この記事では「叱責」について解説する。

端的に言えば叱責の意味は「他人の失敗などをしかりとがめること。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「叱責」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「叱責」の意味や語源・使い方まとめ

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「叱責」という言葉を皆さん一度は聞いた事があるのではないでしょうか。初めて目にした言葉でも、大体は「人を叱ること」という意味で解釈できると思います。しかし、「叱責」はただ叱る事とは違うのです。言葉の正しい意味と使い方を知る事は大切になってきます。それでは早速「叱責」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

 

「叱責」の意味は?

「叱責」には、次のような意味があります。

他人の失敗などをしかりとがめること。「部下をきびしく?責する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「叱責」

「叱責」の読み方は「しっせき」で、ただ単純に叱るだけではなく、人の過ちや失敗などのマイナスな点を責めて非難するという意味が強いです。「軽く注意する」というニュアンスではなく、とにかく相手に過失があるとし、「あなたが悪い」「あなたの責任だ」といった、責め立てる言い方を「叱責」といいます。例えば部下が失敗した時に「お前は何をやっている!」と部下を叱ると、部下はあなたに叱責されたと感じるでしょう。

「叱責」の語源は?

次に「叱責」の語源を確認しておきましょう。「叱」は「しかる」を意味しており、相手を怒鳴ったりきつい言葉で追い込んでいくようなニュアンスが含まれています。「責」は「しなければならない務め」「罪や手落ちをせめる。とがめる」という意味です。この2つの言葉が組み合わされる事で、「他人の失敗などをしかりとがめること」という意味を持つ「叱責」になります。

\次のページで「「叱責」の使い方・例文」を解説!/

「叱責」の使い方・例文

「叱責」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あまりにも後輩がミスを立て続けに起こすため、我慢できず叱責した。
2.私が幼い頃、教師に叱責されたことがトラウマになっていて今でも脳裏に焼きついている。
3.部下から叱責を免れない状況であるという相談を受けたが助けることができなかった。

それぞれの例文について、1つ1つ詳しく見ていきましょう。例文1ですが、こちらは最も一般的な使い方です。人を叱る時に「叱責した」「叱責する」という使い方をします。相手に過失や責任があるして責める時に使われる表現で、特に責任を問われた際にその責任は相手にある場合に用いられる事が多いです。

例文2は、反対に自分が叱責された場合に使われる表現になります。叱責された場合は「叱責された」「叱責を受ける」という言い回しを使いましょう。自分自身が責任を負わなくてはならない、他人に叱られ咎められる場合に、「叱られる」「叱られた」といった状況で使われる事が多いです。立場が上の方に叱責される場合には、「~してもらう」の謙譲語でもある「いただく」を使用して、「叱責をいただく」のように相手に敬意を示した表現を使う事もあるため覚えておきましょう。

例文3の「叱責を免れない」は、自分がミスをしてしまい、叱責される事を避けられない状況にある時に、使われる言い回しです。「叱られても仕方ない」「自分の責任にされても当然」と自分自身で感じている場面で使われます。

「叱責」の類義語は?違いは?

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「叱責」とは、「他人の失敗などをしかりとがめること」を表現する言葉でした。そんな「叱責」の類義語はどのようなものなのでしょうか。

その1「小言」

「小言」は、「ぶつぶつ文句をいうこと。その言葉。不平・苦情・訓戒」という意味。叱責との違いは、「小言」は「叱る」「咎める」というよりも、「不平不満をぶつぶつ言う」というニュアンスが強いです。叱責は、本人に直接行うものなので、この点でも小言との違いがあります。

\次のページで「その2「説教」」を解説!/

・気の許せる友人の前では気が緩み、ついつい私生活の小言を漏らしてしまう。

・私の掃除の仕方に対する姑の小言も、昔と比べて回数が減った。

・課長は毎日のように小言を連発していたが、誰も真面目に聞く人はいなくなった。

その2「説教」

「説教」とは、元々「宗教の教義・教典を、信者などに、口頭で説き明かすこと」という意味で使われていました。そこから、現代では「教え導くために言い聞かせること」という意味で使われる事が多くなっています。「説教」されると聞くと、正座をさせられ相手の話を長く聞かされている人を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「叱責」と異なる点としては、激しく責め立てるわけではなく、至って冷静に「どうして〇〇なのか」といったように、今後どうするべきかなどを堅苦しく教えるイメージが強いです。

・監督は練習中に態度の悪かった部員を呼び出し、長時間説教を続けた。

・上層部の人が来るたびにまた説教かされるのかと、部下達はげんなりした顔をしている。

・小さかった頃はよく正座をさせられ、父親に説教をされていたものだ。

その3「非難」

「非難」には「欠点やあやまちなどを責めとがめること」という意味があります。人の過ちや過失を責めるという点で叱責と酷似していますが、「非難」には叱るというニュアンスはありません。そのため、叱責と比較すると、「非難」は穏便な態度や語調になるでしょう。

・非難されることも覚悟でインターネットでの活動を続けています。

・ことごとく非難され続けている気がして、自信を失ってしまった。

・協調的ではない彼女の姿勢を非難する。

「叱責」の対義語は?

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「叱責」は「他人の失敗などをしかりとがめること」という意味なので、反対語は「褒め称える」という意味がある「称賛/賞賛」になります。

\次のページで「「称賛/賞賛」」を解説!/

「称賛/賞賛」

「称賛/賞賛」は「しょうさん」と読み、「ほめたたえること」という意味。「君の仕事ぶりはとても素晴らしい!」というように、相手が行った事を直接褒め称える事を言います。「叱責」は「相手の駄目な部分を責めること」なので、反対語と言っていいでしょう。

・日本ではあまり評価されなかったが、海外では称賛されている。

・彼女がステージに立つと、称賛の拍手が沸き起こりました。

「叱責」を使いこなそう

この記事では「叱責」の意味・使い方・類語などを説明しました。「叱責」は、「他人の失敗などをしかりとがめること」という意味です。「叱責」の言い回しには様々ありますが、しっかり使い方を覚え、使いこなしていきましょう。

近頃はパワハラなどが問題視される事が多いです。「叱責」はされる相手にとっては精神的にダメージを受ける事もある行為になります。相手を非難するときは感情に任せた「叱責」はしないように的確に注意するようにしましょう。

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国語言葉の意味

「叱責」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「叱責」について解説する。

端的に言えば叱責の意味は「他人の失敗などをしかりとがめること。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「叱責」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「叱責」の意味や語源・使い方まとめ

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「叱責」という言葉を皆さん一度は聞いた事があるのではないでしょうか。初めて目にした言葉でも、大体は「人を叱ること」という意味で解釈できると思います。しかし、「叱責」はただ叱る事とは違うのです。言葉の正しい意味と使い方を知る事は大切になってきます。それでは早速「叱責」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

 

「叱責」の意味は?

「叱責」には、次のような意味があります。

他人の失敗などをしかりとがめること。「部下をきびしく?責する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「叱責」

「叱責」の読み方は「しっせき」で、ただ単純に叱るだけではなく、人の過ちや失敗などのマイナスな点を責めて非難するという意味が強いです。「軽く注意する」というニュアンスではなく、とにかく相手に過失があるとし、「あなたが悪い」「あなたの責任だ」といった、責め立てる言い方を「叱責」といいます。例えば部下が失敗した時に「お前は何をやっている!」と部下を叱ると、部下はあなたに叱責されたと感じるでしょう。

「叱責」の語源は?

次に「叱責」の語源を確認しておきましょう。「叱」は「しかる」を意味しており、相手を怒鳴ったりきつい言葉で追い込んでいくようなニュアンスが含まれています。「責」は「しなければならない務め」「罪や手落ちをせめる。とがめる」という意味です。この2つの言葉が組み合わされる事で、「他人の失敗などをしかりとがめること」という意味を持つ「叱責」になります。

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