この記事では「嫌気が差す」について解説する。「嫌気が差す」はかなり感情に寄った言葉です。堅苦しいというよりも真剣で、真面目に感じていることを表現するようなニュアンスが強い。そのため、使う際は本気で思ってるときにするべきです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「嫌気が差す」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「嫌気が差す」ってどういう意味?

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「嫌気が差す」の意味は以下のとおりです。

嫌だと思う気持ちになる。いやきがさす。

出典:goo辞書「嫌気が差す」

「嫌気が差す」は、嫌な気持ちになるという意味です。より正確に言うと最初はそこまで嫌だとは思わなかったものの、段々ストレスに感じるようになってきて、最後にはうんざりしたという場合に使います。

「嫌気」は文字どおり「嫌な気分」という意味であり、「差す」という言葉は影が差す、日が差すなどの「差す」です。「おとずれる」というニュアンスもあり、「嫌な気分がおとずれる」という意味になります。解説すると文字通りの意味であることがわかるため、覚えるのに苦労はしないでしょう。

「嫌気が差す」の読み方は?

「嫌気が差す」の読み方は「いやけがさす」です。前述しましたが、「いや”き”がさす」とも読みます。「嫌気」を「いやけ」と読むのは、予備知識なしでは想像はついても、自信を持って読めないでしょう。人によっては「けんき」と誤読することもありますが、明確な間違いであるため覚えておきましょう。

「嫌気」は「いやけ」でも「いやき」でもどちらでも構いません。ただ、「いやけ」の方が「が差す」と続けた際にやや読みやすいため、「いやけ」と読む人の方が多いです。

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「嫌気が差す」ってどう使うの?

「嫌気が差す」は以下のように使用します。

1.長い付き合いだったが、彼にはほとほと「嫌気が差した」。
2.もう数年がかりでこの仕事をやっているのよ、いい加減「嫌気が差す」わ。
3.有能ではあったが、彼女の物言いには「嫌気が差して」いた人が大勢いたのも確かだ。

「嫌気が差す」の「差す」は文脈によって変化するため、「差して/差さない/差した/差せば」などさまざまなパターンがあります。基本的には「うんざりする」と同等の意味で、「うんざりする」よりも固い表現であるため、使う際は「うんざりする」の部分に置き換えれば意味が通るので覚えておきましょう。

ただし「嫌気」が「差す」ものであることは変わらないため、「ある/できる/生じる/発生する/する」などの言い回しは、すべて「嫌気が差す」とはニュアンスが変わります。類義語としては使えますが、同じ意味ではないため注意してください。

「嫌気が差す」の紛らわしさとは?

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「嫌気が差す」は紛らわしい言葉でもあります。人が抱く嫌な感情にはさまざまなパターンがあり、どれが「嫌気が差す」状態に当てはまるのか迷う場合があるかもしれません。人の気持ちはいつでもくっきりしているわけではないため、色んな言葉が当てはまる場合も多いです。しかし、できるだけ自分の気持ちに近い表現を行うためにも、さまざまな言葉を覚えると同時に詳しい事まで踏み込んで知りましょう。

単なる嫌な気持ちと「嫌気が差す」の違いとは?

「嫌気が差す」と単なる嫌な気持ちとの大きな違いは、時間差です。単なる嫌な気持ちは、時間や程度などに何も言及されていません。一方「嫌気が差す」は、最初は嫌ではなかったか、もしくは我慢できる程度のストレスであったことが多いです。それがだんだん耐えかねるほどになり、とうとううんざりしたときに「嫌気が差す」が使われます。

また、「嫌気が差す」という気持ちは一過性でないことが多いです。「少しいらついた」という程度ではなく、ほとほと嫌になったという気持ちを想像してください。そのため、「嫌気が差す」の前後には、「嫌気が差した」結果としてどうなったか、という内容が続くことも珍しくありません。

「嫌気が差す」とは自分の意思か

「嫌気が差す」とは単なる嫌な気持ちと違い、少しではありますが「自分にはどうしようもないこと」というニュアンスが含まれます。「嫌気が差す」の「差す」とは影や光に対しても使用されるもので、自分で意図的に差すというよりも、勝手に差しているというイメージがあるのです。

ひいては「嫌気が差す」という言い回しは、日光が差すのと同様、自分の意志に関わらず勝手に差してしまうものという要素が生じます。むしろ、自分ではなんとか気にしないようにしていたものの、自分の努力が及ばないほどのストレスに達してしまったというニュアンスを含むこともあるほどです。

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「嫌悪感」とはどう異なる?

「嫌悪感」は「嫌気が差す」としばしば意味合いとして混同されます。確かに嫌な気持ちであることは変わりませんが、異なる点も多く、似ているというよりはむしろ全く違う言葉です。

そもそも「嫌悪感」の「嫌悪」とは、「不愉快に思う/憎み嫌う」という意味であり、主に瞬間的に発生する感情に使われます。不快感というものは理性と言うよりも生理的に感じるものであり、本能や衝動で「嫌だ」と思うものが対象となる気持ちです。そのため、じわじわと嫌な気持ちが高まっていく「嫌気が差す」とは根本的な発生理由が異なっています。

「嫌気が差す」の類義語は?

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「嫌気が差す」の類義語は、「辟易する/うんざりする/愛想が尽きる/嫌になる」などです。「辟易する」は「へきえきする」と読み、「ひどく迷惑してうんざりする」という意味になります。「愛想が尽きる」は「あいそがつきる」と読み、好意や好感がすっかりなくなってしまうという意味です。

いずれも現状に対して隠しきれないレベルの嫌な気持ちを抱えている表現になります。「愛想が尽きる」は「嫌いになった」とまでは言及していないものの、「元々あった好感がすっかりなくなっている」ということを踏まえると、これから嫌な気持ちが積み重なっていく一方であることは想像がつくでしょう。

「嫌気が差す」ことの他人事感について

「嫌気が差す」という言葉は、シンプルな意味ながらそこに至るまでの背景が色々と察せられる言葉です。前述しましたが「差す」という言葉は基本的に自分の意志ではなく、もっと他の力が働いた結果自分に作用している表現になります。

つまり、嫌な気持ちは自分のものであっても、その嫌な気持ちは半ば勝手に湧いて出たものであり、自分の意志ではないというニュアンスがあるのです。他にも「魔が差す」という表現が世の中にはありますが、これも同様で「魔」、つまり悪い考えや衝動が自然に降ってわいてきてしまい、自分が進んでそうなろうとしたわけではないということになります。それくらい嫌である、という意味ではとても強い表現とも言えるでしょう。

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自分の気持ちなのにどこか他人事?「嫌気が差す」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「嫌気が差す」について解説する。「嫌気が差す」はかなり感情に寄った言葉です。堅苦しいというよりも真剣で、真面目に感じていることを表現するようなニュアンスが強い。そのため、使う際は本気で思ってるときにするべきです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「嫌気が差す」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「嫌気が差す」ってどういう意味?

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「嫌気が差す」の意味は以下のとおりです。

嫌だと思う気持ちになる。いやきがさす。

出典:goo辞書「嫌気が差す」

「嫌気が差す」は、嫌な気持ちになるという意味です。より正確に言うと最初はそこまで嫌だとは思わなかったものの、段々ストレスに感じるようになってきて、最後にはうんざりしたという場合に使います。

「嫌気」は文字どおり「嫌な気分」という意味であり、「差す」という言葉は影が差す、日が差すなどの「差す」です。「おとずれる」というニュアンスもあり、「嫌な気分がおとずれる」という意味になります。解説すると文字通りの意味であることがわかるため、覚えるのに苦労はしないでしょう。

「嫌気が差す」の読み方は?

「嫌気が差す」の読み方は「いやけがさす」です。前述しましたが、「いや”き”がさす」とも読みます。「嫌気」を「いやけ」と読むのは、予備知識なしでは想像はついても、自信を持って読めないでしょう。人によっては「けんき」と誤読することもありますが、明確な間違いであるため覚えておきましょう。

「嫌気」は「いやけ」でも「いやき」でもどちらでも構いません。ただ、「いやけ」の方が「が差す」と続けた際にやや読みやすいため、「いやけ」と読む人の方が多いです。

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