その1「命がけ」
「必至」は必ず死ぬ覚悟を持つという意味があることから、同じ意味を持つ「命がけ」が類義語となります。しかし、どちらかと言うと「命がけ」の方が「必至」よりもせっぱ詰まったニュアンスがあるのです。「命がけ」を全て漢字で表すと「命懸」ですが、さかさまに書くと「懸命」(けんめい)となります。「懸命」も頑張っている様子を表しますが、「命がけ」というほどのニュアンスはありません。
また「命がけ」は主観的な言葉であり、行動となって表面に現れない心の中の状態を表現する言葉です。また、将棋用語の「必死」の意味の場合は類義語はありません。
その2「死にもの狂い」
「死にもの狂い」とは、「死ぬことをも恐れず奮闘すること」または「死ぬ覚悟で行動を行うこと」の意味です。「必死」よりも重たい、追い詰められたニュアンスがあります。「死にもの狂いで~をする」といった形で使われるのです。「必死」と同様、行動となって現れる様子をいうもので「命がけ」のように心の中の状態をいうものではありません。
「入学試験が迫ってきたので、妹は死にもの狂いで勉強をした」「隣の家が火事になったので死にもの狂いで逃げ出した」などと使います。
「必死」の対義語は?
「必死」の対義語について見てみましょう。
「余裕」
「余裕」とは「必要な限度以上に余りが蓄えられいること」や「ゆったりとして穏やかな気持ちでいること」の意味になります。死にもの狂いで大変な思いをしながら奮闘する「必死」に対して、特に何も努力しなくとも満ち足りていて余裕がある様子です。「今年の事業計画は余裕をもって達成できる」「あの人は余裕がある語り口だ」などと使われます。
「余裕綽々」(よゆうしゃくしゃく)という四時熟語がありますね。「余裕」も「綽々」もどちらも「ゆったりしている様子」を意味しますので、同じような意味を重ねって使うことによってその意味を強調しています。「余裕綽々」は、中国の歴史的な儒学者の孟子が発した言葉に由来するものとされているのです。なお、「綽々」は「たくたく」と間違って読まないようにしましょう。
「desperate」
「必死」の英訳は「desperate」です。副詞の「必死に」は「dsesperately」となります。
熟語で「be desperate for~ 」と「be desperate to do」は「~が欲しくてたまらない」と「~を手に入れるために必死だった」という意味です。
以下例文となります。
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