傾聴」の対義語は?」を解説!/

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