「もしくは」とは複数のものから一つを選択する接続詞のことです。ですが、「または」や「あるいは」との違いはあまり気にせず使っていることが多いんじゃないか?今回は「もしくは」の意味や使い方、類似する言葉との使い分け、更に外国語では何と言うのかなど、「もしくは」について徹底解説する。今回は、情報誌の制作や、外国の方に日本語を教えた経験もある言葉好きライターいしいを呼んで、解説してもらおう。

ライター/いしいゆうこ

情報誌制作の仕事の後に、外国の方に日本語を教えていた経験を持つ。言葉や日本語に関する疑問が生まれると、ついつい調べ始めて止まらないと言う、調べ物好きな一面も持つ。

「もしくは」の基本!意味・使い方・例文

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ではまず、基本として「もしくは」の意味や使い方を見ていきましょう。例文も紹介します。

「もしくは」の意味は?

もしくはの意味は次の通りです。

 1.(接続) 前後の事柄のうちどちらか一方が選ばれる関係であることを表す。あるいは。「本人,―その代理の者」  2.(副) もしかしたら。ひょっとして。

出典:大辞林第四版(三省堂)「もしくは」

「もしくは」の使い方

「もしくは」は「選択の接続詞」とも呼ばれ、複数のものからどちらか一つを選ぶ時に使います。普段の会話の中では、「または」「それとも」を使うことの方が多いのではないでしょうか。「もしくは」は割とフォーマルな文書などで使われます。

選択肢が二つの場合は「AもしくはB」、三つ以上ある時は「A、B、C、もしくはD」と言うように選択肢を句点「、」でつなぎ、最後の選択肢の直前に「もしくは」を挟むといった形です。

「もしくは」の例文

続いて、例文も見てみましょう。

\次のページで「「もしくは」をフカボリ!」を解説!/

・今日もしくは明日伺います。
・こちらに押印もしくはサインをお願いします。
・現金、もしくはカードでのお支払いも可能です。
・不良品は交換もしくは返品を承ります。
・経理の実務経験もしくは習得意欲のある方を募集します。

実際に例文を見ても、取引条件の提示など、かしこまった文章に見かけることが多いですね。
また、求人の応募条件などでもよく使われますね。「もしくは」を使えるようになると、文章がフォーマルにグッと引き締まるのでぜひ取り入れて見てください。

「もしくは」をフカボリ!

今まで基本的な意味・使い方・例文を見てきましたが、「もしくは」は法令用語の中では日常で使うのとは別のルールがあります。また、「もしくは」の「は」は何で「わ」と書かないのかについても見ていきましょう。

法令用語での「もしくは」

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法令用語では、前後のものを並列に並べる場合はまず、「または」を使うのがルールです。並列するものが三つ以上ある場合でも、A、B、またはCと言うような形を取ります。
並列のさせ方は、先ほど見た「もしくは」と同じ形ですね。

ですが、法令用語の中で、この二つの言葉の使われ方には明確な違いがあるのです。例えば刑法第254条には次のように書かれています。

遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

これを図式化すると下記のようになります。

[一年以下の懲役] または [(十万円以下の罰則)もしくは(科料)]

このように、法令の中では、「または」が大きなカテゴリーを括るのに使い、「もしくは」はそれより小さなカテゴリーが出て来た時に入れ子のように使われているのが分かりますね。この事を知っておくと、法令文も理解しやすくなるので、ぜひ覚えておいてください。

「もしくは」の「は」って何?

先ほど挙げた大辞林の説明冒頭にはこう書かれています。

〔副詞「もし」に副詞語尾「く」,係助詞「は」が付いたもの。漢文訓読に由来する語〕

たった四文字なのに、三つの語が合体して出来ているのですね。「もしくは」の「は」には、前後の文章をつないで説明に導く助詞の役割があるのです。また、助詞の「は」は発音は「わ」でも「は」と書きます。

「もしくは」の類語と使い分けは?

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「もしくは」にはいくつか類語があるので紹介していきます。最後に使い分けのコツを見ていきましょう。

「または」

「または」も複数のものから一つ選択する時に使う言葉ですが、日常的な場面で一番使われる言葉ではないでしょうか。選択肢を列挙していく場合に用います。A・B・Cと仮に三つあれば、その中からどれでも一つ選んでいいよと言うイメージ。ニュアンスとしては、選択肢の全てが話し手の中で既に確信的である時により多く使われる印象です。

例えば、ランチで紅茶またはコーヒーがつきます。とメニューによく書かれているのを見たことはありませんか?この場合、二択は既にお店が選択肢として決めていますよね。

\次のページで「「あるいは」」を解説!/

「あるいは」

「あるいは」は「もしくは」と非常にニュアンスが似ています。ある事柄に別の事柄を足して選択させる、さらに付け加えるイメージです。「もしくは」にも、「もしかすると。ひょっとして。」と言う意味が副詞としてありましたね。「あるいは」も同様です。

「明日海へ行こう。あるいは、映画を見にいってもいいかもね。」のように、同格の選択肢というより、もう一つの可能性として提示しているニュアンス。「もしくは」は複数の中から一つを選ぶ意味合いの方が強いですが、「または」に比べると一つ目の選択肢に重心がかかっていてます。ここが「あるいは」との類似点と言えるでしょう。

「それとも」

「それとも」も、ある事柄に、別の事柄を足して選択させる言葉になります。これまで見てきたものとの大きな違いは、疑問文にしか使わない事です。相手に対して投げかける場合に使い、「帰る?それとももう少しお茶してる?」みたいな使われ方をします。

複数のものから一つを選ぶ使い方において、必ず疑問形です。平叙文(普通の文)には用いません。「紅茶、それともコーヒーを飲みます。」には違和感を感じるのではないでしょうか。

使い分けのコツ

これまで見てきた通り、「または」はこの中で一番一般的な言葉です。選択肢が既に確信的な場合により多く用いられるイメージ。

「あるいは」は「もしくは」と非常によく似ています。「または」に比べてかしこまった言葉ですね。また、話し手が選択肢を考えながら付け足しているイメージが浮かびます。
これは、副詞の意味「もしかすると。ひょっとすると。」も含んでいる言葉だからです。
「それとも」も同じ意味ですが、疑問形の時に使いましょう。

「もしくは」は外国語でどう言う?

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最後に、「もしくは」を外国語ではどう言うでしょうか。ここでは、英語と中国語を見ていきます。

英語:or

「もしくは」は英語では「or」と表現されます。今まで紹介してきたような、「または」や「それとも」なども意味しますね。日本語でも、日常の場面ではさほど厳密に使い分けされていませんが、英語だとorにまとまるのですね。守備範囲が広い分、日本語に訳した時にどの言葉を使うのが適切なのか注意が必要です。

中国語:或者

「もしくは」は中国語では「或者(ほあじゃ)」と表現されます。これは、日本語での「あるいは」を漢字表記した時の、「或」と同じ漢字ですね。また、類語に「还是(ハイシ)」もあります。こちらは疑問文的に使われることが多いです。こちらも、「それとも」の使い方に通じるところがありますね。

使い分けを知って「もしくは」をマスターしよう

この記事では「もしくは」の意味・使い方・類語との使い分け、外国語での表現などを説明しました。

実は、ここまで説明してきた言葉は全て「か」で代替が効くのです。そう言われると、何だか拍子抜けしてしまうかもしれません。ですが、これまで説明して来たように、それぞれの言葉には、口語/文章での出現頻度に差があったり、微妙なニュアンスの違いがあったりします。

ぜひ、細かい使い分けを知って「もしくは」をマスターしてください!

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
" /> 「もしくは」の意味と使い方は?「または」とどう違う?英語・例文・類語も元情報誌制作ライターがわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

「もしくは」の意味と使い方は?「または」とどう違う?英語・例文・類語も元情報誌制作ライターがわかりやすく解説

「もしくは」とは複数のものから一つを選択する接続詞のことです。ですが、「または」や「あるいは」との違いはあまり気にせず使っていることが多いんじゃないか?今回は「もしくは」の意味や使い方、類似する言葉との使い分け、更に外国語では何と言うのかなど、「もしくは」について徹底解説する。今回は、情報誌の制作や、外国の方に日本語を教えた経験もある言葉好きライターいしいを呼んで、解説してもらおう。

ライター/いしいゆうこ

情報誌制作の仕事の後に、外国の方に日本語を教えていた経験を持つ。言葉や日本語に関する疑問が生まれると、ついつい調べ始めて止まらないと言う、調べ物好きな一面も持つ。

「もしくは」の基本!意味・使い方・例文

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ではまず、基本として「もしくは」の意味や使い方を見ていきましょう。例文も紹介します。

「もしくは」の意味は?

もしくはの意味は次の通りです。

 1.(接続) 前後の事柄のうちどちらか一方が選ばれる関係であることを表す。あるいは。「本人,―その代理の者」  2.(副) もしかしたら。ひょっとして。

出典:大辞林第四版(三省堂)「もしくは」

「もしくは」の使い方

「もしくは」は「選択の接続詞」とも呼ばれ、複数のものからどちらか一つを選ぶ時に使います。普段の会話の中では、「または」「それとも」を使うことの方が多いのではないでしょうか。「もしくは」は割とフォーマルな文書などで使われます。

選択肢が二つの場合は「AもしくはB」、三つ以上ある時は「A、B、C、もしくはD」と言うように選択肢を句点「、」でつなぎ、最後の選択肢の直前に「もしくは」を挟むといった形です。

「もしくは」の例文

続いて、例文も見てみましょう。

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