
その2「仕向ける」
こちらも「教唆」や「そそのかす」と似た表現ですが、意味や用いるべき場面に違いがありますので確認しましょう。
まず「仕向ける」という言葉は、教唆と異なり「良い行為にも悪い行為にかかわらず使うことができる」という点が大きな違いです。例えば「子どもたちが自ら机に向かうように仕向ける」「彼から告白するように仕向ける」などの例文が挙げられます。
もう一つの違いとしては「もともと心の内にあったものを誘発させる」という意味合いを持つ点です。「気持ちはあるもののそれを行動に移せない・移さない」人に対し、「それをするように促す」場合に「仕向ける」という表現が使用できます。
この点も「考えていないようなこと」をさせる「教唆」とは異なる部分ですね。
その3「使嗾(しそう)」
こちらはあまり目にする機会がない言葉かもしれませんが、「使嗾」は「教唆」の類義語として挙げられる表現です。「指嗾」と表記する場合もあり、「人に指図してそそのかす、けしかける」という意味を持っています。
特徴としては「指図する」というニュアンスが含まれる点です。「教唆」は直接的ではなくても、遠まわしに悪事に手を染めるようけしかける場合にも使えますが、「使嗾」の場合は明確に「やれ」と指示されている前提が必要になります。
「教唆」と間違いやすい表現は?
「教唆」とよく間違えやすい表現に「幇助(ほうじょ)」がありますので、紹介します。
間違いやすい表現「幇助」
「殺人幇助の疑いで逮捕された」など、ニュース番組等で耳にしたことがあるかもしれません。使用される場面が教唆と似ているので間違いやすいですが「幇助」は「力添えをして手助けすること」という意味で、刑事事件や司法の場では「有形・無形の方法にかかわらず、他人の犯罪の遂行に便宜を与える行為」のことを指します。
「教唆」「幇助」はどちらも共犯となることには変わりありませんが、「悪事に手を染めることをそそのかす」教唆とは異なり、具体的に手を貸す行為のことを指す表現ですので、正しく区別ができるようにしましょう。
「教唆」の対義語は?
「教えそそのかす」「けしかける」という意味の「教唆」ですが、対義語はどんな言葉になるでしょうか。
「教唆」の対義語「諫止」
「悪事を働くように教えそそのかす」という意味の「教唆」の対義語として挙げられるのが「諫止(かんし)」です。「諫止」は「いさめて思いとどまらせる」ことで、悪い行動を起こさないよう説得する場面で用いられます。ぜひ「教唆」とセットで覚えておきましょう。
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