この記事では「朴訥」について解説する。「朴訥」は難読である上、予備知識なしではどういう時に使用される言葉なのかもわからないでしょう。しかし人に対して使用される言葉でもあるから、ふいに人から「朴訥な人だね」などと言われて、どういう意味かわからず困惑したりなどということもあり得るな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「朴訥」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「朴訥」の意味とは?

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「朴訥」の意味は以下の通りです。

質朴で訥弁であること。かざりけがなく、口数が少ないこと。また、そのさま。

出典:Weblio辞書「朴訥 意味」

上記の「質朴」とは、かざりけがなく純真で素直、という意味です。「訥弁」とはあまりなめらかに喋らず、つかえながら話すことという意味であり、2つ合わせて飾り気と口数が少ない、ということを表しています。

「朴」という漢字はうわべを飾らず素直である、という意味を持っており、転じて実直さを表す文字です。「訥」という漢字はどもるという意味があります。このどもるという意味ですが、単純に話すのが下手だというよりは、この場合言葉にあまり頼らないというニュアンスで捉えるべきでしょう。これもまた、飾り気がないこと、うわべを繕わないことという意味合いを強めているわけです。

「朴訥」の読み方

「朴訥」の読み方は「ぼくとつ」です。「朴」は「素朴(そぼく)」の「ぼく」であり、読める人も比較的多いでしょう。「訥」の字は日常的な漢字とは言えないため、読めない人も多いかもしれません。しかし「訥々(とつとつ)と話す」という言い回しも存在しており、「朴訥」という言葉にのみ使用されている漢字というわけでもないです。

どちらにせよ覚えていなければ推測で読むのは難しいため、今まで知らなかった人は本記事を参考に覚えてください。

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「朴訥」の使い方

「朴訥」の使い方は以下の通りです。

1.彼の人柄を一言で言うと、「朴訥」だ。
2.君はもう少し、父上の「朴訥」さを見習う必要がある。
3.あの人は友人ながら「朴訥」だと思う。

「朴訥」は使い方としてはシンプルな言葉であり、「~だ/である」などが後に続く場合が多いです。また、2番の例文のように「朴訥さ」という単語として使用する場合もあります。使い方に迷った場合は、「実直」「素朴」などのわかりやすい単語に置き換えてみると確かめやすいでしょう。

もっと知りたい!「朴訥」について

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「朴訥」という言葉の概要は上記のトピックで述べました。辞書上の意味と読み方、使用例さえ知っていれば、最低限読み書きするに困ることはありません。しかし言葉はいろいろな側面を持つものであり、辞書上の意味だけ知っている状態では十分とは言えません。よりスムーズに使いこなすためには、もっと深い所まで知識を得る必要があります。

「朴訥」って褒め言葉なの?

「朴訥」の意味は「かざりけがなく実直である」ということです。この「かざりけがない」という部分がポイントであり、「質素で素朴である」という意味を持つと同時に、「派手さに欠けている」という意味でもあります。人によっては「地味である」という受け取り方になるため、「朴訥」と評されるとしばしば「悪口を言われた」「侮辱された」と思う人も。

ただ、「朴訥」という言葉そのものに相手を悪く言うニュアンスはなく、基本的には相手を褒める言葉です。「実直である」「人として中身が素晴らしい」という意味で使うと同時に、使われたら喜んで受け取っておきましょう。

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「朴訥」って人以外にも使えるの?

「朴訥」は主に人に対する言葉ですが、人以外に使ってはいけないという決まりはありません。例えば「朴訥な話し方」という風に、人柄ではなくその人の一部分に対して「朴訥」を使用することもできます。日常で使用する場合は対象が人間であるケースがどうしても多くなりますが、あまり主だった使用例に囚われすぎず、自由に使ってみるのが親しむための第一歩です。

字面もそっくり!「朴訥」の類義語

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「朴訥」はやや複雑寄りの意味合いながら類義語の多い言葉です。特に漢字が共通していたり、字面が似ている言葉が多数存在しています。広い意味では「質素」「実直」なども「朴訥」の類義語に入りますが、ここまで拡大解釈を行わなくても類義語は挙げられるのです。

ただし、「訥」という漢字はそのままだと「言葉の話し方がどもっている」という意味になり、「朴訥」の持つ意味から離れます。そのため、どちらかというと「朴」の字が入っている言葉が多いです。

どう違うの?「朴訥」と「素朴」

「朴訥」の類義語にあたる言葉の中で、もっとも日常で親しんでいる言葉というと「素朴」が代表的です。「素朴」とは読んで字のごとく「性質などに飾り気がなく自然なままであること」という意味になります。「素朴」の「素」という言葉は「素性」の「素」であり、「大元」「素材」「本当の」という意味を持つ漢字です。そこに「かざりけがない」という意味を持つ「朴」を繋げたものが「素朴」であり、「朴訥」と極めて近い意味を持ちます。

ただし「素朴」という言葉は飾り気のなさがより強調される形です。代わりに「実直である」というニュアンスはやや薄まるため、「素朴だね」と人に使用した場合、褒め言葉と受け取られない可能性はさらに高まってしまいます。注意してください。

間違えやすい!「朴訥」と「朴念仁」

上記のトピックとは対照的に、「朴訥」の類義語でやや複雑な意味合いの言葉と言うと「朴念仁」が挙げられます。「朴念仁」もまた人に対して使用する言葉であり、意味合いとしてはズレも大きい言葉ですが、「朴」という漢字が共通しているためしばしば「似たような言葉」として混同されるケースが多いです。

「朴念仁」とは「無口で不愛想である」という意味になります。「朴訥」にも言葉少なであるという意味はありますが、不愛想であるというニュアンスはありません。また、「朴念仁」は「分からず屋」という意味も持っています。「無口である」という意味も併せて、頭が固い人や融通が効かない人に「朴念仁」と称する場合も多いです。

「朴訥」にはそのような悪い意味を持ち合わせる言葉ではないため、近い所もある言葉ながら区別が重要となります。

世に必要とされる「朴訥」な人

「朴訥」は「飾り気がなく実直なさま」を表す言葉です。上記のトピックで解説したように、「華美さに欠ける」ということでもあるためしばしば褒め言葉と思われない場合もありますが、「朴訥」とはとても日本的な人を表すという風に見ることもできます。

言葉少なで実直であるということは、言葉ではなく行動で示すような人柄を表しているわけであり、昨今失われつつある古き良き日本人の美徳を体現したような存在と言えるでしょう。もちろん言葉で表すことが少ないということが、いついかなる時も一概に良いことだとは言えません。しかし情報化が進んだ社会では、とかく言葉が先行していて、行動が遅れがちです。「朴訥」な人間であることの大切さを、今一度考えてみるのも面白いでしょう。

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国語言葉の意味

褒め言葉として使える?「朴訥」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「朴訥」について解説する。「朴訥」は難読である上、予備知識なしではどういう時に使用される言葉なのかもわからないでしょう。しかし人に対して使用される言葉でもあるから、ふいに人から「朴訥な人だね」などと言われて、どういう意味かわからず困惑したりなどということもあり得るな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「朴訥」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「朴訥」の意味とは?

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「朴訥」の意味は以下の通りです。

質朴で訥弁であること。かざりけがなく、口数が少ないこと。また、そのさま。

出典:Weblio辞書「朴訥 意味」

上記の「質朴」とは、かざりけがなく純真で素直、という意味です。「訥弁」とはあまりなめらかに喋らず、つかえながら話すことという意味であり、2つ合わせて飾り気と口数が少ない、ということを表しています。

「朴」という漢字はうわべを飾らず素直である、という意味を持っており、転じて実直さを表す文字です。「訥」という漢字はどもるという意味があります。このどもるという意味ですが、単純に話すのが下手だというよりは、この場合言葉にあまり頼らないというニュアンスで捉えるべきでしょう。これもまた、飾り気がないこと、うわべを繕わないことという意味合いを強めているわけです。

「朴訥」の読み方

「朴訥」の読み方は「ぼくとつ」です。「朴」は「素朴(そぼく)」の「ぼく」であり、読める人も比較的多いでしょう。「訥」の字は日常的な漢字とは言えないため、読めない人も多いかもしれません。しかし「訥々(とつとつ)と話す」という言い回しも存在しており、「朴訥」という言葉にのみ使用されている漢字というわけでもないです。

どちらにせよ覚えていなければ推測で読むのは難しいため、今まで知らなかった人は本記事を参考に覚えてください。

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