この記事では「底をつく」について解説する。
端的に言えば、底をつくの意味は「蓄えがなくなること」です。もうひとつ別の意味もあるぞ。「底を突く」と「底を尽く」、漢字ではどう書くか知っているか?
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「底をつく」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「底をつく」の意味・使い方

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さっそく「底をつく」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「底をつく」の意味

まず、国語辞典で「底をつく」の意味をチェックしましょう。

1 蓄えてあったものがなくなる。
2 相場が下がり、底値になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「底をつく」

「底をつく」にはふたつの意味があります。ひとつは「蓄えてあったものがなくなること」です。「運転資金が底をつく」という使い方をします。もうひとつは証券用語で「相場が下がり、底値になる」という意味です。相場がずっと値下がりしており、もうこれ以上下がらない価格まで下がったときに使われる言葉ですよ。

「底を突く」と「底を尽く」はどちらが正しい?

「尽きる」には「次第に減って、とうとうなくなる」という意味があります。「底がつく」は「蓄えてあったものがなくなること」なので「尽きる」が正しいと思われがちですが、正しいのは「底を突く」です。

「突く」には「地面や床など底面に当てる」という意味があります。「底を突く」は「蓄えが減って空になり底を突ける状態」ということです。たとえば「資源が尽きる」は正しいですが「資源が底を尽く」は誤りで、「資源が底を突く」が正しいということですよ。

「底をつく」の使い方

例文で「底をつく」の使い方を見ていきましょう。

\次のページで「「底をつく」の類義語」を解説!/

1.念願の一人暮らしを始めたものの、日用品や食料品、家賃などであっという間になけなしの貯金が底をついてしまった。
2.優良株だとすすめられていたが買ったとたん株価が下がり始めた。早く底をついて株価が上昇してほしい。

最初の例文は、あこがれの新生活をはじめたけれど、貯金が尽きてしまったという意味です。どんなに節約しても新生活をはじめるにはある程度のお金がかかりますね。2番目の例文は、購入した株の相場がずっと下がっているということです。下がり続けているときはまだ底をついていません。底値を記録して株価が上昇に転じたところで底をついたことがわかりますよ。

「底をつく」の類義語

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「底をつく」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「使い果たす」「使い切る」:全部使ってしまう

「果たす」は動詞の連用形に付いて「すっかり~してしまう」という意味になります。「使い果たす」「全部使ってしまう」「残らず使ってしまう」という意味です。「切る」も動詞の連用形に付いて「すっかり~する(限界にきて、これ以上の事態は考えられない状態)」という意味になります。「使い切る」「あるだけ全部使ってしまう」「使い果たす」という意味です。

「枯渇する」:物が尽きてなくなる

「枯渇」は干上がって水がなくなることです。転じて「枯渇する」「物が尽きてなくなる」という意味になりました。「資源が枯渇する」というように物が尽きてなくなるという意味でも使われますし、「才能が枯渇する」というように目に見えないものについて表現することもありますよ。

\次のページで「「底を入れる」「底を打つ」:底値になる」を解説!/

「底を入れる」「底を打つ」:底値になる

「底」には「相場が下落して、いちばん安くなったところ」という意味があります。「底を入れる」は「相場が下がり切って、最低の値段になること」つまり「底値になる」こと。「底を打つ」も同じ意味です。限界まで下がったあとは上昇することが多いのですが、下限と思われた水準をさらに割り込むことを「底割れ」「底抜け」といいますよ。

「底をつく」の反対語

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「底をつく」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「潤沢(じゅんたく)」:豊富にあること

「潤」には「うるおう」「つやを出す」のほかに「めぐみ」「利益」という意味があります。「利潤」は「もうけ」という意味ですね。「沢(たく)」には「うるおい」「物が豊かにあること」という意味があります。「潤沢」「物が豊富にあること」という意味です。「潤沢な資金」などという使い方をします。

「天井知らず」:どこまで高くなるかわからない

「天井」は屋根裏を隠すため部屋の上部に板を張った部分のことですが、証券用語で「物価や相場の最高値」という意味も持っています。証券用語の「底」の反対語ですね。「天井知らず」「物価や相場がどこまで高くなるかわからないこと」という意味です。

「底をつく」の英訳

次は英語で「底をつく」をどのように表現するか見ていきましょう。

\次のページで「「run out of」:使い果たす」を解説!/

「run out of」:使い果たす

「run out of「使い果たす」「底をつく」「切らす」という意味です。

I have run out of fuel and food.
燃料と食料が底をつく。

「run out of」は「蓄えてあったものがなくなる」という意味の英訳です。「run out of change」は「小銭を切らす」、「run out of cash」は「現金が底をつく」、「run out of oil」は「石油を使い果たす」ですね。

「touch bottom」:底をつく

「touch bottomは「(足が)水底に触れる」「(舟が)座礁する」などとともに「(物価や相場が)底をつく」「底を打つ」という意味があります。

The recession has touched bottom.
不景気が底をついた。

「touch bottom」は「底値になる」という意味の英訳です。「recession」は「不景気」「不況」という意味ですよ。「hit bottom」「reach bottom」も「底をつく」「底を打つ」という意味です。

「底をつく」を使いこなそう!

この記事では、「底をつく」の意味を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「底をつく」にはふたつの意味があります。ひとつは「蓄えてあったものがなくなること」、そしてもうひとつは証券用語で「相場が下がり、底値になる」という意味ですね。「尽きる」には「次第に減って、とうとうなくなる」という意味があり紛らわしいですが、「底がつく」は「蓄えが減って空になり底を突ける状態になること」なので、「底を尽く」ではなく「底を突く」が正解です。

蓄えが「底をつく」ような事態は何とか避けたいもの。しかし「底をつく」のが相場であれば、この後はどんどん上昇して行くのかもしれません。希望は失わずにいたいものですね。

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国語言葉の意味

「突く」か「尽く」か?「底をつく」の意味・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

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端的に言えば、底をつくの意味は「蓄えがなくなること」です。もうひとつ別の意味もあるぞ。「底を突く」と「底を尽く」、漢字ではどう書くか知っているか?
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「底をつく」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「底をつく」の意味・使い方

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さっそく「底をつく」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「底をつく」の意味

まず、国語辞典で「底をつく」の意味をチェックしましょう。

1 蓄えてあったものがなくなる。
2 相場が下がり、底値になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「底をつく」

「底をつく」にはふたつの意味があります。ひとつは「蓄えてあったものがなくなること」です。「運転資金が底をつく」という使い方をします。もうひとつは証券用語で「相場が下がり、底値になる」という意味です。相場がずっと値下がりしており、もうこれ以上下がらない価格まで下がったときに使われる言葉ですよ。

「底を突く」と「底を尽く」はどちらが正しい?

「尽きる」には「次第に減って、とうとうなくなる」という意味があります。「底がつく」は「蓄えてあったものがなくなること」なので「尽きる」が正しいと思われがちですが、正しいのは「底を突く」です。

「突く」には「地面や床など底面に当てる」という意味があります。「底を突く」は「蓄えが減って空になり底を突ける状態」ということです。たとえば「資源が尽きる」は正しいですが「資源が底を尽く」は誤りで、「資源が底を突く」が正しいということですよ。

「底をつく」の使い方

例文で「底をつく」の使い方を見ていきましょう。

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