この記事では「蜜月」について解説する。

端的に言えば蜜月の意味は「結婚して間もない期間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「蜜月」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「蜜月」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蜜月」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蜜月」の意味は?

「蜜月」には、次のような意味があります。

1.結婚して一か月ほどの日々。また、新婚旅行。ハネムーン。

2.親密な関係にあること。

出典:日本国語大辞典 第二版(小学館)「みつ‐げつ」

「蜜月」の読み方は「みつげつ」です。「蜜月」は第一義として、「結婚してから一ヶ月ほどの期間」のことを指します。そこから「新婚旅行」の意味で使うことも可能です。このように、「蜜月」には、結婚したてのペアにまつわる言葉であることが分かります。

また、派生した意味として「親密な関係にあること」というものも存在しますが、こちらは恋仲にあるもの同士のことを言うばかりではありません。後ほど例文を交えて説明しますが、組織同士の関係など政治やビジネスの様子を示す言葉としても使います。

「蜜月」の語源は?

次に「蜜月」の語源を確認しておきましょう。

「蜜月」は英語の「honeymoon」の訳語です。「ハネムーン」と聞くと日本人にもなじみがあるのではないでしょうか。「honey」は「蜜」のことを指し、「moon」は「月」のことを指すといった、日本語の訳によってこの言葉は生まれました。

「honeymoon」は元々、新婚後一ヶ月の期間のことを指し、その由来は二説あります。一つ目は古代ヨーロッパの習慣に依るものです。古代ゲルマン民族は、結婚後のひと月は子作りに励むため、滋養強壮のための蜂蜜酒を飲んでいました。ここでの「moon」は空に浮かぶ月ではなく、暦の上の月を指します。もう一つは、月の満ち欠けに依るものです。月の満ち欠けのように、互いの愛情は変わりゆくものであることを表現したというわけでしょう。

\次のページで「「蜜月」の使い方・例文」を解説!/

「蜜月」の使い方・例文

「蜜月」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼らは三月に蜜月旅行に出かけた。

2.結婚後三十年を迎えてもなお、あの夫妻は蜜月の仲である。

3.あんなに仲の良いように見えた夫婦も、蜜月期を超えてから雲行きが怪しくなってきた。

4.この不景気で、取引先との蜜月状態は絶たれた。

5.かの国との蜜月時代があったのは、はるか昔の話である。

一つ目から三つ目までの例文は、婚姻関係にある者同士について「蜜月」を使った例です。「蜜月」には「新婚旅行」という意味はありますが、もともと「新婚後の間もない期間」を指す言葉であるので、新婚旅行のことを言いたいときには「蜜月旅行」という言い回しを使いましょう。

四つ目と五つ目の例文は、恋仲の状態にかかわらず「親密な関係」を表した言葉です。この言葉には、特にネガティブな意味合いはないのですが、政権など大きな責任のある立場などに使う際は、やや含みのある言い方として使われることも少なくはありません。

単に「仲がいい」ということを言いたいときには「蜜月状態」「蜜月関係」「蜜月の仲」「蜜月期間」「蜜月時代」「蜜月の時」という言い方を使うと良いでしょう。

「蜜月」の類義語は?違いは?

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ここでは、「蜜月」の類義語について見ていきましょう。それぞれの類義語と「蜜月」とがどのような点で異なるかについても紹介していきます。

その1「親密」

「親密」は「非常に親しいこと。きわめて仲のよいこと。また、そのさま。」という意味です。「蜜月」と同じように、お互いがたいへん親しい様子を表しています。

「親密」と「蜜月」との違いは「親密」は、ある種性的なニュアンスを持つという点です。そのため、「親密」を軽はずみに使ってしまうと誤解を生む恐れがあります。これは「蜜月」においても似ているようですが、「親密」のほうが言葉の知名度が高い分、より直接的になってしまうでしょう。

また、「蜜月」は「蜜月旅行」のように新婚の意味を持ちますが、「親密」にはそれがありません。

\次のページで「その2「相思相愛」」を解説!/

その2「相思相愛」

「相思相愛」は「男女が互いに愛し合っていること」という意味です。「蜜月」と同じように愛し合うことを表します。

「相思相愛」と「蜜月」で異なる点は、「蜜月」には恋愛の場以外で親しくする、という意味合いがあるのに対して「相思相愛」にはそれがないという点です。「相思相愛」はあくまで恋愛の場における言葉というわけですね。

その3「昵懇」

「昵懇」は「じっこん」と読みます。意味は「親しく交わること。心やすいこと。また、そのさま。親密。懇意。入魂(じゅこん)。」です。「蜜月」と同様、人同士にも組織同士にも使うことができます。

「蜜月」と「昵懇」とで異なる点は、「昵懇」を使う場面は恋愛関係であることはあまりないという点です。どちらかというと「親友」的な親しみの意味合いを持って使われます。

その4「懇ろ」

「懇ろ」は「ねんごろ」と読みます。意味は「心が通じ合って、間柄が親密なさま。交情のむつまじいさま。」です。「蜜月」と同様、男女の間柄にも、単に親しい関係にも使うことができます。

「懇ろ」と「蜜月」とで異なる点は、「懇ろ」のほうが「親しい」という意味を示す言葉として様々な場面で使えるという点でしょう。もちろん「懇ろ」には新婚の意味合いはなく、それも「蜜月」との違いで挙げることができるのですが、「懇ろ」の方が「蜜月」よりも広く普及している言葉である点は二つの言葉の間の大きな違いです。

「蜜月」の対義語は?

ここでは、「蜜月」の対義語について紹介していきます。

「蜜月」は婚姻関係か否かに関わらず、「親密な関係」のことを指すため、その反対の意味を持つ言葉として「冷めた関係」「いがみ合う関係」という意味を持つ言葉が適切でしょう。

その1「倦怠期」

「倦怠期」は、「飽きて、いやになる時期。特に夫婦の間柄についていう。」という意味を持ちます。「蜜月」の第一義が夫婦間への意味であるので、それに対応する意味です。

その2「犬猿の仲」

「犬猿の仲」は「犬と猿のようないがみあう間柄。仲の悪いたとえ。犬猿の間柄。」という意味です。昔から、日本において犬と猿は仲の悪い者同士として認識されてきました。「犬猿の仲」はその認識を利用した言い回しです。

また、地方によっては犬と猫の仲が悪いことから「犬猫の仲」と言うこともあるようですよ。

\次のページで「「蜜月」の英訳は?」を解説!/

「蜜月」の英訳は?

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ここでは、「蜜月」の英訳について紹介していきます。

「honeymoon」

「honeymoon」は先に述べた通り「蜜月」の語源となった言葉です。「新婚旅行、ハネムーン、結婚直後の楽しい期間、蜜月、新しい協調関係」という意味を持ちます。

基本的に名詞として用いられるこの言葉ですが、「新婚旅行をする」「新婚期間を過ごす」という意味で動詞として用いることも可能です。

「蜜月」を使いこなそう

この記事では「蜜月」の意味・使い方・類語などを説明しました。「蜜月」は婚姻関係にある場合以外に使ってしまうと、誤解を生む恐れのある言葉と言えます。しかし、それを理解して適切な場面で使うことができれば、語彙力を高められる良い言葉なのです。用法やニュアンスをおさえて、是非使いこなしていきましょう。

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国語言葉の意味

「蜜月」の意味や使い方は?例文や類語を文学院生がわかりやすく解説!

この記事では「蜜月」について解説する。

端的に言えば蜜月の意味は「結婚して間もない期間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「蜜月」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/翠

中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。

「蜜月」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蜜月」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蜜月」の意味は?

「蜜月」には、次のような意味があります。

1.結婚して一か月ほどの日々。また、新婚旅行。ハネムーン。

2.親密な関係にあること。

出典:日本国語大辞典 第二版(小学館)「みつ‐げつ」

「蜜月」の読み方は「みつげつ」です。「蜜月」は第一義として、「結婚してから一ヶ月ほどの期間」のことを指します。そこから「新婚旅行」の意味で使うことも可能です。このように、「蜜月」には、結婚したてのペアにまつわる言葉であることが分かります。

また、派生した意味として「親密な関係にあること」というものも存在しますが、こちらは恋仲にあるもの同士のことを言うばかりではありません。後ほど例文を交えて説明しますが、組織同士の関係など政治やビジネスの様子を示す言葉としても使います。

「蜜月」の語源は?

次に「蜜月」の語源を確認しておきましょう。

「蜜月」は英語の「honeymoon」の訳語です。「ハネムーン」と聞くと日本人にもなじみがあるのではないでしょうか。「honey」は「蜜」のことを指し、「moon」は「月」のことを指すといった、日本語の訳によってこの言葉は生まれました。

「honeymoon」は元々、新婚後一ヶ月の期間のことを指し、その由来は二説あります。一つ目は古代ヨーロッパの習慣に依るものです。古代ゲルマン民族は、結婚後のひと月は子作りに励むため、滋養強壮のための蜂蜜酒を飲んでいました。ここでの「moon」は空に浮かぶ月ではなく、暦の上の月を指します。もう一つは、月の満ち欠けに依るものです。月の満ち欠けのように、互いの愛情は変わりゆくものであることを表現したというわけでしょう。

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