この記事では「嘯く」について解説する。

端的に言えば嘯くの意味は「とぼける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「嘯く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。今回は表情を表す言葉の一つである「嘯く」の意味をわかりやすく丁寧に解説していく。

「嘯く」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さまは「嘯く」を正しい意味で使えているでしょうか。自信のある方もそうでない方も、この記事で「嘯く」の意味や語源・使い方を学習していきましょう。

「嘯く」の意味は?

皆さんは「嘯く」という漢字をどう読むかわかりますか? 「嘯く」は「うそぶく」または「うそむく」と読み、辞書には次のような意味が書かれています。

1.とぼけて知らないふりをする。
2.偉そうに大きなことを言う。豪語する。
3.猛獣などがほえる。鳥などが鳴き声をあげる。
4.口をすぼめて息や声を出す。口笛を吹く。うそむく。
5.詩歌を小声で吟じる。うそむく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「嘯く」

「嘯く」には非常にたくさんの意味がありますね。一つずつ順番に解説していきましょう。

意味1は最も広く使われている意味の一つでしょう。「とぼけて知らないふり」をしている時に使われます。また、明らかに知っているのが目に見えてわかる場合に使われることが多いです。また、意味2もよく使われる意味の一つでしょう。実力が伴っていないのに能力があることを偽ったり、実現可能性が低い夢や目標を堂々と語ったりする時によく使われますね。

これ以降はややマイナーな意味、もしくは現代ではほとんど使われない意味です。意味3は動物などがほえる、または鳴き声をあげている様子を表しています。意味4は「口笛を吹く」という意味で、語源の項目でも解説しますが、こちらが原義です。意味5は現代ではほとんど使われることはありませんが、意味4の口をすぼめる様子から派生したものと思われます。

「嘯く」の語源は?

次に「嘯く」の語源を確認しておきましょう。「嘯く」は古くからある日本語で、「うそ」を「吹く」から来ています。ここで言う「うそ」とは「嘘」ではなく「口笛」という意味です。この「口笛を吹く」という原義から様々な意味が派生していきました。

まず鳥の「ウソ」の鳴き真似が口笛を吹く様子であったことから、鳥や動物が鳴くことを意味するようになります。更に口笛は本来の鳥の鳴き声ではないこと、嘘をごまかす時に口笛を吹く仕草をすることから「とぼける」などといった現代の意味で使われるようになっていきました。

\次のページで「「嘯く」の使い方・例文」を解説!/

「嘯く」の使い方・例文

「うそぶく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。辞書にある意味3から5は現代ではあまり使われないので、ここでは意味1と意味2の例文をご紹介します。

1.秘書に社長の状況を尋ねたが、「何も知らない」と涼しい顔で嘯いた。
2.人材育成セミナーの講師は、今までにないスキルとノウハウを提供すると嘯いた。

例文1は辞書の意味1にある「知ってるのに知らないふりをする」という意味で使われています。明らかに知っているはずという経緯を尋ねる側が知っていたり、そういった態度が表に出ている場合に用いられることが多いです。ただし例文のように完璧に隠している描写が追加されている場合や、「私は嘯いた」など主観的な動作として単語を用いる場合などは、見た目で知っているかどうかははっきりしないことがあります。

例文2は「知らないのに知っている」と豪語しており、例文1とは真逆の意味になっているのが面白いですね。このように実在・実現可能性が限りなく低いことを、さもあったりできたりと大きく言う際に「嘯く」と表現されます。可能性は0ではないかもしないがほぼ0%である場合、または0%であることが確実である場合の両方で使用することが可能です。

「嘯く」の類義語は?違いは?

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「嘯く」には数多くの意味があり、全ての意味に合致する類義語というものはありません。ただし一つ一つの意味で見れば、似た意味を持つ言葉というものはあります。ここではその一例をご紹介しましょう。

「大言壮語」

「大言壮語」は実力を伴わないのに大きなことを言う様子を表します。これは「嘯く」の意味2である「偉そうに大きなことを言う」と非常によく似ていますね。ただし「嘯く」はあくまでそういった動作のみを表すのに対し、「大言壮語」は虚勢を張った発言そのものを表す時にも用いることが可能です。

\次のページで「「嘯く」の対義語は?」を解説!/

「嘯く」の対義語は?

類義語と同様、「嘯く」には明確な対義語というものはありません。そもそも「嘯かない」のように否定形で使うこと自体が稀です。ただし類義語と同様、一つ一つの意味の反対の意味を持つ言葉を挙げることは可能ですので、その一例をご紹介しましょう。

「引っ込み思案」

「引っ込み思案」とは「内気で自分から行動を起こせないこと」やそのような性格そのものを指します。「偉そうに大きなことを言う」とは真逆の精神であることがわかるでしょう。また、「引っ込み思案」な人が「とぼけて知らないふり」をするのは、かなりハードルが高い行為であることも想像がつくと思います。

「嘯く」の英訳は?

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「嘯く」にはさまざまな意味があるため、「嘯く」という単語をそのまま英語で表すことはできません。ただし、意味の上で考える場合は英訳が可能です。

その1「pretend not to know」

「pretend not to know」は「知らない風を装う」「空とぼける」といった意味があり、「嘯く」の辞書にある意味1とほぼ同じような使い方ができます。

その2「talk big」

「talk big」は直訳すると「大きいことを言う」ですが、英語としての意味は「自慢する」といった意味となります。このことから派生して「豪語する」と訳すこともでき、「嘯く」の辞書にある意味2と同じような使い方が可能です。

\次のページで「「嘯く」を使いこなそう」を解説!/

「嘯く」を使いこなそう

この記事では「嘯く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「嘘をつく」という辞書にはない意味で使っていた方は、本来の意味を理解できたかと思います。知ったかぶりをして「嘯く」前に、様々な言葉の意味を学習して、自らの語彙力を高めていきましょう。

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国語言葉の意味

「嘯く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「嘯く」について解説する。

端的に言えば嘯くの意味は「とぼける」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「嘯く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。今回は表情を表す言葉の一つである「嘯く」の意味をわかりやすく丁寧に解説していく。

「嘯く」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さまは「嘯く」を正しい意味で使えているでしょうか。自信のある方もそうでない方も、この記事で「嘯く」の意味や語源・使い方を学習していきましょう。

「嘯く」の意味は?

皆さんは「嘯く」という漢字をどう読むかわかりますか? 「嘯く」は「うそぶく」または「うそむく」と読み、辞書には次のような意味が書かれています。

1.とぼけて知らないふりをする。
2.偉そうに大きなことを言う。豪語する。
3.猛獣などがほえる。鳥などが鳴き声をあげる。
4.口をすぼめて息や声を出す。口笛を吹く。うそむく。
5.詩歌を小声で吟じる。うそむく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「嘯く」

「嘯く」には非常にたくさんの意味がありますね。一つずつ順番に解説していきましょう。

意味1は最も広く使われている意味の一つでしょう。「とぼけて知らないふり」をしている時に使われます。また、明らかに知っているのが目に見えてわかる場合に使われることが多いです。また、意味2もよく使われる意味の一つでしょう。実力が伴っていないのに能力があることを偽ったり、実現可能性が低い夢や目標を堂々と語ったりする時によく使われますね。

これ以降はややマイナーな意味、もしくは現代ではほとんど使われない意味です。意味3は動物などがほえる、または鳴き声をあげている様子を表しています。意味4は「口笛を吹く」という意味で、語源の項目でも解説しますが、こちらが原義です。意味5は現代ではほとんど使われることはありませんが、意味4の口をすぼめる様子から派生したものと思われます。

「嘯く」の語源は?

次に「嘯く」の語源を確認しておきましょう。「嘯く」は古くからある日本語で、「うそ」を「吹く」から来ています。ここで言う「うそ」とは「嘘」ではなく「口笛」という意味です。この「口笛を吹く」という原義から様々な意味が派生していきました。

まず鳥の「ウソ」の鳴き真似が口笛を吹く様子であったことから、鳥や動物が鳴くことを意味するようになります。更に口笛は本来の鳥の鳴き声ではないこと、嘘をごまかす時に口笛を吹く仕草をすることから「とぼける」などといった現代の意味で使われるようになっていきました。

\次のページで「「嘯く」の使い方・例文」を解説!/

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