端的に言えば子子孫孫の意味は「子や孫」を強調した言葉ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「子子孫孫」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/八嶋弘毅
自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。
「子子孫孫」の意味は?
「子子孫孫」には、次のような意味があります。
孫・子の末。ずっと後のちの子孫。
出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「子子孫孫」
「子子孫孫」は「子々孫々」とも書きます。多くの辞書が「子子孫孫」を最初に掲げ、続いて「子々孫々」と表記していますから、本来の書き方は「子子孫孫」なのでしょう。「子子孫孫」は子から子へ孫から孫へと代々受け継がれていくという意味があります。そうした観点からそれぞれの代の子や孫を独立した存在として扱うために踊り字を使わない記述法が適当とされたのでしょう。しかし著名な作家の文芸作品を読むと「子々孫々」と書かれたものが多数です。
読み方は「ししそんそん」と「ししそんぞん」の二通りあります。読みについては「時々」を「ときどき」と発音するように語尾が濁ったもので、どちらが正しいということはありません。ただ現代ではほぼ「ししそんそん」に統一された感があります。「ししそんぞん」という読みは昔使われていたようです。
「子子孫孫」の語源は?
次に「子子孫孫」の語源を確認しておきましょう。「子子孫孫」という言葉が見られるのは古代中国の歴史書『書経』梓材篇です。そのなかに「已(ああ)茲(かく)の若くにして、監(カン)惟(こ)れ曰はん、萬年(バンネン)に至るまで、惟(こ)れ王の子子孫孫、永く民を保(やす)んぜんと欲す」とあります。また日本で初めて「子子孫孫」という言葉が出てくるのは『続日本紀』巻第四和銅元年七月条です。和銅元年は西暦708年であるのに対し、書経は中国南北朝時代あたり(439年~589年)に編纂されたものですから『書経』に収録されたものが初出と考えていいでしょう。
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