この記事では「ジト目」について解説する。

端的に言えばジト目の意味は「半目状態で相手を見る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「ジト目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「ジト目」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ジト目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ジト目」の意味は?

「ジト目」は比較的最近に成立した言葉です。それゆえ、紙媒体の辞書には載っておらず、俗語の一つとされており、一般的な言葉とは言えません。「ジト目」の定義が載っているのは現在ではインターネット上です。それによると、「ジト目」には、次のような意味があります。

主に軽蔑・不審・不快・反抗・呆れ・企みなどの負の感情を込めて見るときの、目を細めたような表情を指す。

出典:ニコニコ大百科「ジトメ」

「ジト目」は負の感情をこめて目を細める様子を表す言葉として使われているようです。あくまで「負の感情」をもって相手を見る、というところが重要でしょう。顔文字で示すこともでき、インターネット上では親しみ深い言葉と言えます。

怒りを込めて相手を見る「睨む」とは異なり、形容しがたい不快感を持って相手を見やるといったニュアンスを持つのが「ジト目」です。これは、「目を細める」とも異なり、「目を細める」は何かを愛でる際や快楽を感じる際に使われる表現として区別されています。「細目」は「ジト目」とは異なり、狐目のように目の全体が細いものです。一本線で描かれることも少なくありません。また、凶相の一つとされる「三白眼」とも異なるものとされており、使う時は注意が必要です。

「ジト目」の語源は?

次に「ジト目」の語源を確認しておきましょう。「ジト目」はオノマトペが基になっているとされていますが、明確な語源は分かっていません。軽蔑や不信、企みなどのマイナスの感情を持って相手を見るときのオノマトペとして「じとー」「じっとり」「じとじと」という、暗く湿った様子を示すものが用いられます。「ジト目」はそういった感情を含んだ目、という理解で使われ暗い印象を与えることが多いようです。

「ジト目」という言葉の用例として特徴的なこととして、主にライトノベルいわゆるラノベにおいて多く使われているという点があります。「ジト目」という言葉自体、使われるようになったのはつい最近のことです。初めてその存在が確認された例は1970年代とされています。まだ純文学などのライトノベル以外の文学作品では使われておらず一般的なものではありません。

\次のページで「「ジト目」の使い方・例文」を解説!/

「ジト目」の使い方・例文

「ジト目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先週、最後に会ったとき喧嘩したせいか、彼女がジト目でこっちを見ている。

2.彼は常にジト目である。

3.笑い話のつもりが、友人には面白くなかったらしく、ジト目で見られてしまった。

4.彼女はアニメのキャラクターの中でも、ジト目キャラが好きだ。

一つ目や三つ目の例のように、相手が不快感を抱いた際に半目でこちらを見る様子を「ジト目」として使う例が多いです。「ジト目」はジト目になる方は不快感を示す際に表現するものとして行動しますが、ジト目で見られる方は必ずしもそれに恐怖や嫌悪感を抱くわけではない場合が多いと言えます。むしろ、そういった目で自分が見られることに一種の高揚感を抱いている場合も少なくありません。

二つ目や四つ目の例は、不快感を持っていなくても「ジト目」という形の目を持つ人の様子を示す例です。アニメや漫画などのキャラクターには、一定数半目である外見を持つ人物がいます。それも「ジト目」と呼ぶ場合があり、このときの「ジト目」は負の感情を持っている意味ではありません。「ジト目」キャラクターは、やる気がない性格やミステリアスな雰囲気、クールな性格や眠そうな感じ、高飛車な性格など享受者に様々な性格や背景を連想させる効果があります。そういった意味で「ジト目」はときにキャラクターの魅力の一つともなるでしょう。

「ジト目」の類義語は?違いは?

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ここでは、「ジト目」の類義語について見ていきましょう。それぞれの類義語と「ジト目」がどのような点で異なるかについても紹介していきます。

その1「半目」

「半目」は辞書的な意味としては「片目」などを示す言葉ですが、「ジト目」の類義語としてこの言葉が使われる際は、それとはやや意味が異なります。ここでの「半目」は「半分開いた目」という意味です。「ジト目」と見た目がよく似ており用例も、キャラクターが呆れる場面・眠そうにする場面・嘲る場面・恍惚とする場面など「ジト目」とよく似ている言葉だと言えるでしょう。

「ジト目」と「半目」の違いは、明確ではありません。両方とも正式な辞書には載っていないことから、それぞれの定義は様々です。「ジト目」と「半目」を同じものとする人もいれば、そうではない人もいます。「ジト目」と「半目」を別のものとして考える人は、「ジト目」はキャラクターが眠い場面には使えず、「ジト目」は必ず負の感情を含むものとする考えを持つこともあるのです。

まとめると、「ジト目」と「半目」は非常に類似している言葉ではあるものの、お互いを同一のものとするか別のものとするかは個人の判断にかかっているということでしょう。

\次のページで「その2「嫉視」」を解説!/

その2「嫉視」

「嫉視」は「ねたましく思って見ること。うらやみねたむこと。」という意味を持つ言葉です。「嫉視」の様子を表す際に、キャラクターはしばしば目を半分だけ開いた状態で描かれることがあり、「ジト目」に似ていると言うことができるでしょう。

「ジト目」と「嫉視」との違いは、「嫉視」は必ず嫉妬の念が含まれなければならないことに対して「ジト目」は広い意味を含む点ということができるでしょう。

その3「蔑視」

「蔑視」は「さげすんでみること。軽んじあなどること。見さげること。見くだすこと。」という意味を持つ言葉です。「ジト目」の多く負の感情を持って使われていることから考えると、「蔑視」も負の感情を持っていると言え、この二つの言葉は類似していると考えることができます。

「蔑視」と「ジト目」とで異なる点は、「蔑視」は何かを企てるというニュアンスはないのに対し、「ジト目」にはそれがあるという点です。こうしてみると「ジト目」には非常に多くの意味合いが込められていると言えますね。

「ジト目」の対義語は?

「ジト目」の対義語は、無いと言えるでしょう。というのも、「ジト目」は様々な意味を内包しており、意味を一つに絞れません。「ジト目」以外にも様々に目の形状を示す言葉はありますが、それらが「ジト目」との対義語であるかとすると、そうとは言えないのです。

「ジト目」の英訳は?

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ここでは、「ジト目」の英訳について見ていきましょう。

その1「scornful eyes」

「scornful eyes」は「さげすんだ目」という意味を持つ言葉です。「蔑視」の英訳として考えることもできます。

その2「reproachful eyes」

「reproachful eyes」は「非難するような目」という意味を持ちます。「ジト目」には負の感情が含まれていることが多く、「非難」もその一つです。

\次のページで「その3「distgusted eyes」」を解説!/

その3「distgusted eyes」

「disgusted eyes」は「いらいらした目」という意味です。「ジト目」の持つ負の感情の中の「怒り」を示した言葉と言えるでしょう。

「ジト目」を使いこなそう

この記事では「ジト目」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ジト目」は俗語なので、当然ビジネスなどのかしこまった場面には使えません。ただ、日常生活で意識してみると人の感情の機微を考えるきっかけとなりそうですね。

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国語言葉の意味

「ジト目」の意味や使い方は?例文や類語を文学院生がわかりやすく解説!

この記事では「ジト目」について解説する。

端的に言えばジト目の意味は「半目状態で相手を見る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「ジト目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「ジト目」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ジト目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ジト目」の意味は?

「ジト目」は比較的最近に成立した言葉です。それゆえ、紙媒体の辞書には載っておらず、俗語の一つとされており、一般的な言葉とは言えません。「ジト目」の定義が載っているのは現在ではインターネット上です。それによると、「ジト目」には、次のような意味があります。

主に軽蔑・不審・不快・反抗・呆れ・企みなどの負の感情を込めて見るときの、目を細めたような表情を指す。

出典:ニコニコ大百科「ジトメ」

「ジト目」は負の感情をこめて目を細める様子を表す言葉として使われているようです。あくまで「負の感情」をもって相手を見る、というところが重要でしょう。顔文字で示すこともでき、インターネット上では親しみ深い言葉と言えます。

怒りを込めて相手を見る「睨む」とは異なり、形容しがたい不快感を持って相手を見やるといったニュアンスを持つのが「ジト目」です。これは、「目を細める」とも異なり、「目を細める」は何かを愛でる際や快楽を感じる際に使われる表現として区別されています。「細目」は「ジト目」とは異なり、狐目のように目の全体が細いものです。一本線で描かれることも少なくありません。また、凶相の一つとされる「三白眼」とも異なるものとされており、使う時は注意が必要です。

「ジト目」の語源は?

次に「ジト目」の語源を確認しておきましょう。「ジト目」はオノマトペが基になっているとされていますが、明確な語源は分かっていません。軽蔑や不信、企みなどのマイナスの感情を持って相手を見るときのオノマトペとして「じとー」「じっとり」「じとじと」という、暗く湿った様子を示すものが用いられます。「ジト目」はそういった感情を含んだ目、という理解で使われ暗い印象を与えることが多いようです。

「ジト目」という言葉の用例として特徴的なこととして、主にライトノベルいわゆるラノベにおいて多く使われているという点があります。「ジト目」という言葉自体、使われるようになったのはつい最近のことです。初めてその存在が確認された例は1970年代とされています。まだ純文学などのライトノベル以外の文学作品では使われておらず一般的なものではありません。

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