

端的に言えば「うつらうつら」の意味は「しきりに眠気を催し、浅く眠ったり覚めたりするさま」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んだ。一緒に「うつらうつら」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/flicker
仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。
「うつらうつら」の意味は?
「うつらうつら」には、次のような意味があります。
〘副〙 (「うつら(空━)」を重ねたもの。「と」を伴う場合もある)
① 心がぼんやりしているさまを表わす語。茫然(ぼうぜん)。うっかり。
※御伽草子・さよひめ(室町時代物語集所収)(室町末)「うつらうつらとははごのもとをたちいでて」
※野分(1907)〈夏目漱石〉八「梧桐を眺めくらして、うつらうつらとして居た」
② ねむけ、病気などで意識がはっきりしないさまを表わす語。うとうと。
※俳諧・正章千句(1648)一「雨に窓かぜに障子を引たてて うつらうつらと物おもふさま」
※婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「寝台に、うつらうつらして居た早瀬は」
③ (②から転じて) ゆっくりとゆれ動くものから受ける感じをいう。
※永日小品(1909)〈夏目漱石〉蛇「長い藻が、うつらうつらと揺(うご)いて」
〘副〙 (「うつら(現━)」を重ねたもの。「に」や「と」を伴う場合もある) まのあたりはっきりと。まざまざと。つくづくと。
※万葉(8C後)二〇・四四四九「なでしこが花とり持ちて宇都良宇都良(ウツラウツラ)見まくの欲しき君にもあるかも」
出典:コトバンク
「うつらうつら」は浅い睡眠と不明瞭な覚醒が繰り返される様子を表します。「病人は高熱で昼も夜もうつらうつらとしていた」では「…としている」が付いて述語になりますし、「うつらうつらと朝寝を楽しむ」では「と」が付いて述語にかかる修飾語の用法になります。また、浅い睡眠と不明瞭な覚醒が繰り返される点にポイントがあり、浅い睡眠が継続する場合には「うとうと」を用いますよ。
「うつらうつら」の語源は?
次に「うつらうつら」の語源を確認しておきましょう。
「うつらうつら」の語源は「空虚」または「現(うつつ)」。「空虚」は「内容のないこと、物事の内容や心の内部がからっぽでむなしいこと」で、「現」は「心がうつらうつらとして正気でないこと、夢心地の状態の人」です。それでは「空虚」と「現」の漢字の成り立ちについて解説しましょう。「空」は「穴」とアナの意味の音を示す「工」とを合わせた字です。穴が開いてからっぽで何もない意味を表しますよ。後に、「そら」の意味に使われるようになりました。
「虚」の古い字は「噓」。真ん中がくぼんでいて周りが高い丘を表す文字と、大きい意味の音を示す文字とを合わせた字です。後に、丘の真ん中がくぼんでからっぽであることから、「からっぽ」「むなしい」の意味に使われるようになりました。そして「現」は玉を表す文字と現れる意味の音を示す「見」とを合わせた字です。玉を磨くと美しい光があらわれてくることから、「あらわれる」「あらわす」の意味に使われるようになりました。
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