

端的に言えば異体同心は「夫婦」や「友人」のことだが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んだ。一緒に「異体同心」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/八嶋弘毅
自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。
「異体同心」の意味は?
「異体同心」には、次のような意味があります。
肉体は違っても、心は一つに固く結ばれていること。関係がきわめて深いたとえ。身体は異なるが、心は同じという意から。特に、夫婦や非常に親しい人の間柄に多く用いる。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「異体同心」
「異体同心」とは文字どおり身体はそれぞれ違っても心は一つに結ばれているという意味で、仲のいい夫婦や親友のことを言います。また同じ志を持って一つの道を究めようと前進する師弟の間柄を指して使うこともできるでしょう。「異体」とは異なる身体、「同心」は心が同じことです。
「異体同心」の語源は?
次に「異体同心」の語源を確認しておきましょう。「異体同心」は司馬遷の『史記』に記載されています。同書のなかで「殷(いん)の紂王(ちゅうおう)は七十万騎なれども同体異心なればいくさにまけぬ、周の武王は八百人なれども異体同心なればかちぬ」という一文を見つけることができるでしょう。つまり「異体同心」は「周の武王は寄せ集めの兵士で数も少なかったが心が一つにつながっていたため、武具がそろってはいたが心がばらばらだった殷の紂王の軍隊に打ち勝った」という故事に基づいたものです。
また日蓮聖人もこの故事を引いて仏法を広めるために活用していました。布教に当たり日蓮は「われわれは信仰心で団結しているので、大事を成し遂げることができ、教えを広宣流布していくことができる」と信者を激励しています。
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