端的に言えば瑕瑾の意味は「きず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
哲学、思想、政治に強い文系大学院の生南原を呼んです。一緒に「瑕瑾」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/南原眞一
法学研究科にて哲学、思想、政治を学んでいる現役文系大学院生。本来の専門は20世紀辺りのドイツ政治思想。大衆に訴えかける能力があると指導教授に言われた筆致で言葉を丁寧に解説していく。
「瑕瑾」の意味は?
「瑕瑾」には、次のような意味があります。
1 きず。特に、全体としてすぐれている中にあって惜しむべき小さな傷。また、短所。欠点。「わずかな―もない」
2 恥。辱め。名折れ。「仕損じては一門の―になるべく候ふ間」〈義経記・六〉
出典:デジタル大辞泉(小学館)「瑕瑾」
瑕瑾と書いて「かきん」と読みます。日常生活ではほとんど目にすることがない珍しい熟語だと言えるでしょう。意味自体は「きず」と特別ではないのですが、瑕も瑾も目にしたことがある人はそれほどいないでしょう。これを機会に、それぞれの漢字の意味も押さえつつ、瑕瑾の意味をしっかりと覚えましょう。
「瑕瑾」の語源は?
次に「瑕瑾」の語源を確認しておきましょう。ルネ・デカルトの「困難は分割せよ」とのアドバイスに則って、まずは「瑕瑾」を分けて考えてみましょう。
瑕は「か」と読みます。主な意味は三つあって、一つは「きず」、二つは「あやまち」、三つは「罪」です。そもそもは傷のついた玉を意味します。瑕瑾は一つ目の意味で用いられていると考えて良いでしょう。瑕を用いた他の熟語としては、「玉のきず、欠点」を意味する「瑕疵」(かし)、「欠点と美点」を意味する「瑕瑜」(かゆ)が挙げられるでしょう。
瑾は「きん」と読みます。美しい玉の名が意味です。国語辞典を見る限り、日本語では瑕瑾にのみ用いられている珍しい漢字となります。美しい玉である「瑾」が傷を意味する「瑕」と用いられることで、瑕瑾は「きず」を意味しているわけです。
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