この記事では「綺羅星のごとく」について解説する。

端的に言えば綺羅星のごとくの意味は「地位の高い立派な人々が居並ぶ様子のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「綺羅星のごとく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「綺羅星のごとく」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「綺羅星のごとく」の意味や語源・使い方まとめ

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綺羅星のごとく」は「きらぼしのごとく」と読みます。見るからに華やかな慣用句ですが、正しい意味を知っていますか?誤用も多い言葉なので、これを機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「綺羅星のごとく」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「綺羅星のごとく」の意味は?

まず初めに「綺羅星のごとく」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「綺羅星のごとく」には、次のような意味があります。

1.きらきらと光り輝く無数の星。地位の高い人や明るいものが多く並ぶようすのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「綺羅星」

上記のように、「綺羅星」とは、美しく輝く無数の星、と言う意味を持っていますが、「綺羅星のごとく」と言う慣用句は、美しく着飾っている人や、身分の高い人、立派な人達などが居並んでいる、と言う意味で使われます。才能に溢れている人が大勢いる場合にも用いたりするでしょう。このように、「綺羅星のごとく」は、複数の人の集まりに対して用いられる慣用句です。「居並んでいる」と言う意味合いを持っていますから、一人の人に対して用いることはできませんので注意しましょう。

「綺羅星のごとく」の語源は?

次に「綺羅星のごとく」の語源を確認しておきましょう。実は、「綺羅星のごとく」は、もともと「綺羅、星のごとく」(きら、ほしのごとく)と言うのが正しい使い方でした。それが、誤って使われ続け変化してしまい、今では「きらぼしのごとく」と言うことが一般的になってしまったのです。

では、「綺羅」とは何でしょう。漢字を見ると、とても美しいと言うイメージが湧きますが、実は「」は綾織りの絹織物のことを指し、「」は薄織りの絹織物のことなのです。つまり「綺羅」とは、美しい衣服全般のことですね。そして、美しい衣服をまとっている人、ひいては地位の高い人、立派な人、と言う意味で使われるようになったのです。そのため、このような人々が星のように多く集まっているのを形容して、「綺羅、星のごとく」と表現されるようになりました。

「綺羅星のごとく(きらぼしのごとく)」や「綺羅星(きらぼし)」という言い方、使い方は、本来ならば誤りですが、すでに一般的に広く浸透していますので、正しい日本語として使えます。

\次のページで「「綺羅星のごとく」の使い方・例文」を解説!/

「綺羅星のごとく」の使い方・例文

それでは「綺羅星のごとく」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今日のパーティーには、人気俳優や、財界の大物などが綺羅星のごとく居並んでいたらしい。
2.歌謡曲の全盛期とも言える昭和時代は、綺羅星のごとく、たくさんの有名な作詞家や作曲家が活躍していた。
3.アイドルデビューしたばかりの着飾った女性たちが、綺羅星のごとく並んで座っている。

例文1の「綺羅星のごとく」は、地位の高い立派な人が居並んでいる、と言う意味です。例文2では、地位の高い人と言うよりも、才能のある人、優れていて立派な人が大勢いる、と言う意味合いで使われています。例文3は、美しく着飾った人が並んでいる、と言う意味ですね。意味の項目でも説明しましたが、このように、「綺羅星のごとく」は、必ず、複数の人物に対して用いられます。「あの女性は、綺羅星のごとく綺麗」などと、一人の人物に使うことは、よくある間違いですので注意してくださいね。

「綺羅星のごとく」の類義語は?違いは?

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「綺羅星のごとく」の類義語には「錚々たる」が挙げられます。

「錚々たる」

錚々たる」の読み方は「そうそうたる」です。ニュースなどでも良く使われる言葉ですから、聞いたことがある人が多いでしょう。

「錚々たる」とは、特に優れている人々の集まりの事を言います。スポーツのニュースなどで「錚々たるメンバー」と使われたりしますね。その他には「錚々たる面々」や、「錚々たる顔ぶれ」などが良く使われる表現でしょう。

\次のページで「「綺羅星のごとく」の対義語は?」を解説!/

「綺羅星のごとく」の対義語は?

「綺羅星のごとく」の、対義語として完璧な言葉はありませんが、反対の意味に近い言葉に「どんぐりの背比べ」があります。

「どんぐりの背比べ」

どんぐりの背比べ(せいくらべ)」は、とても有名なことわざですね。「どんぐりの背比べ」の意味は、どれもこれも平凡で、特にすぐれて目立つものがない、と言うことです。由来は、どんぐりは形も大きさもほぼ同じで差がないために、どんぐりを並べたところで大した差がないと言うことからきています。

「綺羅星のごとく」を、突出した才能の人が多くいると言う意味で用いた場合には、対義語に近い言葉だと言えるでしょう。

「綺羅星のごとく」と「彗星のごとく」の違いは?

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「綺羅星のごとく」と大変似ていますが、意味が違う言葉に「彗星(すいせい)のごとく」があります。この二つの慣用句は、とても紛らわしく、意味を取り違えてしまうことが多いので、違いをしっかりと覚えましょう。

「彗星のごとく」

彗星のごとく現れる」(すいせいのごとくあらわれる)と言う表現を聞いたことがあるでしょうか。これは、夜空に彗星が現れる様子を例えにして、人や物が突然華やかにに現れることを表現した言葉です。実は、この「彗星のごとく現れる」と言う言葉と「綺羅星のごとく」を混同して「綺羅星のごとく現れる」と言ってしまう間違いが意外に多いようですね。「綺羅星」と「彗星」が似ていて、「ごとく」をどちらも使っているため、間違いやすいのかも知れません。字面は似ていても、意味が全く違いますので気をつけましょう。

「綺羅星のごとく」を使いこなそう

この記事では「綺羅星のごとく」の意味・使い方・類語などを説明しました。本来は「綺羅」と言う名詞に続けて、「綺羅、星のごとく」と言う表現だったのですが、「綺羅星のごとく」と、「綺羅星」を一つの名詞であると誤り続けてきたために「綺羅星」と言う言葉が一般的に用いられるようになったと説明しました。このような語源はとても興味深いですね。日本語に限らず、言語と言うのは、誤用や一般への浸透などにより、時を経て読み方や意味が変遷していくものなのです。語源を知ることで、知識と理解が深まりますから、気になった言葉は是非調べてみましょう。

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【慣用句】「綺羅星のごとく」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「綺羅星のごとく」について解説する。

端的に言えば綺羅星のごとくの意味は「地位の高い立派な人々が居並ぶ様子のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「綺羅星のごとく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「綺羅星のごとく」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「綺羅星のごとく」の意味や語源・使い方まとめ

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綺羅星のごとく」は「きらぼしのごとく」と読みます。見るからに華やかな慣用句ですが、正しい意味を知っていますか?誤用も多い言葉なので、これを機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「綺羅星のごとく」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「綺羅星のごとく」の意味は?

まず初めに「綺羅星のごとく」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「綺羅星のごとく」には、次のような意味があります。

1.きらきらと光り輝く無数の星。地位の高い人や明るいものが多く並ぶようすのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「綺羅星」

上記のように、「綺羅星」とは、美しく輝く無数の星、と言う意味を持っていますが、「綺羅星のごとく」と言う慣用句は、美しく着飾っている人や、身分の高い人、立派な人達などが居並んでいる、と言う意味で使われます。才能に溢れている人が大勢いる場合にも用いたりするでしょう。このように、「綺羅星のごとく」は、複数の人の集まりに対して用いられる慣用句です。「居並んでいる」と言う意味合いを持っていますから、一人の人に対して用いることはできませんので注意しましょう。

「綺羅星のごとく」の語源は?

次に「綺羅星のごとく」の語源を確認しておきましょう。実は、「綺羅星のごとく」は、もともと「綺羅、星のごとく」(きら、ほしのごとく)と言うのが正しい使い方でした。それが、誤って使われ続け変化してしまい、今では「きらぼしのごとく」と言うことが一般的になってしまったのです。

では、「綺羅」とは何でしょう。漢字を見ると、とても美しいと言うイメージが湧きますが、実は「」は綾織りの絹織物のことを指し、「」は薄織りの絹織物のことなのです。つまり「綺羅」とは、美しい衣服全般のことですね。そして、美しい衣服をまとっている人、ひいては地位の高い人、立派な人、と言う意味で使われるようになったのです。そのため、このような人々が星のように多く集まっているのを形容して、「綺羅、星のごとく」と表現されるようになりました。

「綺羅星のごとく(きらぼしのごとく)」や「綺羅星(きらぼし)」という言い方、使い方は、本来ならば誤りですが、すでに一般的に広く浸透していますので、正しい日本語として使えます。

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