この記事では「反駁」について解説する。

端的に言えば反駁の意味は「他の意見に論じ返す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「反駁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「反駁」の意味や語源・使い方まとめ

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「反駁」は「はんばく」と読みます。馴染みが薄い言葉だと思いますが、この行動自体は実は私たちはよく行っているのですよ。日常的に使う言葉ではないからこそ、使いこなすには意味を正しくおさえておくことが大切ですね。

それでは早速「反駁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「反駁」の意味は?

「反駁」には、次のような意味があります。

他人の主張や批判に対して論じ返すこと。反論。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「反駁」

「反駁」の意味は「相手の意見に真っ向から反対意見を論じる、非難や否定的な意見に対抗して論じ返す」です。単なる意見のやり取りというよりは、対立する立場からの意見や議論を指します。公的な意味合いが強い言葉で、裁判や会議といった真剣な話し合いの場で使われることが多いですね。

ビジネスシーンでは企画会議などで「反駁」が起きそうです。企画について真っ向から対立する意見の応酬が繰り広げられるといった場面を思い浮かべてください。その様子を表した言葉が「反駁」といえます。

「反駁」の語源は?

「反駁」の語源は漢字それぞれの意味を見ると理解できますよ。1文字ずつ見てみましょう。

まず「反」は「反対」という熟語で使われますね。もともとは「そりかえる、ひっくりかえる、はねかえる」といった意味がありました。転じて「そむく」「対立する」という意味を持つようになったと言われています。

「駁」は難しい感じですが、訓読みすると「ぶち」です。「ぶち模様」の犬というとイメージがわきますか?「ぶち」とはまだら模様のことですね。ぶち模様のように不純な色やものが入りまじることをあらわしている漢字です。転じて「賛否まぜあわさった状態」という意味になりました。

「反駁」は「様々な意見が入り混じっりつつ、互いに反論している状態」ということになりますね。

\次のページで「「反駁」の使い方・例文」を解説!/

「反駁」の使い方・例文

「反駁」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.昨日の会議ではA課長とB課長が、新企画をめぐって長い時間反駁していた。
2.説得力のある反駁をするためには、筋道立て根拠を一緒に示すことが大切だ。
3.弁護士は検察の主張に真っ向から反駁した。

ビジネスシーンと裁判の場面での「反駁」の例文を上げてみました。いずれも「相手の意見に反論している」様子が分かりますね。

例文1は会議においてA課長とB課長の間で意見の対立があり、なかなか議論が進展しなかったという意味です。企画や仕事に本気であればあるほど、譲れないこだわりは出てくるものですよね。

例文2は「反駁」する際に大切なポイントを指南している場面です。対立する意見に説得力を持たせるためには、きちんと話を論理立てデータなどの根拠を示すことは欠かせませんね。

例文3は裁判のシーンです。弁護士と検察はその立場ゆえに、意見が対立するもの。「反駁」が最も頻繁に起きる間柄かもしれません。

「反駁」の類義語は?違いは?

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「異なる意見の対立」という意味を表す言葉は、いくつか思い浮かぶのではないでしょうか?「反駁」の類義語にあたる表現をいくつかご紹介しましょう。

その1「反論」

日常でもよくつかわれる言葉が「反論」ですね。相手の意見に異を唱えるときに使えう言葉です。一見「反駁」と同じ意味を持っているように見えますが、使い分けるポイントがあります。それは「反駁」には相手の意見に「論じ返す」というニュアンスが強い一方、「反論」は相手の意見に対して反対の意見を述べることだけを指す、という点です。

相手の意見や批判に論理立てて反論するときには「反駁」を、単に反対意見を言うだけの場合は「反論」を、と使い分けると言葉の表現力がアップしますよ。

\次のページで「その2「弁駁」」を解説!/

その2「弁駁」

「弁駁」は「べんばく」と読みます。これも日常生活では見かけない表現ですね。「他人の言論の誤りを攻撃すること、他人の説を言いやぶろうとして攻撃すること」という意味です。「反駁」よりも勢いが激しく、強く論じ返すイメージが前面に出たのが「弁駁」だと言えます。

その3「反証」

「反証」は「はんしょう」と読みます。「その仮定的事実や証拠が真実でないことを立証すること。そのための証拠」という意味です。反対の意見を論じるというより、「相手の嘘を暴く」という意味合いが強く、証拠を出すことで相手の主張をバッサリ断つというニュアンスを持っています。状況によって適切に使い分けていきましょう。

「反駁」の対義語は?

続いて「反駁」の対義語を見ていきます。「相手の意見に反対意見を論じ返す」という意味の「反駁」ですが、対義語はあるのでしょうか。

その1「支持」

「支持」は「ささえる」という意味のほかに、「他人の意見に賛成し、そのあと押しをすること」という意味があります。選挙などで「候補者は地区の有権者の支持を得た」などと言ったりしますね。このように他人の意見に賛成し、その人をささえることを「支持」で表すことができます。相手の意見に賛同しているわけですから、「反駁」の対義語といえますね。

その2「同調」

「同調」は使用頻度が高い言葉ではないでしょうか。「他のあるものに調子をあわせること。他と同じ意見・態度になること」という意味です。他人の意見に反対を論じるのが「反駁」でしたから、他人の意見に賛同するという意味の「同調」は対義の一にある言葉といえます。

その3「共鳴」

共鳴は「他の人の考え方や行動に自分も心から同感すること」という意味です。「心から」という点がポイント。相手の気持ちを理解し、共感する際には「共鳴」という表現も使ってみましょう。

\次のページで「「反駁」の英訳は?」を解説!/

「反駁」の英訳は?

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異なる意見の対立や議論の応酬は、日本以上に欧米のほうが盛なイメージがありますね。「反駁」を英語ではどのように表現するのでしょうか。

その1「a counterargument」

a counterargument」、読み方は「ア カウンターアーギュメント」です。「counter」は「正反対の」という意味。「argument」は「議論、口論、言い争い」です。まさに「反駁」ですが「反論」と訳されることもあります。

実は英語には日本語ほど「議論」に関する多様表現はありません。相手との対立意見の言い争いはまとめて「反論」と括られているようです。

その2「criticism」

対立意見というより、「批判・非難」を強く言い表したいときは「criticism」を使います。「criticism」は「あらさがし、批評」とも訳されることがある言葉です。場面によって使い分けてみてください。

「反駁」を使いこなそう

この記事では「反駁」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「反駁」という言葉を使うシーンは、これまであまりなかったかもしれません。あるいはシーンはあったとしても「反論」と表現してきたかもしれませんね。豊かな語彙力は、豊かな表現力に繋がります。「反駁」の正しい意味を押さえられたところで、会社や学校などで積極的に使ってみてください。自分の意見を言うきっかけになるかもしれませんね。

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国語言葉の意味

「反駁」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「反駁」について解説する。

端的に言えば反駁の意味は「他の意見に論じ返す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元大手予備校校舎長で大学入試の国語指導歴が長いライターのみゆなを呼んです。一緒に「反駁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「反駁」の意味や語源・使い方まとめ

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「反駁」は「はんばく」と読みます。馴染みが薄い言葉だと思いますが、この行動自体は実は私たちはよく行っているのですよ。日常的に使う言葉ではないからこそ、使いこなすには意味を正しくおさえておくことが大切ですね。

それでは早速「反駁」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「反駁」の意味は?

「反駁」には、次のような意味があります。

他人の主張や批判に対して論じ返すこと。反論。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「反駁」

「反駁」の意味は「相手の意見に真っ向から反対意見を論じる、非難や否定的な意見に対抗して論じ返す」です。単なる意見のやり取りというよりは、対立する立場からの意見や議論を指します。公的な意味合いが強い言葉で、裁判や会議といった真剣な話し合いの場で使われることが多いですね。

ビジネスシーンでは企画会議などで「反駁」が起きそうです。企画について真っ向から対立する意見の応酬が繰り広げられるといった場面を思い浮かべてください。その様子を表した言葉が「反駁」といえます。

「反駁」の語源は?

「反駁」の語源は漢字それぞれの意味を見ると理解できますよ。1文字ずつ見てみましょう。

まず「反」は「反対」という熟語で使われますね。もともとは「そりかえる、ひっくりかえる、はねかえる」といった意味がありました。転じて「そむく」「対立する」という意味を持つようになったと言われています。

「駁」は難しい感じですが、訓読みすると「ぶち」です。「ぶち模様」の犬というとイメージがわきますか?「ぶち」とはまだら模様のことですね。ぶち模様のように不純な色やものが入りまじることをあらわしている漢字です。転じて「賛否まぜあわさった状態」という意味になりました。

「反駁」は「様々な意見が入り混じっりつつ、互いに反論している状態」ということになりますね。

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