その2「いとおしむ」
今回のテーマ「慈しむ」は「慈」の漢字を使うのが一般的ですが「愛」の字も使うことができます。ここでの類義語としてあげた「いとおしむ」は漢字で書くと「愛しむ」。つまり「愛(いつく)しむ」「愛(いとお)しむ」の、どちらにも読めてしまうので、漢字で書く場合は注意が必要です。
「いとおしむ」は「慈しむ」の意味に限りなく近い言葉ですが、気の毒に思って情けをかけるといったニュアンスが含まれます。惜しむ気持ちを表現したい場合にも使える言葉です。
「慈しむ」の対義語は?
ここからは「慈しむ」の対義語を見ていきましょう。「愛情を注いで大切にする」と反対の意味合いを持つ言葉を、いくつか紹介していきます。
その1「いじめる」
「いじめる」については説明するまでもありませんが、弱いものを苦しめて痛めつけたり、つらくあたるという意味です。子どもの世界だけのことではなく大人の世界にも存在するということは、誰もがご存知のとおり。他者を慈しむ感情が持てない人がいるかぎり、この世から「いじめ」が無くなることはないでしょう。
その2「しいたげる」
「しいたげる」は、むごい扱いをして苦しめるという意味です。漢字では「虐げる」と書きます。多くの人が「虐待」というキーワードを思い浮かべるのではないでしょうか?虐待には肉体的な暴力や言葉の暴力など様々な種類がありますが、そこに共通するのは相手を慈しむ感情の欠如です。
「慈しむ」の英訳は?
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日本語の「慈しむ」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、英語圏の視点から「慈しむ」の英語訳を見ていきましょう。
「cherish」
「cherish」は「愛情をこめて大事にする」「かわいがる」という意味の動詞。「慈しむ」の意味合いをトータル的に含んでいる単語です。マイナスの感情を対象にすることもあります。「cherish a grudge (恨みを抱く)」という表現も覚えておきましょう。
結婚式での誓いの言葉や、映画「ローマの休日」のラストシーン、オードリ・ヘプバーンが演じるアン王女のセリフにも「cherish」が出てきます。以下に類似の例文をあげていますので確認してみてください。実際に映画を観れば、言葉のニュアンスと感動が同時に得られるのでおすすめです。
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