この記事では「定量的」について解説する。
端的に言えば定量的の意味は「物事を数値や数量に着目してとらえること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元教員のWebライター、神シゲを呼んです。一緒に「定量的」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/神シゲ

元教員Webライター。現役のころは語学研究に没頭していた。日本語の微妙なニュアンスをわかりやすく伝えていく。

「定量的」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「定量的(ていりょうてき)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「定量的」の意味は?

「定量的」には、次のような意味があります。

1.数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。

2.数値・数量で表せるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「定量的」

「定量的」とは数値や数量で定めることができるさまを表します。どのような意味なのか「目標」を例にして考えてみましょう。

Aさん「次のテスト一生懸命がんばろう!」

Bさん「次のテストで90点以上をとるぞ!」

定量的な目標を立てているのはBさんですね。このように「定量的」には、その根拠になる数値や数量が必ずあるのです。

実は定量的という表現はビジネスの世界で度々使われます。特にプレゼンテーションをするときなどは、「この商品はとても良いので売れると思います」では通じません。

「別エリアでこの商品は◯日で◯◯台の販売実績がある」というような数字やデータを分析したコンサルティングが求められます。

皆さんも「定量的」をマスターして、説得力のある表現ができるようになりましょう。

「定量的」の語源は?

字がそのまま意味を表している「定量的」には語源というほどのものはありません。元々は、化学や物理学などの専門分野で使われる表現でした。近年ではビジネス用語としても定着してきています。

「定量的」の使い方・例文

「定量的」の使い方を例文でみていきましょう。この言葉は以下のように用いられます。

\次のページで「「定量的」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.この度のプロジェクトによる経済効果を定量的に分析します。

2.人事部の新しい情報管理システムにより、営業効果の定量的な把握ができるようになった。

3.体脂肪を正確に測りなさい。定量的にデータをとることが目標への近道だ。

「定量的な」に続く名詞には「目標、評価、成果、データ、分析、表現」などがあります。例文からも、フォーマルな雰囲気化学的な雰囲気を感じ取れますね。カジュアルな会話ではあまり使われることがなさそうです。

「定量的」の類義語は?違いは?

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定量的の類義語には「量的」「具体的」があります。それぞれのニュアンスの違いを見ていきましょう。

その1.「量的」

「量的」は「定量的」とほとんど同じ意味ですが、ニュアンスは少し変わります。「量」という文字に引っ張られるため、あまり可算名詞にはかかりません。数より量で表すものに使用されます。

その2.「具体的」

日常会話ではこちらのほうが一般的ですね。「定量的」との違いはどこにあるのでしょうか。具体的の意味を見ていきましょう。

はっきりとした実体を備えているさま。個々の事物に即しているさま。「具体的な方法」「具体的に指示する」⇔抽象的。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「具体的」

実体を備えている、事物に即しているというところが、数値・数量で表せる「定量的」と似ていますね。

それではなぜ「具体的」は日常生活でよく使うのに、「定量的」は専門的な場面でしか使われないのでしょうか。

その理由として考えられるのは万能さです。

「具体的」という言葉は、名前や思想、アイデアなどの数値・数量で表せないものにも使うことができます。

「具体的」と「定量的」どちらも必ずあるのが、その根拠となる詳細な情報です。ところが、その詳細情報を数字で表すことができないものには「定量的」は使えません。

そして、日常生活においては数値・数量化できるものは案外少なかったりします。従って、使う場面を選ぶ「定量的」よりも「具体的」のほうが使いやすいと言えるでしょう。

「定量的」を使うときには、数字で表すことができる詳細情報があるのかを考えると誤用を防げますよ。

「定量的」の対義語は?

「定量的」の対義語は「定性的」です。この二つの言葉はビジネスにおいて対になって使われます。合わせて学習しましょう。

\次のページで「「定性的」」を解説!/

「定性的」

「定性的」には「定量的」と同じ「定」という字が使われていますが、意味は正反対になります。さっそく見ていきましょう。

1.  性質に関するさま。ある物質にその成分が含まれるかどうかを表す場合などに用いる。「定性的検査」

2.  数値・数量で表せないさま。「人事の定性的評価」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「定性的」

数値・数量で表せないさまを「定性的」と表現します。

理系分野の方は「定量分析」「定性分析」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「定量分析」は文字通り数値データをもとにした分析です。それに対して「定性分析」は対象物の性質に着目した分析といえます。わかりやすい例は街頭アンケートです。

仕事における人事評価には定量的なものと、定性的なものがあります。サービス製品の売り上げを何%上げたなど、結果を重視した評価は定量的なものといえるでしょう。

反対に、みんながやりたがらないクレーム対応や事務所の掃除をしてくれる人を評価すること。これは定性的な評価です。モチベーションなども定量的な評価が難しいですね。

入社するなら両方の視点があり、社員を大切にしてくれる会社に入りましょう。

また、定性的というのはしばしば悪い意味でも使われます。

私の知識不足で運営メディアサイトに問題が発生しました。検索が減ったことで売上が徐々に下降しています。

営業日報に

「明日から気を取り直して頑張ります。」

と書いたら上司に叱られました。

「そのような定性的な報告ではなく、数字をしっかり定量的に分析しなさい」

とのことでした。

「定性的」は「感覚的」にも近いニュアンスがありますね。上記の例文のように定量的なものには定性的なものにはない、数字に裏付けられた説得力があるといえるでしょう。

「定量的」の英訳は?

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英語では「quantity」という言葉が「量」を表しています。

「質」を表す「quality」はクオリティーという和製英語もあり、ご存知の方が多いのではないでしょうか。

Quantity rather than quality.
質より量

意味は全く正反対なのに、スペルが似てて紛らわしいですね。早口言葉なら噛んでしまいそうです。

その1.「quantitative」

quantityが派生した形容詞が「quantitative」です。

意味は日本語の「定量的な」とほぼ同一と考えていいでしょう。

例文はこのようになります。

\次のページで「その2.「quantitatively」」を解説!/

quantitative risk analysis
定量的リスク分析

quantitative training
定量的トレーニング

その2.「quantitatively」

同じようにquantityが副詞に派生すると「quantitatively」となります。

以下が例文です。

Let's think about things quantitatively.
ものごとを定量的に考えよう

He analyze thoughts quantitatively.
彼は思考を定量的に分析する

どちらの英語も日本語同様、ビジネスや専門分野において使われることが多いでしょう。日常会話では「具体的」を表す「concrete」や「specific」が使われます。

「定量的」を使いこなそう

この記事では「定量的」について説明しました。ビジネスの世界では、数字で示せるものは数字で示すという風潮があります。

「みんな頑張っているのでよく売れました」

といわれるよりも

「人材派遣会社の活用により、去年より売上が20%上がっている

といわれる方が説得力がありますよね。

ビジネスに限らず、定量的にものごとを考えることは大切です。意見や発表の場面では定量的かどうかを確認し、説得力のある発言をしていきましょう。

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国語言葉の意味

「定量的」の意味や使い方は?例文や類語を元教員Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「定量的」について解説する。
端的に言えば定量的の意味は「物事を数値や数量に着目してとらえること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元教員のWebライター、神シゲを呼んです。一緒に「定量的」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/神シゲ

元教員Webライター。現役のころは語学研究に没頭していた。日本語の微妙なニュアンスをわかりやすく伝えていく。

「定量的」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「定量的(ていりょうてき)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「定量的」の意味は?

「定量的」には、次のような意味があります。

1.数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。

2.数値・数量で表せるさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「定量的」

「定量的」とは数値や数量で定めることができるさまを表します。どのような意味なのか「目標」を例にして考えてみましょう。

Aさん「次のテスト一生懸命がんばろう!」

Bさん「次のテストで90点以上をとるぞ!」

定量的な目標を立てているのはBさんですね。このように「定量的」には、その根拠になる数値や数量が必ずあるのです。

実は定量的という表現はビジネスの世界で度々使われます。特にプレゼンテーションをするときなどは、「この商品はとても良いので売れると思います」では通じません。

「別エリアでこの商品は◯日で◯◯台の販売実績がある」というような数字やデータを分析したコンサルティングが求められます。

皆さんも「定量的」をマスターして、説得力のある表現ができるようになりましょう。

「定量的」の語源は?

字がそのまま意味を表している「定量的」には語源というほどのものはありません。元々は、化学や物理学などの専門分野で使われる表現でした。近年ではビジネス用語としても定着してきています。

「定量的」の使い方・例文

「定量的」の使い方を例文でみていきましょう。この言葉は以下のように用いられます。

\次のページで「「定量的」の類義語は?違いは?」を解説!/

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