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実際に例文を見ても、取引条件の提示など、かしこまった文章に見かけることが多いですね。
また、求人の応募条件などでもよく使われますね。「もしくは」を使えるようになると、文章がフォーマルにグッと引き締まるのでぜひ取り入れて見てください。
「もしくは」をフカボリ!
今まで基本的な意味・使い方・例文を見てきましたが、「もしくは」は法令用語の中では日常で使うのとは別のルールがあります。また、「もしくは」の「は」は何で「わ」と書かないのかについても見ていきましょう。
法令用語での「もしくは」
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法令用語では、前後のものを並列に並べる場合はまず、「または」を使うのがルールです。並列するものが三つ以上ある場合でも、A、B、またはCと言うような形を取ります。
並列のさせ方は、先ほど見た「もしくは」と同じ形ですね。
ですが、法令用語の中で、この二つの言葉の使われ方には明確な違いがあるのです。例えば刑法第254条には次のように書かれています。
遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
これを図式化すると下記のようになります。
[一年以下の懲役] または [(十万円以下の罰則)もしくは(科料)]
このように、法令の中では、「または」が大きなカテゴリーを括るのに使い、「もしくは」はそれより小さなカテゴリーが出て来た時に入れ子のように使われているのが分かりますね。この事を知っておくと、法令文も理解しやすくなるので、ぜひ覚えておいてください。
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「もしくは」の「は」って何?
先ほど挙げた大辞林の説明冒頭にはこう書かれています。
〔副詞「もし」に副詞語尾「く」,係助詞「は」が付いたもの。漢文訓読に由来する語〕
たった四文字なのに、三つの語が合体して出来ているのですね。「もしくは」の「は」には、前後の文章をつないで説明に導く助詞の役割があるのです。また、助詞の「は」は発音は「わ」でも「は」と書きます。
「または」
「または」も複数のものから一つ選択する時に使う言葉ですが、日常的な場面で一番使われる言葉ではないでしょうか。選択肢を列挙していく場合に用います。A・B・Cと仮に三つあれば、その中からどれでも一つ選んでいいよと言うイメージ。ニュアンスとしては、選択肢の全てが話し手の中で既に確信的である時により多く使われる印象です。
例えば、ランチで紅茶またはコーヒーがつきます。とメニューによく書かれているのを見たことはありませんか?この場合、二択は既にお店が選択肢として決めていますよね。
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