この記事では「不肖」について解説する。ぱっと見ただけでは、読み方が分からない人も多いでしょう。これは「ふしょう」と読む。

端的に言えば不肖の意味は「未熟で劣ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「不肖」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/野島レミ

WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。

「不肖」の意味まとめ

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皆さんは「不肖」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?もしかしたら、初めて聞いたという方も、いるかもしれません。そんな「不肖」という言葉は、一体どんな意味なのでしょうか?

「不肖」の意味は?

それでは「不肖」の意味を見ていきましょう。「不肖」を広辞苑で調べると、次のように意味が記載されています。

①(似ていない意)父に似ないで愚かなこと。また、師に似ず劣っていること。「—の子」
②愚かなこと。取るに足りないこと。平家物語(3)「身—の間、かれもつて服膺せず」。「—ながら」
③運の悪いこと。みじめなこと。太平記(27)「身の難に逢ひ—なる時は」。広津柳浪、黒蜥蜴「斯かる父(オヤ)を持ちし身の不勝と押鎮めても」
④自分の謙称。「—、私にお命じ下さい」

「不肖(ふしょう)」とは「未熟で愚かなこと」という意味です。

現在は、主に自分を謙遜するのに使う言葉として用いられます。広辞苑に乗っている最初の3つは、謙遜を通り越して、自虐的な意味に感じられますが、4つめの意味で使われる場合がほとんどです。自分自身をへりくだっていう言葉として用いられます。

「不肖」は話し言葉、書き言葉どちらでも使える表現です。

また「不肖」は、「肖」という漢字の持つ意味を把握しておくと、スムーズに理解できるようになります。次項で「肖」という字について、詳しく見ていきましょう。

「肖」の意味(1)「あやかる」

「不肖」の「肖」は、一文字で「肖る(あやかる)」と読みます。「肖る」とは、優れたものの影響を受けて、同様の状態になるという意味です。「最近の猫ブームに肖って、猫を使った新しい企画を考えよう」などと使ったりします。

「不肖」とは、「肖る」に否定の「不」を付けることで「肖っていない」という意味になり「恩恵を受けることができず、劣っていること」を指す言葉になりました。

\次のページで「「肖」の意味(2)「似る」」を解説!/

「肖」の意味(2)「似る」

「不肖」の「肖」には「似る」という意味もあります。ある人の顔に似せて描いた絵のことを「肖像画」と呼びますよね。そのため「不肖」には、優れた人物が自分のそばにいるにも関わらず、良い影響を受けないことという意味があります。

「不肖」の使い方・例文

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「不肖」の使い方を例文を使って見ていきましょう。「不肖」という言葉が使われるパターンには「1.他人に使う場合」と「2.自分自身に使う場合」の2つがあります。

1.「不肖」を他人に使う場合

「彼は、不肖の息子と呼ばれている」

「不肖」を他人に対して使う場合は、「未熟であることや、取るに足りないということ」を表します。

2.自分自身に使う場合

「不肖」を自分自身に使う場合は「親や師匠に似ないで、才能がないこと」や「未熟者」という意味で使われます。

\次のページで「「不肖」を使う際の注意点」を解説!/

1.「不肖ながら、誠心誠意努力いたします」
2.「不肖、山田太郎。精一杯がんばります」
3.「不肖者ですが、私が○○の後任を務めさせていただきます」

例文1.で出た「不肖ながら」は、へりくだり相手を立てる際に使われる、敬語表現になります。「未熟だが」という意味です。

例文2.ですが、「不肖+自分の名前」で謙遜の表現をすることができます。「未熟な人間ですが」といった意味です。

例文3.では「不肖者ですが」というフレーズが登場しています。これはビジネスシーンなどでよく使われる、前置き表現です。「未熟者ですが」といった意味になります。

「不肖」を使う際の注意点

紹介・指名されたときに「不肖」は使わないよう注意しましょう。

たとえば、結婚式などかしこまった場で、司会者として指名され、「司会は不肖、斎藤が務めさせていただきます」と言うことがあります。「未熟者ですが、司会を務めさせていただきます」という意味になりますが、この場面で「不肖」を使うと「未熟なら司会をするべきでない」「未熟な人を指名するなんて」と思われかねません。自分だけでなく、指名した人の評価も下げてしまいます。

「不肖」の類義語は?

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それでは「不肖」の類義語について見ていきましょう。不肖の類義語は「拙い」「小生」などです。この2つの熟語の意味を、使い方と併せて解説していきます。

類義語その1「拙い」

「拙い(つたない・まずい)」は「下手で劣っている」という意味です。一般的には「つたない」と読みます。技術などが熟練しておらず、不格好な状態を指す表現です。ビジネスシーンで使うことの多い表現で、目上の人に対し、自分を低く見せるようなニュアンスで用いられます

\次のページで「類義語その2「小生」」を解説!/

「拙い説明で恐縮ですが、最後までお聞きいただきありがとうございます」

「留学生である彼の日本語は拙いものの、一生懸命勉強したことが分かる」

類義語その2「小生」

「小生(しょうせい)」とは自分の事を指す表現です。相手に対し自分をへりくだっていう言葉になります。主に手紙やメールなどで使用し、口語ではあまり使用しません

また「小生」は男性が使える表現です。女性は使えないので注意しましょう。女性の場合は「小生」ではなく「私」を使用します。

特徴的なのは「小生」は「同等か目下の人に対して使う表現」だということです。自分をへりくだって言う言葉ですが、目上の人には使えません。そのため目上の人に使うと、生意気と思われる場合もあるため注意しましょう。

「お元気ですか。小生は元気にしております」

「資料を共有しましたので、不明点がありましたら小生までご連絡ください」

「不肖」の対義語は?

「不肖」の対義語にはどのようなものがあるでしょうか?「不肖」の対義語は「貴殿」「熟練」「優秀」があります。

「貴殿」は尊敬の二人称の代名詞です。使い方として、自分の謙称である「不肖」とは逆の意味になります。

「熟練」「優秀」とは何かに秀でている、優れていることです。技術や技量において、未熟で劣っているという意味の「不肖」と逆になっています。

「不肖」を使いこなそう

この記事では「不肖」の意味・使い方・類語などを説明しました。「不肖」をマスターする上で押さえておきたいポイントは以下の4つです。

・「不肖」は「未熟者」という意味の謙遜表現として使われている。
・「不肖」は紹介・指名されたときは使えない。
・「不肖」の類義語には「拙い」「小生」などがある。
・「不肖」の対義語には「貴殿」「熟練」「優秀」などがある。

ぜひ「不肖」の意味をマスターして語彙力アップに繋げましょう。

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「不肖」の意味や使い方は?例文や類語を法学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「不肖」について解説する。ぱっと見ただけでは、読み方が分からない人も多いでしょう。これは「ふしょう」と読む。

端的に言えば不肖の意味は「未熟で劣ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「不肖」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/野島レミ

WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。

「不肖」の意味まとめ

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皆さんは「不肖」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?もしかしたら、初めて聞いたという方も、いるかもしれません。そんな「不肖」という言葉は、一体どんな意味なのでしょうか?

「不肖」の意味は?

それでは「不肖」の意味を見ていきましょう。「不肖」を広辞苑で調べると、次のように意味が記載されています。

①(似ていない意)父に似ないで愚かなこと。また、師に似ず劣っていること。「—の子」
②愚かなこと。取るに足りないこと。平家物語(3)「身—の間、かれもつて服膺せず」。「—ながら」
③運の悪いこと。みじめなこと。太平記(27)「身の難に逢ひ—なる時は」。広津柳浪、黒蜥蜴「斯かる父(オヤ)を持ちし身の不勝と押鎮めても」
④自分の謙称。「—、私にお命じ下さい」

「不肖(ふしょう)」とは「未熟で愚かなこと」という意味です。

現在は、主に自分を謙遜するのに使う言葉として用いられます。広辞苑に乗っている最初の3つは、謙遜を通り越して、自虐的な意味に感じられますが、4つめの意味で使われる場合がほとんどです。自分自身をへりくだっていう言葉として用いられます。

「不肖」は話し言葉、書き言葉どちらでも使える表現です。

また「不肖」は、「肖」という漢字の持つ意味を把握しておくと、スムーズに理解できるようになります。次項で「肖」という字について、詳しく見ていきましょう。

「肖」の意味(1)「あやかる」

「不肖」の「肖」は、一文字で「肖る(あやかる)」と読みます。「肖る」とは、優れたものの影響を受けて、同様の状態になるという意味です。「最近の猫ブームに肖って、猫を使った新しい企画を考えよう」などと使ったりします。

「不肖」とは、「肖る」に否定の「不」を付けることで「肖っていない」という意味になり「恩恵を受けることができず、劣っていること」を指す言葉になりました。

\次のページで「「肖」の意味(2)「似る」」を解説!/

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